抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

アンネ・フランク映画2本立て「アンネ・フランクと旅する日記」「私の親友、アンネ・フランク」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

今回はアンネ・フランクを扱った映画が同時期に2本出てきたってことでまとめてお届けします。

 

 

 

1.アンネ・フランクと旅する日記

Wo ist Anne Frank - Eine Graphic Novel

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 本作は小学校の教科書で誰もが学ぶコンテンツでもある、アンネ・フランクの日記が題材のアニメーション。アンネが日記を宛てて書いたイマジナリー・フレンド、キティーという人格が現代のアムステルダムで具現化するお話。この時点で設定がかなり突飛なので、アニメーションとして描く方が自然だな、っていうのがスムーズ。

 キティーは、アンネの日記を持って、アンネの隠れ家である現博物館から出ていくと実体化できるルールだが、アンネ・フランクの書いたことしか知らないので、アンネの行く末とかはちっとも知らないで、それどころか、アンネがただ行方不明だと思って探すのだ。

 その過程で出会う、アンネと隠れていた男の子と同名の少年ペーター。彼の存在によって、アンネ・フランクの(多分正確には彼女が感じた父オットーの)意志といえる、一人でも多くのユダヤ人を救うために何でもするんだ、ということが現代になって風化していないか?ということを難民問題を通して問いかける。現代において、いわゆるホロコースト否定などの歴史修正主義が台頭していることへの警鐘っていうだけではなく、もっと人類普遍の問題と共通させることで射程の広さと現代的意義を確保していた。誰もが知るアンネ・フランクだが、雪をかぶった銅像になり、戯画化され、キャラ化されて、その精神が伝わっていないなら、日記は形無しだ。誰もが知っていることと誰もが分かっていることは、話が別。

 気になるのはキャラデザで、ちょっと細長い人形のようではあったが、それも徐々に慣れていくし、アンネが生きていくために想像力がその助けになったように、アンネの時代の色彩も豊か。収容所に移送される電車の中から見える車窓の風景も、2年ぶりの外の世界を感じる喜びがあふれる美しさ、そしてそこからの地獄も想像力豊かでもある。この作品におけるナチスの連中は、黒装束に白仮面、隊列を組んで非常に非生物的、おまけに頭身があきらかにおかしい長身。全体的にグラッフィク・ノベルっぽさのある背景、結構ぬめぬめ動くし、キティー脱走シーンにアイススケートなど、アクション描写もしっかりしていた印象。題材に対して、そこは面白すぎるぐらい。

ちなみに私はこの事件を思い出しましたhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%25E3%2582%25A2%25E3%2583%25B3%25E3%2583%258D%25E3%2581%25AE%25E6%2597%25A5%25E8%25A8%2598%25E7%25A0%25B4%25E6%2590%258D%25E4%25BA%258B%25E4%25BB%25B6

2.私の親友、アンネ・フランク

My Best Friend Anne Frank

WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

アンネ・フランクの親友だったハンナの視点でのアンネ・フランク映画。既にナチスが占領を始め、ユダヤ人の迫害が始まっている時点からスタートするが、ハンナが収容所で過ごす様子と時間を飛びながら進む。この構成は正直意味なかった。
彼女とアンネが有刺鉄線越しに収容所で再会した、という史実をピークに持ってくるような作りだが、実はアンネの一番の親友は彼女ではなく、ハンナと一緒にアンネの家に行った女の子だったりするのが絶妙な嘘。それを結構正直に描いて入れ結果、アンネ・フランクの描き方としては結構珍しいお転婆さといやーな女の子感が出ているし、同時にハンナの行動も納得感が薄くなっている