抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2023年の新戦力

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は2023年に摂取した新戦力、ということで映画とテレビアニメ以外のコンテンツでこういうのみたよーっていうのです。毎回年始には、配信された瞬間に見るぞ!と意気込んでいるので1月に配信されたものはちゃんと見ている露骨なアレが。

 

葬儀屋の女

 アルプス山中の村で起きた轢き逃げ。目の前で夫を失った葬儀屋稼業の女性がその犯人を探しながら、村に根付いたわるーいところに迫っていく感じ。

 一市民が大きい陰謀にぶつかる作品なので、どうしても仕方がないが気付くと行き当たりばったり気味に死体の山が築かれていく。最終的に行き着く犯人たちの感覚がホモソーシャルだったり、田舎の地獄だったり、色んなとこに掠ってくる。

 死体を調えている段階で見せる技術や死体と話してる(ように自分と対話する)序盤の場面がもっと上手く使えてればな、と。

 ただ、バイクや車を走らせているのを上空から撮るとそれだけで圧倒的アルプスで満足してしまう。ずるい。

コペンハーゲン・カウボーイ

 ニコラス・ウィンディング・レフン最新作。

 コペンハーゲン・カウボーイといいながら主人公ら幸運を与える少女。
恐らくは西部劇チックに、町から町をさすらいながらそれぞれの場所での問題を解決していく様子を幸運を与えるカウボーイという解釈なのだろう。西部劇とはある意味では移住者の物語でもある。と同時に、女性の搾取、そして豚に喰われることからも分かるような男根的な象徴の物語でもある。

 あとは、青いジャージと赤いジャージ、思ったよりも肉弾戦が多いしブルース・リーにもオマージュが捧げられている。

 こうしたモチーフが多すぎるところに、ライティングとカメラと見事にレフンの味が濃すぎるぐらいかかって結局何やねん!となるのはご愛嬌。まあ、小島秀夫が巨人のところに行け、とか言ってたし、ミウの能力は本物っぽくて、ニクラスのお姉ちゃんが何者なのかも分かんないので続きが大事なんだけど、続き…あるか?

伊藤潤二『マニアック』

 

 伊藤潤二先生という方はどうしてまたそんなことを次から次に思いつくのか。引き出しが凄い。

 シンプルに怖かったのは首吊り気球。どうやって生きていたらあんなアポカリプスが出てくるのだ。そして屋根裏の長い髪は夢に出そうなほど怖かった。あれだけ露骨にホラー演出してたっしょ

波よ、聞いてくれ

 ジェイク・ギレンホールナイトクローラー』もびっくりの特ダネのためならどんどん暗黒面に落ちているような気もする鼓田ミナレを小芝風花さんが演じ切った。見事の一言、というか、アニメ版でも杉山里穂さんが目立ちまくりの素晴らしさだったのがその責を小芝風花も果たした。

 ナイトクローラーとの大きな差別として最終回の地震と報道、ライフラインとしてのラジオって言うのがアニメよりも薄い感覚はあったが、それまでのドタバタ劇に関してはドラマの方が面白くできていたように思える。北海道を舞台にしていた原作及びアニメからの場所変更は特に意味もなかったのが気になる。

シークレット・インベージョン

 スーパーヒーロー映画群だったマーベルはドラマの方式を採用してから様々なジャンルの取り組みを壮大なユニバースに取り入れてきた。シットコムメタフィクション、法廷劇、そして今回はスパイもの。主演はサミュエルLジャクソンなので、派手なアクションというよりはポリティカルな感じ。身の回りの誰が信用できて、誰が偽物なのか。硬派に進んでいくが、その中でどんどん窮地に追いやられるニックフューリーはスクラルの侵略を止められるのか。

 はっきり言ってしまえば、右肩下がりにしょぼくなっていくグラヴィグの小悪党っぷり、解決するどころかもっと事態は悪くなり、故郷なき移民・難民をどうするのかに対する答えの不提示、そもそもニック・フューリーが『キャプテンマーベル』の時代から約束を放っておいてるせいでは感など、すっかり繋ぎでしかなく、このドラマにおける描きたかったものがなんなのか、その独自性はさっぱり無かった。AoSのメンバーが出てくるなど、このキャラを出したかった、みたいなものも感じられるず。

 作品を引っ張り続けたオリヴィア・コールマンはオスカー女優の貫禄を見せ通したことは賞賛に値する。

Kizazi Moto:ジェネレーション・ファイアfromアフリカ

 アフリカのクリエイターたちによるアニメーション集。アフリカのアニメなんか知らねえよ!という空気で見ているとクオリティが結構高くてびっくりするのではなかろうか。

 2話のレースものは見事にTrigger的なケレンに溢れているし、6話のアニメーション表現はかなり卓越したものに感じる。
全体を通していわゆるアフリカンな精霊とか一族とか、そういった要素がブラックパンサー以後SFとの親和性が高まってるようにも感じられる。

ノッキンオン・ロックドドア

 堤幸彦がバディもののミステリをやる、しかも原作は青崎有吾、渡部篤郎も引っ張り出してくるとなるとケイゾク、SPECを愛した人間としては見逃せない、そう思ってたのだが。

 不可解と不可能、動機とトリックを両面から捜査する2人の探偵を描く話。トリック自体はしっかりしていて面白いんだが、松村北斗の方がディーンフジオカシャーロックを丸パクリしてるような演技でまったく話にならない上に、彼の料理シーンの演出も酷すぎて失笑もの。

 同クールに同じ原作者のアンデッドガール・マーダーファルスが見事に映像に落とし込んでいる会話の軽妙さを見事に削ぎ落として引っ張った話、大オチがもう最後に何も炸裂せず感情が1mmも動かない。そこで仲間由紀恵という堤幸彦の持つエモを投入してもなーにもどころか。

 また、タイミングとしてOP.EDそれぞれを主演2人の所属グループの曲を起用しており正直中盤からはジャニーズまみれのこれを見ることにゲンナリしていた

GAMERA-Rebirth-

 純正なる昭和ガメラだった。

 昭和ガメラ怪獣であるギャオス、ジャイガー、ジグラ、ギロン、バイラスを登場させたんだけども、コイツらの得意なフィールドが違いすぎる。しかもその多様なフィールドを昭和ガメラの醍醐味である子ども主役で移動させていかなくてはならないという縛りの中では見事にそれを達成したと言えるだろう。リファインした怪獣のデザインも良く、特にギロンは完全にピーキーなそれなのにカッコよさが滲み出ていた。

 各話で人間の性格が結構急激に違っていたり、平成ガメラを期待して見た方にはしんどい部分が多いかもしれない

PLUTO

 これは面白かった!

 20世紀少年映画化でしか浦沢直樹に触れてないし、鉄腕アトムだって人並みぐらいしか知らない。そういう状態で見たのが良かった気もする。広げに広げた風呂敷は、人間とAIや機械との違いを説くSFのように持っていかず、連続殺人事件と連続殺ロボット事件の捜査を通してのエンタメに徹しながらそれを伝える素晴らしい出来に。各々の世界最高峰ロボットさんたちのエピソードが実に感動的で、最後にそれをまとめていく方向もよく考えたらそれしかないよねってキャラなんですけど、ほーって言ってしまった