抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

私は好きにした「君たちはどう生きるか」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 いやー見事に公開タイミングではやり病になって、すっかり見るのが遅れました。もう誰もこの映画の話していない気もします。公式が伏せまくった結果、ネタバレタイミングがつかめずに口コミのチャンスを逃しているような気もします。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

(以下ネタバレ有) 

1.宣伝形態について

 この映画の興行に限って言えば正解といえる数字を叩き出すかもしれないです。というか叩き出している。100億は確定らしいし。だが、この100億はこれまで培ってきた土壌を上から奪い取り、台無しにしにしているように思える。言っても風立ちぬから何年経った?ジブリじゃなきゃ映画館行かないよ、がこれきっかけで新しい映画ファンになってくれる可能性を閉ざし、未来の映画ファンを掘り起こすことを拒絶した宣伝方法だったと思う。スタジオジブリ宮崎駿ともなれば、日本の映画文化を盛り上がる責任は当然問われるのでは。この作品が最後だからジブリの持ってる財産食い潰すようなのでもいいか、ではないと思う。

 

2.私は好きなようにした。君たちも好きなようにしろ。

 シンプルに始まってすぐ思ったのは、ジブリって腐ってもジブリなんだ、という驚きですよね。火事の発見、階段の昇降、火の中を走り抜け、人力車に揺られる。この辺のすべての動作、小さな揺れ、これらのアニメーションのレベルがびっくりするという言葉では済まされないぐらい凄い。スタジオの解体、アーヤと魔女では違う手段に挑戦するなど、今までのジブリとはもう異なることを割り切っていく必要があるだろうな、っていう予想からは想像もつかないクオリティでした。クレジットとかびっくりしたけど作監一人で原画があの人数って!『鹿の王』以来のアニメーションの豊かさだ…と思いましたが、まさか全体的な感想も『鹿の王』と近しいものになるとは。

 アニメーションとしての面白さっていうのはあったんですけど、もう絶望的に構成がつまらん。作品世界での現実という世界を飲み込んでいってようやくセットできたと思ったら、異世界に飛び込んでまた一から説明したり、説明すら放棄したり。結局この映画は何を面白い山場として取り上げようとしているのかが見えないまま進むので、こっち側の心がちっとも動かない。

 13個の積み木を使って世界の均衡を守る仕事を継いでくれ、というのに対して、自分は悪意のある人間だからそれはできない。元の世界に帰る。友だちも作る。とか言われてもはぁ、でしかなかったんですよね。そも、悪意のない人間なんていないはずだし、っていうかこの映画全体にも通底するけど、戦争に対する考え方とかの面で宮崎駿自体も「悪意のない人間」という扱いではないと思う。というか、飛行機好きすぎたけど戦争に使われちゃった史観の人間ドラマを『風立ちぬ』で描いた時点で宮崎駿は悪意無き人間っていうのを信じすぎているようにも思える。ここでいう13本は多分ジブリの作品数のことで、ジブリは今後も映画を作るのか?という話なんだとはおもうが、

 宮崎駿作品は、振り返ってみれば決して脚本がいいとは言えないという評価が固まってきている気はするんだが、それでも全体をけん引するワンダー、ワクワクはそこにあって気づいたら楽しく見終わっているはずだった。この作品にはそのワンダーも無ければ、お母さんを連れ戻す話の推進力が弱い。結局後半は何をしているんでしょうか?という感情しか持てないまま進んでいく。

 でね、ここで急に翻って考えてみると、そもそもジブリってどっちかっていうと私は逃げてきた人間なんですよ。金ローでどうせまたやるし、で録画はするけど見ていないパターンとかばっかりだったり、見たけど覚えてなかったり。いや、かつては千と千尋を親に連れられて映画館に行ってるはずなんですよ。うーんでもどうしてもそんなに思い入れがない。ってなるとですよ、この映画が持っている自己言及性っていうんですか、ハウルの動く城(これはキムタクを起用していることから明らかでしょう)、となりのトトロを始めとして、そこで映画を見続けるモチベーションになる加点部分を私は感じなかったですね。

 まあ兎にも角にもですね、こういう時は有識者の意見を聞くのが一番です。幸いにして私が普段参加しているアニならでは、私不在で代打にライターのネジムラ89さんが参加して、きっと私が参加している以上の大激論になっているでしょう。執筆時点ではまだ見ていないけど!きっと!なっている!