抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

青春は時間を超えて輝く「サマーフィルムにのって」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回は監督・キャストさん総勢11名も登壇した試写会で拝見した感想でございます。個人的には、昨年度ベストだった『ドロステのはてで僕ら』的な枠になるのでは?と思って見に行きました。

f:id:tea_rwB:20210715021657j:image

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

(以下ネタバレ有)

 1.映画を描いた青春映画の尊さ

 えーとですね、そもそも映画を作ってる映画ってみんな大好きじゃないですか。最近なら映像研だし、もういくらでも出てきます。それだけで基本的には大加点じゃないですか。しかもですよ、本作は映画を作る高校生たちの物語。青春映画なのでございます。これは大成功に終わった『ちはやふる』シリーズがまさにそうですけど、青春ものの映画において、若き俳優たちの一瞬のきらめきを切り取る、っていうのが、ちはやふるならカルタ、そして本作なら映画に残している。一瞬を切り取る題材に対して、青春の相性の良さが輝きを+してる訳ですね。

 そんでもって、その映画の主人公に据えられるのは未来からやってきたイケメン。わーお、SFまで入るんか。っていうミックスジャンルっぷり。いいぞ、もっとやれ。金子大地さん演じるこのイケメン、そして見事に脇を固めるキャラの強いスタッフ陣。デコチャリヤンキーが照明を担当(デコチャリの時点で多分普通に良い奴)し、捕球音だけでピッチャーを当てる野球部のボンクラコンビが録音を担当。彼らの個別エピソードが見たくなる良きキャラ。勿論、圧倒的な存在感を持っている板橋駿谷さんも欠かすことは出来ないでしょう。キャスト登壇の試写会、ということでしたが、彼の明るさが会自体を大きく盛り上げてくれていて、自分が監督なら現場を回すためにも、ぜひ加わってほしい俳優だよなあ、と強く思いました。

2.分断を乗り越える映画愛

 現在は、完全に「分断」の時代。それは思想的にもそうですけど、この映画で表されたのは、もうちょっと小さい分断。まずシンプルに、現在の我々にクロスオーバーしてしまっているコロナに伴う分断ですよね。未来からやってきた凛太郎のいる時間軸では、動画は基本5秒、1分超えたら長編で映画という存在はない。映画がある、ないという結構大胆な変化ですが、コロナで劇場に足を運べなかったここ1年のことは大きく作品と現実がリンクしています。

 加えて、未来だけではなく、過去ともこの映画は繋がっている。主人公のハダシたち3人が大好きなのが時代劇(正確には2人だけど)。この時代に『椿三十郎』とか『座頭市物語』の殺陣をクイズに出す女子高生って、もうその存在が時代劇と現代劇の間の分断を埋める存在ですよね。ちなみに、この2本って、この映画のテーマとして大きく描かれる殺陣は告白、という理論を3年も前にTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で春日太一さんが特集していた際に挙げられていた2本でもあります。

www.tbsradio.jp

 そしてもう一個。映画好きと言いつつ、ついつい我々がしてしまうジャンルによる選り好み。アニならに出演していると、アニメ映画への偏見は無いつもりなんですが、それでもどうしても見る気にならないのが所謂キラキラ映画。でも、確かにそのジャンルを好んでいたって勿論映画好きな訳で。映画部本隊の花鈴が撮影している「好き」しか言わない映画。勿論、映画を見て批判することはあっても、その映画見てないのに批判してないかな。かなり自分にグサッときましたね。ちゃんとそういうジャンルの映画も食わず嫌いしないようにしたいな、と思います。振り返ると、花鈴はライバルポジションでありながら、めちゃくちゃおいしいキャラでしたね。あれはズルい。懐の深さまで見せちゃってるもの。

 最後に少し言っておくと、凛太郎は文化祭当日にこっそり来い、っていうのと、凛太郎が「胸熱」という言葉を使ったのが少し違和感あったのと、夏の映画なのでもう少し汗が見たかった、かな?