抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

電影祭にて「新封神演義・楊戩」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 電影祭で日本初公開のをビシッと見てきました。はい。多分来年に正式に日本公開されるでしょうが、やっぱり先駆けて見たい。そう思わせるのが現在の中国アニメの魅力ですね。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

1.安定の追光動画ユニバース

 さてもさても、今回取り上げる作品のアニメーション制作は追光動画、という会社の作品。まあ有り体に言うなら、この会社の名前だけでも覚えて帰ってくださいね、っていう会社です。ディズニー、ピクサーに追いつけ、追い越せでやっている中国のアニメ映画会社で、『白蛇:縁起』から大きく方針を転換し、白蛇の続編、そして『ナタ転生』といった作品で安定した、というか極めて高いクオリティで3DCGアニメを提供し続けており、今回もそれは同じでございます。

 また、原題で言うと『新神榜:楊戩』と言いまして、『ナタ転生』の原題が『新神榜:哪吒重生』というもので、これ新神榜ユニバースとでも言うべきでしょうか、封神演義とか西遊記を軸にビシッとユニバース展開しているんですねぇ。封神演義西遊記も良く知らないですけども。ってことで、今回出てくる楊戩も、あとふわっとwikiを流し見してたら4兄弟の魔さん一家とかも原作勢らしい。というか封神演義の原作っていう概念がもう難しい気がする。門外漢。で、今回もちゃんとやっているんですけど特に序盤ですね。楊戩の強さを見せる一連の賞金首捕獲シークエンスっていうのが一連大変すばらしい。空飛んでのマシーン追いかけっことかね、カメラぐるんぐるんで、舞台になってる街がもうナタの時にも言ったんですけど、神話×スチームパンクでもうズルいわ、心をつかんで離さない。この街をずっと見ていたいのに、それを許さない怒涛のアクションで楽しいが続く。中国アニメの特徴?って言っていいのか分からんが、割とバンバン見せ場を作っていって話よりもそこのキレで見せていく、っていう印象がありますがモロそんな感じで最近のミッション:インポッシブルっぽさを感じるようなところがございますな。

 でも、それだと生のトム・クルーズの引力には勝てない、というところで法具演出、3DCGの世界から2Dの水墨画的なルックの世界に閉じ込めるっていうラストバトルが唸っちゃったんで負けです。これがね、もう殆ど『ドクター・ストレンジ』なんですよね。まんまミラーディメンジョンすぎて笑うんですが、ただですよ、日本でそれってあんまりしてないよね、っていう。他所でやってるあれ凄いからうちでもやろう!ってなった中で、ちゃんと自分の国でやるならどうするっていうのを翻案してやってるんで、そこの豪腕さ、言い方悪くすればパクリ力なんですが、これは素直に敬服します。仲間のメンツや主人公が吹く笛のハードボイルド感からして、こいつらカウボーイビバップやりたかったのでは??追光動画…ネトフリ…ビバップ…実写版!?なんて。まあ、油断ならないのは、向こうの原作が原典で日本側が創作に取り入れたパターンがあることか。

 とまあ、シンプルに凄いな、好きだな、っていう点は数多あるんですが、しかしこれまでの追光動画ほど激すごっていう訳でもないのが難しいところ。特に今回は話がややこしすぎる。賞金稼ぎに落ちちゃった楊戩がカムバックする話をベースに師匠殺しの沈香を追うっていうベースがあるんですが、この沈香に入れ知恵したらしき虎に乗ったおじさん、別で追いかける魔一家、その辺の皆さんがなんか色々肉親でした展開、うーん実に面倒。こういう話を場所を移動しながら、に見えて仙界の何とか壺(忘れた)っていう島の付近をうろうろしているだけで実はそんなに移動していない。沈香と楊戩の関係性をライバルから共闘に持って行くにはもうちょっと一緒の時間が長い方がいい。その上で、結局君らは何がしたい人なの?とか、なんでその人がそこにいるの知ってるの?が頻発するのが厳しい。楊戩の技もあっさり沈香が習得できるのが少しもにょった。もっとはっきりした軸にしても問題ないと思うんですけどねー。

 MCUばりにエンドロールで次回予告とユニバース拡張をしている追光動画。今回もナタの登場人物が登場して作品間が繋がり、次回作は今回も一瞬出てきた長安が舞台の作品の模様。アクションなさそうな雰囲気だったけど、さあどうなるか。