抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

年末特番「この映画は見てほしい2022」傑作選

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
 年末恒例の年間ランキングトップ10には入らなかったのですが、是非これはスルーしてしまうのには勿体ないな…という作品をご紹介するコーナーです。あなたのベスト10にも入らないかもしれない。でも見て損する映画じゃない…はず。

 

ブルーサーマル

 春ごろにやっていたアニメ映画ですね。まず九州方言として『すずめの戸締まり』の100倍ぐらい完璧な長崎弁が素晴らしい。その上で、駆け足なきらいのあるストーリーではありますが、大空に飛びたつつるたまちゃんが一人、また一人と登場人物を陥落させていく様子は、自分も攻略されている感覚になれます。思い返せば返すほど脚本はアカン気はしますが、見ている間はとても幸せになれる時間でした。このあと出てくるアンネ・フランクの旅する日記は意外と色んな評論家の人が年末に名前を上げてくれているので、本当に忘れられてるけど見たら楽しい映画だと思います。

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裸足でならしてみせろ

 音で世界を見せる、という取り組みを行う二人組の話。音っていうのは、もしかしたら2022年の映画を語るうえで一つのキーかもしれません。毎年重要な作品の登場するモチーフではありますけど。

 不器用すぎるコミュニケーションの取り方しかできない二人が体をぶつけあい、そして最後に辿る道は実に映画的で美しかったようにも思えます。

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アンネ・フランクと旅する日記

 2022年をどういう年でしたか、と振り返る時にウクライナ侵攻の話っていうのは外せない年だと思います。年間順位でも決してベスト10に入れるほどの、ファニーっていうのは無い作品です。でも、絶対に入れたいな、という思いでアニならのベスト10にワガママ枠で放り込ませていただきました。それぐらい大切な意義のある映画です。

 『コングレス未来会議』『戦場でワルツを』の寡作のすぎるアリ・フォルマン監督による、世界中誰もが聴いたことのあるアンネ・フランクの物語は設定を現代に移して、アンネの日記の宛先が具象化するっていう割とびっくりする話ではあるんですが、それにも納得させられるし、そしてここで描いたことを人類が理解していないから戦争がまた起こったのでしょう。

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母に捧げる僕たちのアリア

 私が毎年好きなジャンルとして挙げているのがフランス団地映画。2022年はこれがもう豊作で豊作で。『スティルウォーター』『アテナ』『GAGARINE/ガガーリン』『パリ13区』とどれも良き作品だらけ。その中で、明確に知名度が弱いので本作をプッシュしておきたいな、と思います。

 割と『コーダ あいのうた』に近い手触りの作品ではあるんですけど、そこの歌要素がオペラになっていて、団地の貧困っていう階層をうまいこと混ぜ合わせてましたね。歌の先生のキャラっていう意味でも悪くないし、フランス団地特有の治安の悪さっていうのもあって、美しい風景と共に見ていきたい作品です。

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そばかす

 少しづつLGBTQに対する理解とか、そういうのに対する偏見をなくそうよ、っていう社会に少しづつ、少しづつ進んでいる中で、その細分化されたセクシュアリティにもスポットライトが当たるようになってきたのではないでしょうか。そういう作品として、日本でこの映画が作られたことにひとつの意義を見出せると思う。その人がそのセクシュアリティであることに物語上の意味があるか、とかそういう議論は全く無用でその人がただそこにいるよ、っていうことが大事だし、それでいいじゃんっていう。劇中で三浦透子が感じた恐怖を感じなくて済む世の中になると嬉しいですね。

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マイスモールランド

 ここまで続くと社会派的な作品ばっかり、と言われてしまうとその通りですと言わざるを得ないんですが、しかしこの作品もまた、現代の日本で無視されがちな移民・入管・クルド人問題っていうのを日本を舞台にちゃんと当事者キャスティングで描いたっていうのがとっても大事なことだと思いますし、関わった人間たちがちょっとずつ出来るだけの善意をやってるのに、事態としてはどうしようもないっていうのも実際そう。限りある善意ではなく、システムとして救済がされるように、一人でも多くの方がこの映画を機会に知っていくといいですね。

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