抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2023年の話をもうすると鬼が笑うけど「恋のいばら」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 本日はアニならの年間ベスト決めです。是非20時からご覧ください。

 

 そして今日はFilmarksの試写会で見た映画の感想です。公開前、そしてわざわざ解説の紙をくれるような作品だったので、是非年明け鑑賞後にご覧ください。

恋のいばら メインテーマ

WATCHA3.0点

Filmakrs3.0点

(以下公開前なので気を付けて下せえ、ネタバレがございます)

 

1.メンヘラ狂騒曲

 もうね、ハッキリ言ってしまえば登場人物みんなメンヘラですよ、問題人物ばかりですよ。試写会終わりのトークショーで登壇されたのがメンヘラテクノロジーという会社の代表の方の時点でもうそりゃそうじゃ!の連続ですよ。

 リベンジポルノ、って知ってる??みたいな予告編の導入からして、クソ男に立ち向かう元カノ今カノ連合が立ち向かうぞ!!っていう話に見えるじゃないですか。全然違うじゃないですかやだー。いきなり図書館で眠り姫音読しだす松本穂香でヤバさをどーんと前面に出しておいて、玉城ティナ松本穂香の邂逅、バスでのガン見シーンといい、明らかに桃ちゃんやばいっすよ感ビンビンで進むわけじゃないですか。一旦はシンプルな共同戦線っぽくはなって、そのままシスターフッドに進め!っていう、これまたちょっとわかりやすいかな?っていう方向に話が進む。ってなるとまあなんかどんでん返しあるよねーって思ってたらやっぱりある。あるんだけど、桃は激重系女子でした!とか、実は二人の交際期間が被ってたというか、キスシーンを目撃したとの云々で、莉子は意趣返ししました!とか、うーん、小さいっていうか、桃がヤバいのは隠してたっていうよりもガンガン見せてたしなぁ、って思っちゃう。全体を通しての眠り姫のモチーフも十全に機能しているとは思えなかったし、脚本的にちょっと物足りないのかなっていうのはありますね。

 役者としては基本的にはみんな満足で、取り敢えずクソ害悪ムーブをかましてる渡邉圭祐さん演じる健太朗のひどさっていうのは完璧でした。図書館のレファレンスで写真とってもいいですか?とかキモいし、認知症っぽいおばあちゃんのいる実家に女連れ込むのも引くし、そして何より導入になる事後の写真勝手に撮るのとか本当にクソです。ただ、めっちゃびっくりしたのは、大概のマイナスポイントムーブがメンヘラテクノロジーの方がプラスポイント扱いになってたんで価値観!!!っていう。ちくしょうめ。松本穂香さんはですね、そもそもTBSラジオ「新米記者松本穂香です」を愛聴していたので、めっちゃ好きな俳優さんで万事オッケー、玉城ティナさんの方はダイナーのトラウマでしょうか、減点に少しなっちゃったのと、頑ななトップ防御態勢に、じゃあこの役受けなきゃいいのに…とは思ってしまいました。回数多いからキニナル。あと松本穂香の元カレ役の中島歩ね、出てきただけで満点の大学講師役で爆笑してしまいました。しょうもない男役が板につきすぎでは。

2.ズレる主題

 ただですね、最も気になったのは題材のスライドの仕方ですよね。リベンジポルノっていう問題を防ぎたい、っていう実際にいっぱい苦しんでいる人のいる題材で導入していて、劇中でもやめてと言われても写真撮ってる訳ですよ。実際にそこにその問題はある。あるのに、それは大した問題じゃなかったの、なんて言って物語の構成上のどんでん返しの犠牲にされて矮小化されるような展開は、正直まったく好みではないです。その語り口で進んでいって、しかもバスでの邂逅で視線の暴力を描き、健太朗の家での覗き見とか、映画館で鍵を盗むところの見えないところ、みたいな話があったり、莉子のダンスのオーディションでの一方的な視線だったり、そもそもinstgramの一方的な見られる感覚とか、いや本当に見ることや撮られることの加害性をしっかり描いていたんですよ。それなのに、その暴力性を置いておいて、とかやったり、あと見ることの暴力でもなく、見せることの暴力っていうちょっとブレるのも出したりして。うーん、好みじゃない、としか言うしかないですね。

 終了後のトークショーで、いっこなるほど!と思ったのは、メンヘラっていうのは客観視が出来ていない、周りからどう見られているかの視点がないから視界が狭まってムーブがあかんくなる、という話はなるほど!と解像度が上がり、じゃあやっぱり視線の話じゃないか!何故それを徹底しないんだと口惜しくなりましたな。