抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

圧倒的ファムファタル「ブルーサーマル」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 絵コンテが監督の橘さん、あの!大地丙太郎監督、そして制作に入っているテレコムを代表するルパンのPART4.5の監督の矢野さんの3人だったので、そりゃもういいコンテ切ってますよ。

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WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

(以下ネタバレ有)

 

1.盤石のファムファタル

 もうね、本作を推すにあたってとにかく強調すべきは完璧に主人公つるたまこと、都留たまきの圧倒的な魅力。長崎から上京して、大学デビューを目論むも、ひょんなことから体育会系航空部に入っちゃった、っていう彼女。まず開始30分で1年先輩でいわゆるケンカップル的な言い合いをする仲と言え、「恋をしたい」と言ったつるたまにあてがわれる形となった空知くんを堕とします。最初は完全につるたまちゃんを倉持先輩を奪ったライバル、嫉妬の→で見ていたのに、すーぐメロメロになっちゃって。ちゃんと後半言われたけど、わっかりやすく惚れちゃってました。楽勝。ただ空知くん、分かりやすく幼馴染枠というか、当て馬なんだよな…。私は君のこと、応援してるぜ。

 中盤に入って、阪南館大学との練習試合合宿になると、ライバルとなる秘蔵っ子である羽鳥、そしてなんと腹違いの姉である矢野さん(cvみかこし!)が登場。まーたわっかりやすく、いがみ合ってるんですけど、競技を通して羽鳥とは認めあえる仲になるし、お姉ちゃんも審査員として同じグライダーに乗ったことで実力を認めてくれて。っていうか、矢野さんのお母さんは小さい頃に亡くなっていて、新たに結婚して妹が出来たけど、今度は離婚して離れ離れになってる、って矢野さんの回想だけで1週30分持ちますよ、下手したら。

 終盤は、空知先輩がパイロット志望ってことで離脱、国内でやることねーわ、つって倉持先輩もドイツに向かい、全国取るぞー!みたいな序盤の目標はどこへやら。ケツ持ちOBの小野D演じる朝比奈さんに脅されて、つるたまちゃん全国1位を目指す!の巻からの私をドイツに連れてって。ドイツ迄あの機体を持って行ったことで、墜落と見せかけて失踪していた倉持先輩(よく考えたらお前なにしてんねん)も完落ちでプロポーズ成功!空知先輩のことなんて忘れてドイツで暮らしましたとさ(暮らしてはいない)

 はい、どう考えても入口と出口が合ってない気がするし、何よりものすごい重要なこととして、グライダー初心者のつるたまちゃんが殆ど努力することなく進んでいく驚異のストーリーとなっております。最初は座学だ!みたいに怒られるシーンでも逃げ出すだけでカット!説明は試合の都度都度で最低限のことで済ませて、人間関係の方にフォーカスした感じで。体力は最初の検診で凄いです、感覚は新歓としての試乗で才能を感じさせました、これだけで彼女は乗れちゃいます。トリガールと違って、汗は流しません!でもちゃんと飛べた時の感動とかは描けているように感じたし、上空にいるときの鳥の見せ方とかで、結構頑張っているな、とは思ったんです。(いや確かに3回?2回?鳥のやつ使いまわしな気はしたけど。)

 その結果際立つのは、つるたまちゃんという人間の驚異的なファムファタル力。そもそも恐ろしい引力で多くの人物を堕としていっている訳ですが、空知先輩が順番守れ、と怒ったことや、ドライバーを落っことした話とか、めっちゃトラブルメイカーでもあるつるたまちゃん。でも周りの人たちはそれを笑って許せるし、ちゃんと付き添ってくれる。1年生で一人だけあっこまで凄いのに、同期組3人も全く拒否反応とか、いじめの気配すらない。ただのちょーイイ人たちっていうよりも、あらゆる人間を堕としていく彼女のジゴロっぷりが目立ちます。こういうのって、アニメの文脈的に言えば、異世界転生系で死ぬほど見たハーレム系とか、俺強い系の主人公像でもあるんですが、本人が天然無自覚、且つ相手がバカだっていう描写なしで男女が逆転するとここまで楽しく見れるものか、とびっくりしました。

 欲を言えばですね、監督も橘さんだし、関西弁が最高の河西健吾だった羽鳥君の話(あ、つるたまの長崎弁も良かった!お母さんの長崎弁はもっと良かった!)とか、同期3人組との文化祭の回とか、パイロット訓練に勤しんでいる時にふとつるたまちゃんのことを思い出す空知先輩とか、あいつはあの時何してた!?が気になりまくりなので、12話分のテレビアニメシリーズでやってほしかったというのが本音。でもそうなるとシリーズ構成とか高橋ナツコだろうからな、多分ここまで好きにならないんだよな…。

 何はともあれ、色々ツッコミどころはありそうですが、っていうか、脚本が壊滅的な気もしてきましたが、そこを含めて愛らしくも感じられる、即ち大好きな作品でした。ハッ、私もつるたまちゃんに堕とされた…?