抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

プレデター絶景を歩く「プレデター:バッドランド」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 エイリアンがDisney+のドラマで蘇った2025年、プレデターも蘇ります。しかもスクリーンに!いや、実際は既にDisney+で蘇った大傑作があるのでそれも見ておきましょう。本作の母星のシーンが似ている場所に見えるんだけど、分からん。

 いっぱい喋っているエル・ファニングが大変頑張っていました。表情芝居、大変素晴らしかった。

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WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

(以下ネタバレ有)

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狂気と純粋の境界「トリツカレ男」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はクレヨンしんちゃんでお馴染み、シンエイ動画の新作であり、近年一の大傑作といえる花の天カス学園を作るなど、クレしん作品でも期待を持てる作家と言える高橋渉監督の最新作になります。

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WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

(以下ネタバレ有)

 

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第38回東京国際映画祭報告「マリア・ヴィトリア」「マスターマインド」「明日のミンジェ」

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は東京国際映画祭報告です。ワールドフォーカスにもっといろんな国が来て欲しいですね。アフリカや中央アジアとか。

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 今年はアニメ映画には時間が合わなくていけませんでした。リトルアメリの日本公開は決まっているのは配給がついていたので知っていましたが、『デコラド』『アラーの神に言われはない』『私はフランケルダ』の3作品の配給は映画祭時点ではついてないようなので是非日本公開が決まることを望みます。特にデコラドはアルベルト・バスケス監督なので。

1.マリア・ヴィトリア

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WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 ポルトガルの山岳地帯の村。マリアは男子チームの中でサッカーをしていて、ゴールキーパー。お父さんは星一徹ばりの熱の入れ方で個人練に付き合う、というか熱血指導。どうでもいいけどああいうゴールキーパーの練習のshort動画は無限に見れてしまうので自分に制限を課しています。目の前にイレギュラーバウンドしたりする器具を置いてやるシュートストップとか好きだし、試合前練習でもパスやシュートよりキーパー練習を見てしまいます。マリア・ヴィトリア。ヴィトーリアといえばネルシーニョ。勝利を意味するポルトガル語

 そんなマリアのお家は、どうやら山火事でお母さんを亡くしており、その辺りで家を出た兄が突然帰ってくるよ、という話。お父さんが星一徹してるのも、お兄ちゃんもマリアもお母さんの喪失から立ち直れていない上に、それを直視できてないな、っていう映画。山火事でも起きないと都会の連中はここに関心を持たない、という農村部の叫びと喪失の物語がこれが驚くするほどリンクすることなく並列に進みながら、ふんわり終わって兄が旅立つし、お父さんはスカウトに挨拶するんだけど「息子さんの活躍期待してますね」とあしらわれ、試合は始まる、というなんかバッドエンドなのか、マリアや家族が喪失と向き合えたからハッピーエンドなのか、分からんのお、という感じ。

 基本的にコミュニケーション不全すぎる、あまり上手でない映画のような登場人物が喋らないこと、言外に匂わせることと映画自体が雄弁でないことを履き違えてる感じはしている。サッカーを題材に扱っていて、しかも男子チームの中に女子のゴールキーパーが在籍していると言うかなり語ることのある状況ながら、チームとの話は皆無、練習シーンが撮りやすいからゴールキーパーなだけな感覚であり、ゴールキーパーを描くと生じる後ろのスタンドの近さ、みたいなものも捉えない。ポルトガル女子サッカーといえばアルガルベカップだとは思うが特に言及もなかった。アルガルベカップってなんか名前変わったか開催方式変わったかしてた気がするな、そういえば。結局、このマリアおよびお父さんのゴールキーパー像がシュートストップに留まっていて、11人目のフィールドプレーヤーや守備のコーチングといった面をまるで考えられていないものになっているのでただの孤独なポジションのような扱いなのは残念である。ただ、地方と都市のようなテーマを内包した地方の場所にもこれだけ立派な屋根付きスタンドのあるピッチが…と思うと羨ましい限りである。環境はいいし、コーチもちゃんとしてたのでDAZNを契約して女子プロサッカーでも男子プロサッカーでも見て戦術勉強をすると良いと思う。ドンナルンマでもないと足元無いのにプロになるのはしんどいですぜ。

 話がだいぶサッカーにそれたが、サッカーだけに星一徹してるお父さんはまだ分かるのだが、お兄ちゃんの立ち位置が雑で、お父さんの支配、地方の停滞・閉塞感から外の風を吹かせるような存在かと思えば、彼自身も未来を描けず悩んでいるし、妹の卒業パーティーに普通に来て妹の友達とウェイウェイしてんの意味わかんねえ、気持ち悪いわ、と思わせてしまう。

 繰り返された火のイメージも、その二面性とかを示すにも至らず、山火事について詳しく語ることもなければ、火の温かみや生活のそばに常にある火としての描写も弱かった。

2.マスターマインド

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IMDbより画像引用)

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点
なんとも締まりのない作品に。絵画泥棒の話だが、どう盗むかは杜撰、物を持っている間どう隠すかに仕込みもなく、どう返すかに至っては新聞の記事で処理。作戦の実行にもワクワクや見せ場感は無い。

 描かれるのは、男3人の計画から1人が逃げ出して、代わりに入った若者が暴走するところ、そしてジョシュ・オコナー演じるジェームズの息子の溢れんばかりの無邪気さである。片方は俺が助手席!と毎回言うし、もう片方は父に盗みの容疑がかかっても母親と離反してまで父と一緒にいたがる。ここに確たる自己を感じる一方で、ジェームズはふわっとより大きい相手に絵を渡してしまうし、警察には判事の父の名前を使うし、その場から逃げ出した先でどん詰まる。街にはベトナム戦争反戦デモを行う若者たちが溢れ、何者にもなれないジェームズはそして、デモ隊のひとりとして拘束される。絵画泥棒としてではなく。指名手配犯からその名前をも奪う結末。首謀者と題する映画からは程遠い。何者にもなれない浮遊はしかし、絵画泥棒という軸を失った映画は、中盤以降完全に弛緩して決して満足とはいえない感覚でスクリーンを後にすることになる。

 絶えずかかるジャズミュージック。犯罪映画と重なる時、それは鈴木清順をどこか思わせるはずなのだが、肝心な時にかかんなくてヘンテコズンドコ音楽になったと思う。

3.明日のミンジェ

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WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 中学生から1位の記録を取り続けているミンジェだが、天涯孤独。寮住まい故に、卒業後は住居も無くなってしまう。

 そこで代表となって実業団選手としての進路を模索しているのだが、両親の寄付のために贔屓される選手・ヘリムが部内にいる。

 というのをベースに始まってすぐミンジェがヘリムにアレルギーになるものを混入させて記録一位を狙い、それがコーチにあっさり露見。コーチもまた監督になるために寄付を求められており、裏稼業として走りの替え玉稼業を紹介される。そこで出会った新しいコーチとやりながら、ただ自分が生きるために走ることを求めていたのに、替え玉受験とかドーピングとか貧富の格差とか、色んなものにぶつかっていくことになる。

 あらすじで書くにはあまりにも多すぎる要素だけあって、実際渋滞している。裏稼業ももっと描いて欲しかったし、コーチがヘリムを贔屓しながら今度はヘリムがいなくなったらミンジェを贔屓していく、それもまた自分の業績のため、みたいな確かな蓄積が欲しい。次から次に進む割にテンポの良さを感じないので、ヘリムとミンジェの対立軸が決まっていて、それぞれにつくコーチ、描きたい韓国の社会問題、体育実技の替え玉受験という絶対バレるのでは?サスペンスをやるために順々に頑張って処理してるだけになったか。

 結果的に、主人公たちが挑んでいる800mという競技の説明や、実業団に入るための目標設定とか、どうしたら走ることが速くなるのか(そして速く見えるように撮るのか)がぼやっとしている。怪我の話もふわっとしていて着地がムズい。スポ根の決着にしては、明るい世界に戻れと言ったコーチが送ってくるのがドーピング剤で、ヘリムもやってんよ、でもドーピングの誘惑にミンジェは打ち勝った!はどうにもピンとこない。

 じゃあ、社会派として上手くいったかというとそれも微妙というか、結局金持ち親に従属するだけにヘリムもなってしまうし、監督になれないコーチも、寄付を要求する構造自体も否定されることなく終わるのに、なんかミンジェが勝った、私には見えた、みたいな公的な達成を無視した私的な達成でクライマックスとなる。『ひゃくえむ。』は、何故走るのか、走るということだけに追求の矢印を向けていたが、本作はそのためにはどれだけの障壁があるのか、を色々描きたい意思はあった。兎にも角にも金。でもそれは事実で、走るだけで稼げる、の前の段階においては神童でないと確かにしんどいよね、とはなる。

 好みとしては、偽の身分証を燃やす炎やドーピング薬を洗面台に流す水、みたいなところで余韻のもう5秒を欲していた。

 初長編となる監督パク・ヨンジェさん、プロデューサーのキム・ソンウンさん、主演のイ・レさんが登壇でした。

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緩やかな坂の先に「爆弾」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は久々に原作を先に読んでいる映画です。あれですね、原作を読んでいると俳優の名前ではなく、キャラの名前で感想が書けるもんですな。

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WATCHA4.0点

Filmakrs4.1点

(以下ネタバレ有)

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2025年11月に見るかもしれない映画たち

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 東京国際映画祭で忙しい時期ですが、出品作品も含めて、11月に公開される映画の確認をしていきましょう。

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夏椿「火の華」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は『JOINT』という映画で話題になった小島央大監督の長編第2作。前作同様山本一賢さん主演で脚本や企画も共同での製作です。

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WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

(以下ネタバレ有)

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大逆転「ホウセンカ」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回の作品は『ホウセンカ』。木曜日の夜にも、毎月1回をめどに配信しているアニならに参加して『ホウセンカ』を含む作品について話しました。

 それでは本題に。

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WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有)

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