抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

レトロなロマン「クラユカバ」「クラメルカガリ」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は2本立て。塚原重義監督による2作品です。

1.クラユカバ

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WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 この作品を知ったのはもう1年以上前ですね。主演を務めている講談師・神田伯山さんのやっているTBSラジオ『問わず語りの神田伯山』のリスナーでございまして。その彼がもうちっともうまくいかずに大変で大変でございました、という話(具体的にはもう好き放題喋って良いのを採用してもらう、みたいな方式にしたって感じだったはず)から知っていて、そのクラユカバが冒頭だけ劇場公開され、クラウドファンディングを経ての長編完成ということで大変おめでたい限りでございます。

 話としては、探偵である荘太郎の下に来た失踪人探しの話が地下のクラガリ捜索になっていき、攫われてしまった助手と失踪人たちを探す冒険、って感じでしょうか。ミステリとしては正直ぼやけた感じというか、序盤に明らかにこれが大事ですよ、と見世物を何度も強調していたのがゴールになる割には、そこでの空中活動写真による洗脳で人を攫っていました、っていうちょっとファンタジックな感じの落とし方で結局何だったんだろう、とこっちも活動写真で煙に巻かれた感じがあるというか。

2.クラメルカガリ

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WATCHA4.0点

Filmakrs3.9点

 こっちは完成の報に驚き桃の木山椒の木ですよ。『クラユカバ』がなんとか完成しました、は分かるんですけど、ついでに同じ長さの長編をもう1本を作っちゃいました、ってのは驚き。世界観は共有したようなスチームパンク大正ロマンレトロな感じなんですが、基本的に共通するようなものは無いのでバラバラで見てオッケー。そしてこっちのはかなりオススメ出来ると言える。

 『クラユカバ』と対照的に、じっくりセットアップしていて60分しかないのにそんなにゆっくりしていて大丈夫かな?と不安だったんですが、しっかり設えてからは坑道を使った動きもありつつ、街を牛耳る2大グループの対立、街の人々の自衛、そしてその裏ですべてを分かっている風な大塚剛央。大塚さんは本当に素晴らしいですね、と言いたいですが、この作品においては悠木碧佐倉綾音もいい仕事していてキャスティングの時点で勝っている感じ。インディーズ系のアニメのスピンオフみたいな作品に勝ち確キャスティングを出来ている時点で普通では無いのだが。

 おじいさんの正体と裏切りのミステリを後ろに控えつつ、基本構造がちっとも渋滞しない話なので非常に分かりやすく、それがジャンルムービー的なのだがレトロロマンっていう描き方と音楽が実に合っていたように思える。メカもこの作品内世界でギリギリありかな?っていうラインだし、それをじいさんの庭とかで匂わせるぐらいの感じにしていたので良い。これは『クラユカバ』の方だが、チャランポランタンを自模ってくるくるのも素晴らしい。アコーディオンなんて完璧でしょう。

 

 いずれにしても、作品世界をしっかり構築し、アニメーションとしてもそこに合わせていこうという気概もあり、ここを起点にしたシリーズ作品なんかも見たいと思わせる連作であった。クレジットで驚いたのは、クランチロールとbili biliが入ってたとこで、どう絡んでどうお金を出しているのかは知らないが、この2社が絡んでいるだけで海外展開はし放題というか、そういう感じでございますので続きに関しては割と楽観的に考えています。