どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
アカデミー賞のお時間です。授賞式は明日の朝から。わたくしはお休みをとりまして、モンキーさんのツイキャスにて授賞式同時視聴キャスに電撃参戦いたします。
では、ノミネートした作品の感想を徒然と。33本、アカデミー賞該当作品は見ています。
候補作品の感想
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
ドルビーシネマに無理をしていきました。普段映画をたまにしか見ないが、大作なら一緒に行くよ、みたいな友人と共に。初めてアバター見る人向け3Dリマスターの初代の試写会でドルシネで見て衝撃的でしたからね。
その衝撃は全く変わらず、映像が本当に凄すぎる。今回はメインは水辺(メインと言っても結構な時間海辺に行かなかった気もするが)っていうことで水の映像が多いんですけど、まじっすか、やばいわ、実写みたいだわ、とかいうバグった感想しか出て来なった。相当グリーンバックで撮ってると勝手に想像してるし、実際森はそうなはずなのだが、海でもこれかよ、すげえっていう。一部本当に実写、というかロケでボート浮かべてそんままやってそうだな、とかアニマトロニクスとプールに見えるな、っていうのもあったんですけど、もう見るものは何も信じられない。
話はね、いつも通りのキャメロンさんすぎる。あんなに丁寧に作った1の世界観をあっさりと捨て、また0から海辺の部族を描くくせに、水辺のトレーニングしていないスパイダーくんが水中でも無双する不思議とか、いろんな出来事の共有が出来ていない気がするとか、スパイダーくんは捕鯨はダメだと学ぶ少年の映像にしか見えないとか、いろいろ思います。うーん、ジェイクの無謀な父性、間違った父権主義みたいなところはさしてうまくもない鏡像関係で誤魔化され、白人酋長ものとしての誹りからも逃れられていない。ずーっと息子がSirとか言ってんの、軍隊じゃねえよとか言われてたのに直せないの、何の為の3時間だよ。…だが、あまりにも映像が良すぎる。困った。
オスカー的に言えば、視覚効果賞はこれしかない気がする。
逆転のトライアングル
エルヴィス
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
エルヴィス・プレスリーのマネージャー、通称大佐はエルヴィスを殺してなどいない。そう言って振り返り始めるエルヴィスの人生の物語。
始まってもう直ぐに手数の多さに濃厚こってりラーメンでも注文したかと思ってしまうが、オースティン・バトラーの魅力で捩じ伏せていく感覚になる。
恥ずかしながら洋楽は全く聞かないので、エルヴィス・プレスリーの曲も知らないし、彼の立ち位置も明確にはわかってなかった。それゆえに、黒人音楽を白人がやる、人種に属するように思われていた音楽ジャンルをミックスした、という現在だからこそ響くような前半部分の面白みをもっと拡大してほしかったかな、と。後半はありきたりな自伝映画になった感もある。もっとも、バズ・ラーマンがありきたりをとれば一定をちゃんと超えているのですが。
トップガン マーヴェリック
西部戦線異常なし
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
第一次世界大戦。それは歴史を変えた兵器が続々投入され戦争のあり方を変えた戦争。
その象徴ともいえる塹壕を舞台にしたドイツ軍兵士の物語。無論、ウクライナに端を発する現在の戦争に対する痛烈な批判でもあるのだが、それ以上にやはり戦争、そして人間の在り方、愚かさを示し続けている。
クリスマスまでには帰れる、はこの戦争の泥沼化を示す有名な文言だが、そう思ってる段階でのあの戦車の登場なんかは本当に絶望的な気持ちになる。
一方で、つい最近再放送されたNHKの「映像の世紀」を見てしまったのが運が悪かった。本物の映像の迫力、何かそこに籠る力には勝てなかった気がする
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
フェイブルマンズ
私ときどきレッサーパンダ
ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
ジェイコブと海の怪物
ブラックパンサー/ワカンダフォーエバー
THE BATMANーザ・バットマンー
アルゼンチン1985〜歴史を変えた裁判〜
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
軍事政権から民主政権になったアルゼンチン。軍事政権下で繰り返された反共の名の下の虐殺、拷問、誘拐。これらを訴追することになった検事とその裁判の物語。
裁判映画としては満点な演説シーンが実に素晴らしいし、こういう軍事政権を批判できる作品があることは素晴らしい。一方で、アメリカなどが作ってきた裁判映画の定石から考えると証言集めの困難さを謳いながら案外ポンポン集まってしまったり、テンポが良すぎるきらいがある。ある種の重厚さが無いというか。長い割に裁判のダイジェスト感が否めず、検事の葛藤とか若い人を使っての世代交代感とか、焦点が絞りきれなかったか。
あとは概略だけでも歴史を知っておくと、ここで裁かれた連中が結局すぐに恩赦をもらってるという事実、それが再度裁かれるのはごく近年のことだといつのにびっくりする
ナイブズ・アウト:グラス・オニオン
WATCHA4.5点
Filmarks4.6点
めちゃんこ面白かった。
コロナ禍のブノワ・ブラン。富豪が仲間を集めて島で行うマーダーミステリーにやってきた招かれざる名探偵。そして人が死ぬ。
いろーんなミステリへの敬意を感じる導入だが、中身としては本当にくだらない、それが素晴らしい作品。みんながぶら下がる大富豪がバカだよっていうことがガラスの玉ねぎと同様になっていてミステリとしてはくだらない。でもぶら下がる連中が一斉に嘘をつけば、っていうのがオリエント急行への応答だし、それをやる為に真ん中でジャネールモネイ殺しておいてB面始動っていうのがまたよく出来ている。潜入の時点でこいつ死んでねえな、って気付くんだけどそこに興奮してたら真犯人のこと忘れちゃうっていう。
モナリザ燃やすのは不味い気もするが、ああいう公共財を一部の富豪が占有することへの批判でもあるし…一部の富豪が…うん、イーロンマスクだな
オール・ザット・ブリーズ
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
僕らはみんな生きている。
インド、デリーは環境汚染、大気汚染が進んでトビが空から落ちてくる。こうした猛禽類の保護にあたるドキュメンタリー。劇中、移民への国籍付与に憲法違反の疑いがあるニュースが流れたり、街の治安悪化が描かれたり、インド国内にも分断があることがぽつぽつと描かれる中、それでも彼らは鳥を救う。同じ空気を吸ってるからだ。
ラスト、彼らの片方が、更なる技術向上を求めてアメリカに渡る。そのビデオ通話がフリーズして終わるラスト。彼らにも分断が訪れていないのであればいいのが…
ナワリヌイ
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
反プーチンの先鋒として知られた弁護士であるナワリヌイ。飛行機内でノビチョークという毒薬によって暗殺されかけた彼のドキュメンタリーだ。
事件の移ろいに関しては、当時のニュースでロシアの専門家が話していたことから前進はないが、実行犯をあぶり出す手法が闇サイトで電話番号の照合します、みたいなやり方なのは映画にするのはいいのか?と疑問も。最初の病院でマスクしろと怒られてもマスクせずに通せんぼされてる!にも違和感は感じちゃうよね、仕方ない。
その上で、現在もナワリヌイは収監され、プーチンの悪性は更に際立ってる。
ドキュメンタリーとしての緊張感はザ・モールという反則には勝てなかった
短編実写
真冬のトラム運転手
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
到着したトラム。寒いから中で待たしてほしいなぁの要望を拒否られたおばあちゃん、うっかりトラムの中に入って、さらにうっかり運転してしまう。途中乗客もやってきて、命を背負うことになる中で乗客のトラブルを回避しつつも、暴走犯をちゃっかり押し付ける一冬の冒険…といってええのだろうか。
The Red Suitcase
WATCHA5.0点
Filmarks4.8点
今まで見た短編の中で1番かもしれない。
ルクセンブルクの空港に降りたたったイスラム圏の少女。何故か彼女は外に出て行きたがらない。
外に待っているのは花束を手にした中年男性。彼女は買われたのだ。
空港の出口+空港からのバスを使ってシンプルにエンターテイメントとしてスリリングでありながら、問題提起として十分にあり、そして家族というものを考えるきっかけにもなる、全方面に素晴らしい作品だった
An Irish Goodbye
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
お母さんが死んだ。彼女の遺したやって欲しいことリストをやるアイルランドの兄弟のコメディ。
弟さんの顔がいいし、神父?牧師?のとぼけ感も結構好き。ただもういかんせん字幕生成が困るぐらいちゃんとアイリッシュ訛りなのでちゃんと聞き取れた自信が無い笑
お前屁こいたな??
短編ドキュメンタリー賞
Haulout
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
男が極北で暮らす。何やら冊子を読んでいる。
映画の時間にして6分。扉を開けるとそこには想像もし得ない景色、そこらじゅうセイウチの大軍である。セイウチは休むための氷が温暖化で減少し、無理やり上陸しては狭い陸地で圧死とかをしまくってしまう。
単純にこのインパクトの絵を撮れてしまえばドキュメンタリー映画としてはある程度は高得点にせざるをえない。あの中を、外から小屋を撮ったのはどうやったんだ??出たのか??あの中を??
マーサ・ミッチェル-誰も信じなかった告発-
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
ニクソン政権で司法長官長官だったミッチェルの妻マーサ。割と思い切りのいい言動で人気だったために放任されていたがウォーターゲート事件を経て彼女の言論は封殺され、彼女の人格を疑わせることで言論の信憑性を失わせる。
彼女への再評価、どこか現代に感じるディベートなどでの人格攻撃、そして政権への不信。作られる土壌は納得しかない。
Stranger at the Gate
WATCHA4.5点
Filmarks4.5点
難民として逃げてきてムスリムのセンターが建てられているなど、おそらく一定のイスラム教コミュニティが成立している。
一方で、そこに学生時代に薬物に溺れ、人生を海兵隊でやり直し中東に派兵された白人男性が帰ってくる。
軍隊漬けの白人男性と難民コミュニティ、という道筋、そしてこれがドキュメンタリー映画になっていると言う事実。そこから導き出されるゴールに向けて関係者の証言が出揃っていく…のだが。
思いもよらぬ方向に進む証言、回想の結果、あーこの映画が作られて良かった、こんなに意義のあることがあるだろうかと思える。怒りを訴える映画に対して、聞き飽きた、次のフェーズに移れと嘆く愚か者は次のフェーズに至ったこういう作品を見てほしい。その上で、まだまだ怒りを訴える映画は作り続けられてほしい。
How Do You Measure a Year?
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
2歳から18歳まで、娘のエラに対して幾つかの質問を固定で投げる様子を記録したもの。何が人生で楽しい?夢は?1番怖いものは?お父さんとの関係はどう?
ある種のホームビデオではあるのだが、成長していく様子を微笑ましく見るとともに、変わらないところ、変わるところを感じこの人の本質を覗き見る感覚。
エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
タコと恋愛した映画が長編ドキュメンタリー部門を制した後だと、インドゾウを保護して親子関係的に過ごしている話はすごく薄味に見えてしまう。
短編アニメーション賞
The Flying Sailor
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
船の爆破事故の爆風で吹っ飛ばされた男の人のお話。セリフなしで死の走馬灯のような瞬間を、ザ・たっちの幽体離脱を思い出させながら無限に広がる世界で描く。ああいう時はスローモーションで無音、みたいな演出は実写でもあるがまさにそういう感じをドラマティックにしたのだろう
My Year of Dicks
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
ロストバージンについての話を5章立てにして、4章まではあと一歩だった的なものをテイストを変えてやっている。ホラーだったり、ジャパニーズアニメだったり。基本がロトスコープなのでそこの差異が分かりやすく、表現手法としては面白い。
ただまあ知らん人の性遍歴チックなのを聞かされても知らん、としかならない。恋バナも別に好きじゃないんだすまない。強いていえば、親と性についての話をするのがショッキング!ってところは面白かった
An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It
WATCHA4.5点
Filmarks4.7点
ダチョウがこの世界は嘘だよ!と言ってくる、というタイトル通りの作品…だと思ったか!!
ストップモーションアニメでトースターを売るセールスマンの話なのだが、どうにもオフィスがおかしい。そこにエレベーターからダチョウが出てそんなこと言うもんだから、そんな気がしてくる。という主人公なのだが、これをストップモーションアニメを動かす手などを込み込みで映している。後ろで蠢く恐ろしい手数でストップモーションの大変さを雄弁に語りつつ、この世界が作り物なのではないか?という疑念に正当性を持たせる。世界の枠組みが壊れる話が大好きなのだが、こういうアプローチで来ますか!という楽しさがあった
氷を売る親子
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
断崖に住まう親子。彼らは高所での生活の強みを活かし、水を凍らせてそれを麓の街に売って生活している。
高所における上からの視線、落下へのハラハラと断崖の危険性が序盤から心臓を痛めた上で、ちゃーんとそれが予感として機能してる。高所恐怖症としては大変に怖かった
なんとなくの予想
昨年もなんとなくで全部門予想しましたが、昨年より見ていない気がするし、昨年よりも前哨戦を終えてない雰囲気も漂いまくっているので、願望ベースってことにしておきます。
作品賞
十中八九エブエブです。ここは揺るがないと思います。流石に強い。トム・クルーズ感謝票が集まってトップガンが取ったら奇跡ですが、その奇跡は映画ファンなら信じる価値のある奇跡だとは思う。でもエブエブ。
監督賞
基本的にはここもエブエブのダニエルズだと思う。監督組合賞を取ってるし。直接対決でトッド・フィールドとスピルパーグ、、マーティン・マクドナーに勝ってるっていうのは強い。オストルンドがそこに勝てるとは思えない。スピルバーグは半自伝的映画で、フェイブルマンズにあげるならここしかない、というのが気になるところ。でもエブエブ。
主演女優賞
むっず。引退がどうとか言い出してるし、ケイト・ブランシェットで決まりだろ、と賞レース開幕時は思っていたのだが、彼女の失言やライズボローを支援した感じの疑惑とかで勢いを落とした感じのうちにエブエブパワーでミシェル・ヨーが一気に強くなった。もう一人のミシェル、ミシェル・ウィリアムズに関しては映画を見た結果助演だと思ったので選びたくない。
主演男優賞
俳優組合の賞のノミネートから漏れたポール・メスカルは作品の小ささも含めて厳しいとして、オースティン・バトラーとブレンダン・フレイザーがコリン・ファレルを猛追している印象。っていうか、最近はイニシェリンの名前をすっかり聞かなくなったんで、むしろ2人が逆転しているのか。だが忘れてはならない、実在の人物を演じると高得点だったはず。じゃあオースティン・バトラーか。でも作品を見たらブレンダン・フレイザーにするしかないわ、うん。
助演女優賞
エブエブから娘役ステファニー・スーと国税庁の職員役のジェイミー・リー・カーティスがノミネート。娘役の方が人気でそうだが、俳優組合は後者に。ただ、ここはMCUにおける賞レースの歴史を切り開いてきたブラックパンサーがまたも初の演技賞をこじあけると信じたい。アンジェラ・バセットが票の割れるエブエブ勢をなぎ倒せるか。映画見ちゃったらホン・チャウも好きだったけども。
助演男優賞
キー・ホイ・クァンで決まっているので面白くない。ブレンダン・グリーソンが一番だと思ったが、せっかくのここがイニシェリンで割れてるし、ポール・ダノは落選してしまっている。ジャド・ハーシュもインパクトあったけども。
長編アニメーション賞
デル・トロのピノッキオで決まり。メジャーのアニメ賞を総舐めにしているうえで、デル・トロというだけで見てくれる会員の数が桁が変わるだろう、即ち票も集まる。インディペンデント方面の賞では、靴履いてる貝が人気。これの監督はリロ&スティッチの実写やるらしい。
長編ドキュメンタリー賞
ウクライナ情勢も踏まえるとナワリヌイがやはり強い。平和へのメッセージはここぐらいしか打ち出せなそうだし。ベネチアを獲った作品が不気味なんだけど、知らねぇし。
脚本賞
如何せんエブエブが強いんだからこれも行くっしょ、と思ってしまう。
脚色賞
続編は脚色賞、という学びが生まれた今回のノミネート。トップガンは脚本は別に…だし、ナイブズ・アウトにまたあげるの、とも思う。今回の監督賞部門などにちっとも女性が絡んでこなかったということを反省することも含めてウーマン・トーキングで。シー・セッドを入れておけばいいのに、とも思う部門ではあった。
などと記しておいたのだが、組合賞もウーマン・トーキングが取っていた。冒険したつもりが安全策だったらしい。
国際長編映画賞
西部戦線異状なしでしょ。ネットフリックスが全力をここへのプロモーションに金書けるだろうし。
短編ドキュメンタリー賞
stranger at the gateのメッセージが本当に素晴らしかったので、どうにか勝ってほしい。hauloutも凄まじいが。
短編アニメーション賞
Apple TV+にて配信中の僕、もぐら、キツネ、馬が圧倒的に強い。これで決まりだが、ダチョウがしゃべってくるストップモーションが大好きだったことは申し添えておく。
あとはこう、ふわっと。
視覚効果賞:アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
編集賞:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
美術賞:エルヴィス
衣装デザイン賞:エルヴィス
音響賞:トップガン:マーヴェリック
メイクアップ&ヘアスタイル賞:ザ・ホエール
作曲賞:バビロン
主題歌賞:RRR
短編実写賞:the red suitcase