抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

薦められて面白いとなんか嬉しいよね「日曜日とマーメイド」「朝がくるとむなしくなる」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はMOOSIC LAB2023で拝見した映画の感想です。邦画に関するキャスでお馴染みお気ままキャスのkikukoさんにアニメ描写のある邦画ですよ!とお薦め頂いたので見てきました。

1.日曜日とマーメイド

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WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 地方都市。あいまいみー…とよく似た名前のアニメの舞台となった教会。その一人娘と疎遠になった友人。娘はアニメーターになりたいけど父親に言い出せない。友人は学校の進路調査に人魚になりたいと書いて呼び出された。アニメのエンディングアーティストのライブが教会で開かれることになり…という短編。

 人魚になりたいっていうどう考えても普通の女子高生としてはおかしい進路表明をしておくことで、ナナヲアカリのライブ中のクソ男子高校生に対して本当は「アニメーターになりたい!!」と叫んでいたけど脳内では自分がアニメのキャラになって悪即斬している、という飛躍が許せるようになる。私の大好きな大きな嘘を一個ついておくことでリアリティラインを揺るがしておく手法ですね。現実にアニメが侵食して立体化していないとはいえ、確かに一瞬ライブ会場にアニメキャラが立っている。でもってことはライブ中にあの男子高校生ははしゃいでいたわけで、その前のあからさまなオタクからかいムーブといい、分かりやすく露悪的すぎたかもしれん。

 アニメの制作はスペースネコカンパニーだった。スペースネコカンパニー!?ポプテピピックをはじめとしたキングレコード作品のイメージしかなかったわ。作画に凝ってるアニメと言及される割には普通だったかな。

 

2.朝がくるとむなしくなる

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WATCHA4.5点

Filmarks4.6点

 刺さったー、グッサグサでした。これはしんどい。

 非常に分かりやすい話。唐田えりか演じる主人公はどうやら就職を機に上京してきたのだが、離職してコンビニバイトを始めたばかり。どうにも毎日に意義を感じられない様子。ここからの回復の物語だ。

 回復のキーになるのは、たまたまコンビニに来たことで再会したかつてのクラスメイト。演じる芋生悠は、『ある用務員』の守られる側みたいなイメージだったのでびっくりするぐらい綺麗で、陽に溢れていた。そして、コンビニで働く仲間たちもまた素敵だ。軽い調子でギャルに求愛している大学生に明るさが与えられ(若干セクハラ感もあるが)、いつも申し訳なさそうに水曜の夕勤を頼んでくる店長のおかげで自分が必要かもしれないと思え、怒鳴ってくる客からかばってくれた男子に恋をし、そしてギャルの「朝起きて学校行ったり働くだけでめっちゃ偉い」という自己肯定感ガン上げ言葉にそれでいいのかもと思える。それまでやっぱりどこか他人行儀というか、自己を卑下している中でも少しづつ人間関係という意味での「社会」復帰を果たせていて、だから彼らとの飲み会で泥酔も出来る安心感。勿論、彼女をほぐしていき、笑顔を引き出していく芋生悠は別格で、『勝手にふるえてろ』辺りでエグい演技力を見せた松岡茉優を思い出すほどに彼女は輝いていた。唐田えりかはどんどん回復していき、変貌する役なので演技としては分かりやすい方だが、彼女は違う。横で支えるように、主人公にとっては救世主にも見える輝かしさを持っていながら、しかし彼女は彼女で当然万全な訳もないっていう話な訳でそれを匂わせ程度には漂わせる。

 そして勿論、食事描写も非常に分かりやすい人間性の回復とリンクしている。最初はコンビニ弁当をレンチンして食っていた食事も、途中で激辛カップ麺になり温度が生まれる。そして飲み会での卓を囲んだ食事、芋生悠の実家での朝食という暖かさを経て、ついに自炊に挑戦するっていう終わり。久々すぎて結局賞味期限切れでレトルトカレーになったのはご愛敬。

 最後にようやく母との電話で、言えなかった離職を打ち明けられる。お母さんはそんなことで、と笑う。本人にとってはとっても大きなことで、言えない、言ったら失望される、そういう出来事なんだけど、いや周りから見たらそんなスーパーでっかい出来事じゃないのよ。でも、そういう小さい物語でも何が悪いのよ。これで朝を迎えても、むなしくなくなるのよ。

 とまあ、ここまでなのも私が自己肯定感ガン下げマンなのでね。あれは私だ!などというのはおこがましいのですが、いやでも多少重なっているのは否めない!!そしてこれを見てもなお!客観的に見ればそんなこと大したことないよ、という描き方は素晴らしいという感想とは別に、そうはいっても自分はまた違う話だからな…と卑下しまくれるのだ!舐めるなネガティブ!

 そうそう、唐田さんを見たのは『寝ても覚めても』以来だった訳で彼女の映画界への復帰みたいなストーリーも勿論感じさせる訳だが、あの時は気づかなかったんだけど彼女背が高い!167cmだそうです。東出昌大がデカくて気づかなかったんだろうな。うーん、そう思うと不倫の制裁としてはやっぱアンバランスというか、理不尽だよなぁ。