抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

年末特番「この映画は見てほしい2023」傑作選

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwBです。

 毎年更新しています、年間ランキングトップ10には入らなかったりするんですが、埋もれるには非常に惜しい、世間的評価も追いついてないのでは?みたいな作品を取り上げたい、という企画です。ここにも入れないけど、ダンジョンズ&ドラゴンズは楽しい。なんだろう、もうこういう枠で言わなくて良くなった気がする。

 どうでもいいけど、普段から「この映画は見てほしい2023」をやっておいて、その総集編じゃないと傑作選っておかしい気がする。タイトル付けた幾年か前の自分へ猛省を促したい。

 

 カッコつけて企画とか言って書いてたのにFilmagaに掲載された「見逃してない?今年公開の隠れた高評価映画10選!」という記事と趣旨が被ってる上に『茶飲友達』被った!

 

茶飲友達

 今年の邦画を思い出した時にやっぱりこれは見てほしいなって思えるのはこの作品。岡本玲主演で、高齢者相手の性風俗サービスを行っていた集団の映画。いちおう実話。確かに日本に存在する問題でありながらそこを無視しているね、っていう目の付け所もありますが、ファミリーを作っていって盛り上がり、そしてそれが崩壊するっていうのはもう『ゴッドファーザー』で面白いのが分かってる文法ですから。〆の渡辺哲は最高。

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カード・カウンター

 なんかすっかり大物感は無くなってしまったというか、今年は大物が久々に公開しすぎて影が薄くなったポール・シュレイダー。既に新作はアメリカ公開済みなのですが、ようやく日本に来たこの作品は無視できない。オスカー・アイザックが神経質にポーカーをしている様子よりも入念に描かれる部屋の準備。彼の抱えてきた罪を、『魂のゆくえ』同様にアメリカに重ねていく。カードとか言っておきながら、ギャンブルで興奮するようなシーンは一切なく、もしかしたらそれが困惑を呼んだのかもしれないが、しかしポール・シュレイダーにそれ期待するか?と問いたい。実にいいオスカー・アイザックを堪能できます。

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ボストン・キラー:消えた絞殺魔

 多分今回取り上げる映画の中で1番影が薄い。それもそのはず、Disney+独占配信リリースで本当に告知はされていなかった印象。

 女性ばかりが狙われた連続殺人事件を取材する女性記者2人の実話映画で、キーラ・ナイトレイジーン・コールのW主演。新聞記者が警察の情報を引っこ抜きながら真実を追い求める話ではあるんだが、ミステリ的な側面よりも、やはりフェミサイドに対して抵抗し続ける女性たちの物語として非常に強度があった。単純に女性が女性の敵を追い詰めるだけでなく、その女性の敵を構造的に産むようにできているのは社会自体であり、っていうことが家庭内や社内でのモロモロでちゃんと分かるように作られている。非常に良質な一作。

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Single8

 髙石あかりさん主演。映画を撮る映画、となると今年は『フェイブルマンズ』がめっちゃ強かったわけだが、日本にはこれがあったんだぞ、と強く言い張りたい。

 映画っていうのはどういう風に作ればいいのか、っていうことを色々論議するんだけど、いやいや何よりも原初の衝動と、そしてこの映画で爆発している青春の輝きを収めることですね、っていうのをこれでもかと思い知らされました。

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金の国 水の国

 もうこの映画を鑑賞したのは1年以上前です。シークレット試写でした、懐かしい。その時に配給の方に感想を求められて、2023年が終わった時に1番じゃないけど5番目ぐらいに良かったって言ってもらえる映画になったと思います、なーんて言ってたんですが、終わってみれば多分2023年に最も忘れられたアニメ映画になってしまったように思います。

 国境を隔てていがみ合う2つの国が和平として行った政略結婚のズルから始まった大きな政治の物語であり、小さなラブストーリーでもあり、という本作は2023年を遠くから振り返った時にこういう解決策を同じ年に提示していたじゃないか、っていうことになるかもしれません。

 これにシン・仮面ライダーゴジラ-1.0と浜辺美波は今年はワーナー・東映東宝と大活躍でしたね。そして音楽はエバン・コール。作ったのがマッドハウスという点も含めて、話題沸騰『葬送のフリーレン』みがありますな。

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ヨーロッパ新世紀

 クリスティアン・ムンジウ。何が新世紀だコノヤローとなる非常にしんどい、そしてそのしんどさが素晴らしい作品。『金の国 水の国』が2023年の解決策を提示しているなら、そんな生ぬるいもんじゃない問題があることを再提起している作品である(そしてこれは『NOCEBO/ノセボ』でもちょっと蒸し返されている)。長回しの会議シーンの醜悪さときたら、ここ数年でも屈指のものがありました。

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