どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
いよいよ明日3/3はアカデミー賞の授賞式になります。例年同様、ノミネートされた作品の感想・ブログをおさらいしていきましょう。
なお、ニッケル・ボーイズはこの記事の更新日に見たりするのでまだ更新時間ジャストには載っていないです。お許しを。また、『名もなき者/A COMLETE UNKNOWN』と『ANORA/アノーラ』は鑑賞していますがブログが上がっていないので短観を。
以下のリンクより、授賞式の同時視聴に参加させていただきますのでお仕事の無い方、リモートワークの方、是非。
モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) さんのライブ - ツイキャス
ANORAアノーラ
作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞ノミネート。
ショーン・ベイカーがアメリカを描いた中でもなんというか、寓話的でアカデミー会員たちにとっても耳が痛くないライン。嫌なやつはロシアだし。編集が抜群だったなーと思ったのでそこは固い気がする。ユーリー・バルゾフはT-34に出てきてるぞ!みんな見ようぜ!
ブルータリスト
作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、作曲賞ノミネート。
名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN
作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、脚色賞、衣装デザイン賞、音響賞ノミネート。
何をそんなに高評価してるのか全然分からなかった。洋楽聴かない人間ですので、ボブ・ディランをノーベル賞受賞者というクイズ知識だけで挑んだら完敗した。何よりこの映画を見た結果、ボブ・ディランって嫌なやつだな、聴きたくないなーと思ってしまった。
デューン 砂の惑星 PART2
作品賞、撮影賞、美術賞ノミネート。
ニッケル・ボーイズ
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
エルウッド、ターナーという2人の視点、そして大人になったらエルウッドという3つのPOVで描かれる少年院時代のひどい様子。
確かに辛く、嫌な話なのだが、視点をごっちゃにしたり一人称にする必要を感じず、結局事態の重さを示すために資料映像や新聞の記事みたいなのを用いるために三人称視点の強さをかえって示してしまい、追体験させたいのか、知らしめたいのかすごく曖昧になってしまった。
また、長編ドキュメンタリー部門にノミネートしているシュガーケインが先住民の寄宿学校での同様の事案を扱っている中で全然向こうのほうがいい映画だった
アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方
主演男優賞、助演男優賞、ノミネート。
リアル・ペイン 心の旅
セプテンバー5
脚本賞ノミネート。
エイリアン・ロムルス
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
視覚効果部門ノミネート。
宇宙空間で若者たちが酷い目に遭うフェデ・アルバレス、と聞いた時点で映画館での鑑賞を棄却するぐらいビビっていたのにアカデミー賞に選ばれてしまったので配信で。
みんな怖くない、とか言ってたけどきちんと怖かった。音を聞かせる気がまんまんの酷い目を連打してくるし、死ぬのは突然なので普通に怖い。ドント・ブリーズも怖かったし。映画館に行かなくて良かった、映画館の音響だったら余命が減ってた。
さて、中身としては1と2の間ということだが、そう言えば1しか見ていない。ブラックフライデーでBOXは買ったからいつでも見れるんだが。すっかり希望のなくなった社会で、それでもそこから自分の力で逃げ出そうとする彼らに立ちはだかる絶望…と言えば可哀想なのだが、自由への逃走に他者を踏んづける行為を用いるという時点でこうなることは決まっていたのだ、という展開。アンドロイドを差別される対象として持ってきてるが、まあ演じてる方や星の状況を鑑みても黒人差別を念頭に置いているだろう。
そして最後はやっぱりドントブリーズじゃねぇか!!という地獄のラスボスを出してくる。その引き出しを開けるな、気分が良くないぞ!
エレベータに貨物室と落とす決着を取り入れ、重力を非常に重要視していることが、階層社会の話でもあることを示していて、上下運動素晴らしい、となった。
グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声
WATCHA3.5点
Filmakrs3.5点
衣装・デザイン賞ノミネート。
すごい怖い話なんですが、これの記事のリンクを貼ろうとしたら記事がなかったです。そんなバカな。
ということでFilmarksから他の映画同様貼ってきます。せっかく見てるのにブログ書かなかったんだっけ…
グラディエーターの続編。でもラッセル・クロウという説得力は今回には使えず、最後まで足りなかった。剣闘を描くにも、最後の決闘裁判が現代としては最高峰のものを見せたし、ビジュアルだとDUNE PART2のオースティン・バトラーによるモノクロ決闘に遠く及ばず。
突然コロッセオを海戦モードにしてサメ映画になったり、RRR顔負けのサイ大暴れだったり、絵的に弱いことを自覚している気はする。それ故に古代ローマを描くことよりいっそ少年ジャンプの世界に飛び込むことを選択したんだろうが、ポール・メスカルがマルクス・アウレリウスの血筋であることが正当性になるともう本当に悪い意味でジャンプ。他国の戦争の捕虜である剣闘士たちにローマの理想を取り戻せと檄を飛ばすのも意味がわからんし、同じ奴隷の身から頑張ったデンゼル・ワシントンを決闘的に殺してハッピーエンドもいまいちピンとこない。思想で別に勝ってないし、奴隷に身をやつし、そこから国を成り上がる話なのに奴隷制の温存か廃止かはきちんと描いてほしかったか。
夢は終わらねェ!の大切さは確かに間違いないし、こんな現代だから理想論を言い続けることこそ重要だと私も思うけど、それで血縁に帰結したり、ポピュリズム的な民衆の暴動を肯定する結末になったり、っていうかグラディエーターじゃなくていいよねっていうテーマだったり、なかなか難しい感想に。そして史実も全然違うやんけ!
SUGARCANE シュガーケイン
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
長編ドキュメンタリー部門ノミネート。
カナダにおける寄宿学校での虐待を扱ったドキュメンタリー。
その実態が明らかになったところから始まり、なんかこう結構過激な抗議が行われてるなあーぐらいの認識だったのだが、サバイバーの話を聞くうちにとんでもないなってなっていく。この題材になっているのは先住民族たちであり、彼らはほぼ強制的に寄宿学校に送り込まれ、そしてそこで虐待を受けていたという構造的な問題である。更には当然のように性的虐待、それどころか妊娠させて生まれた新生児を殺害していたことまで分かっていく。唯一とされるサバイバーが、DNA検査で自分の半分にアイルランド系の血がある、という事実を受け入れられていないシーンは悲痛。
『スポットライト』や『トガニ』のようなフィクション的な山はない。というか、現実はもっとつらい。ローマ教皇との面会もかなったが…。
Inchdent
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
短編ドキュメンタリー部門ノミネート。
2018年のシカゴで起きた警官による黒人の射殺を警官のボディカメラと監視カメラだけで構成する告発。
殺されたのは重点警戒されていた薬物などの売人でもないただの床屋であり、銃の携帯許可証も持っていた。ブラックライブズマターの流れを明確に汲んでいる訳だが、ただ生きているだけでこんな危機になる、それも人種的な要因で、ということをこれほどまでに突きつけられると…
同時進行的にいくつかの映像が並置されることもあって、現場の混乱とそれに伴い撃った白人警官たちがどんどん自己を正当化していく過程が精緻に捉えられている。こういう事件では撃ってしまった方のケアも…と綺麗事を言いたくなるのだが、うーん、そうも言ってられないどころか、撃った本人は2日謹慎で済んでいるというのは。
Instruments of a Beating Heart
短編ドキュメンタリー部門ノミネート。
長編化している『小学校~それは小さな社会~』の感想を併せて置いておきます。
ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
短編ドキュメンタリー部門ノミネート。
NYフィルハーモニックで初めての女性奏者となったコントラバス奏者オリン・オブライエンをその姪であるモリー・オブライエンがカメラで捉える。
老齢になっての引退のその日までを追うのだが、全然元気だし、生涯現役って感じでこれまでの道を切り開いてきたことを祝福したくなる作品である。バーンスタインが認めたということもあって、全然演奏のアドバイスもクリティカルだった彼女が、しかしソリストとしてではなく、自分が脇になるんだというその矜持もまた美しい。
聖なるイチジクの種
国際長編部門ノミネート。
野生の島のロズ
長編アニメーション部門、作曲賞ノミネート。
インサイド・ヘッド2
長編アニメーション部門ノミネート。
ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
長編アニメーション部門ノミネート。
アードマンスタジオの看板シリーズだが、よく考えたらシリーズを見るのは初めて。
発明家ウォレスと犬のグルミットのコンビは過去作で強盗を捕まえている。今回はウォレスの発明したロボットがその強盗により操られて復讐されそうになる話。goodモードからevilモードになってしまったノーム型のロボットが襲いくる様子は完全にホラーで、そこからの悪役仕草は007のブロフェルド。終盤のチェイスからのボート追いかけっこに高低差アクションはミッションインポッシブルかと思うかのような迫力を持っていた。
一応、このペンギン悪役を捕まえた話は話で映画になってるようだが、全然見なくても楽しく見れる
あめだま
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
短編アニメーション部門ノミネート。
割と1人で過ごすタイプの少年がいつも遊んでるビー玉を買おうと駄菓子屋で手に取ったのはあめだま。どこかで見たことある模様で、食べてみると同じ柄のソファが喋り出す。6コのあめだまを舐めるが、ソファ、飼い犬と言語を持たない相手との対話に続き、天国の祖母、注意ばかりしてくる父の内心と対話し、最後は落葉の言葉に誘われて他者との関係を持つに至るというシンプルながらいい絵本!という感じの内容。空撮の街とかはデータを読み込んだのだろうが、全体を通してストップモーションかと思うタイプのCGで、直近だと堤大介の『ONI〜神々山のおなり〜』を思い出す。プリキュア的な3DCGもだが、こっちの方向でも日本はきちんと進化を持っていることを感じられた。
Yuck!
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
キスしたくなると唇がピンク色に発光する。
そんな光景を見ている子どもたちはキスなんて気持ち悪い🤮と嫌うのだが、1人、実はしたいな…なんて子がいて。意外と両思いだったのでキスしそうな瞬間他の子どもたちに見られて囃し立てられるのであった。
子どもと成人のキスの感覚や日本と欧米のキスの感覚をどれぐらい同一視していいのかは分からんのが正直なところだが、最終的なオチはなんやかんやみんなキスしたいのに照れ隠しでわーわー言ってましたわ、恥ずかしくないね、なのは肉体恋愛至上主義的すぎるのではないか。なんというか、人を好きになること自体の尊さを描くとこと、キスしたい気持ちを描くことの間にはぽーんと飛んではいけない穴が空いてる気がする
6888郵便大隊
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
配信を流離う監督タイラー・ペリーの新作。歌曲賞ノミネート。
第二次世界大戦において唯一黒人あるいは有色人種かつ女性の軍隊として活動した6888郵便大隊の実話の映画化。
戦争によって引き裂かれた夫婦、恋人、親子、友人をつなぐ唯一の伝手だった郵便は、しかし物資の輸送において軽視され、戦線は精神的に孤立して士気が下がっていた。そこに動員されるのが6888郵便大隊。周囲からは黒人かつ女性としてまともに扱われず、ミソジニーも黒人差別も固まって酷い扱いを受けている中で、彼女たちはいろんな方法で手紙を届けるための分類を24時間体制で行う。
タイラー・ペリー、知らないうちにこんなに上質な実話ものを撮れるようになってたか。シャニース・ウィリアムズはネクスト・メリッサ・マッカーシー、あるいはネクスト・レベル・ウィルソンを担える魅力を感じた
アヌジャ
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
短編実写部門。
インドの縫製工場で働く姉妹。だが、妹は数学の才能を教師に見込まれて試験を受けることに。だが、安く、長時間労働に文句を言わない労働力を失いたくない工場長。そして受験料の壁。
姉妹でこの壁を乗り越えた先にある、自分だけ教育を受けて良いのか、というこの年齢には重すぎる選択。
我々がファストファッションで着る服はこういう犠牲で成り立っているんだよ、と告発する意味も持った作品。子どもたちに必要なのは労働ではなく、教育。その先に彼らが仕事を選択する自由・権利を与えられるように
何となくの予想と願望
作品賞
『ANORA/アノーラ』。なんとなく『教皇選挙』の空気をBAFTAのあたりから感じていたのだが、監督と編集に選んだ以上これが勝たなきゃおかしくなってしまった。
監督賞
ショーン・ベイカーがここでしょう。組合賞を取りました。
主演女優賞
カルラ・ソフィア・ガスコンの受賞が無くなった今、『サブスタンス』デミ・ムーアの受賞と予想。
主演男優賞
ティモシー・シャラメが取りそうな空気になっているが、『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディに。
キーラン・カルキンが固くロックオンしている。
脚色賞
『教皇選挙』になるのかなぁ。脚色部門は見ていない映画ばかりで難しい。組合賞でノミネートしているのが軒並み外れていて、被っている『ニッケルボーイズ』『名もなき者』にあげていいのか納得できず。
ジェシー・アイゼンバーグを何らかの形で評価するならここしかない。脚本賞は『リアル・ペイン~心の旅~』に取ってほしい。
撮影賞
見た時に絶対取ると思ったので『デューン』にする。協会賞はパブロ・ララインの『Maria』
編集が良かったのは『ANORA/アノーラ』に。
長編アニメーション賞
ラトビアのギンツ・ジルバロディス『Flow』が大健闘を見せているが、十中八九『野生の島のロズ』。
短編アニメーション賞
わかんなすぎだがせっかく見たので『Magic Candies』。日本が1個ぐらい勝ってもいいでしょ。
作曲賞
分からんって。あ!ここまでスルーしちゃってたから『ウィキッド』にしとく!
歌曲賞
『エミリア・ペレス』にしておく。
音響賞
これも見た時に獲ると思ったから私情で『DUNE』だな
『ウィキッド』だろ、と。組合賞は『ウィキッド』『教皇選挙』『ノスフェラトゥ』の3つが各部門のようなのでこの3つか。
衣装デザイン賞
『ウィキッド』だろ、と。その2。流石に一番凝っているはず。
視覚効果賞
これも私情で『DUNE』にしておく。猿が2つも入っているのでそこは割れるはずで、エイリアンは音響とかに入ってこなかったので作品評価は高くなさそうと予想。
メイクアップ&ヘアスタリング賞
残念ながらネタバレ画像を踏んだ結果、『サブスタンス』だろうな、と思っています。
『ノー・アザー・ランド』だろう。流石にイスラエル寄りすぎるオスカーなので、バランスをここで取ろうとしてくる。
短編ドキュメンタリー賞
『Incident』がちょっと衝撃的だったので、これが映画なのかはちょっと怪しい気もするがコレがとるだろう。BLM的なバランスもここで取れることになる。
短編実写賞
さいころを転がして『The Man Who Could Not Remain Silent』になりました。今年の短編実写は『アヌジャ』しか見れなかったのです。でも『アヌジャ』じゃないだろ、と思ったので。
国際長編映画賞
ここは『エミリア・ペレス』で確定だったはずなのだが、人気がない上に、熱烈な支持を感じたのでブラジルからの『I'm still here』が獲るのでは。。