抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2021年最高の戦乙女「ベイビーわるきゅーれ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はこの夏最も期待していた作品といっていいでしょう。『ある用務員』で抜群の輝きを見せた女子高生殺し屋コンビを主役に据えた『ベイビーわるきゅーれ』でございます。

らぐなろっく ~ベイビーわるきゅーれ~ feat. Daichi

WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

(以下ネタバレ有)

 1.ちさととまひろの最高の殺し屋コンビ

 もうね、この2人の魅力に溢れまくっている、ということを言わなくてどうするんですか、という作品でございましたね。

 殺し屋稼業の女子高生2人組は、高校卒業に伴って、組織の命令で同居&社会生活への適応=バイトをしないと命じられる。っていう2人の殺しと日常の緊張と緩和で進む物語。冒頭いきなりのコンビニでのナイフ乱闘(これは妄想だった訳ですが)はとにかくナイフで刺す手数を多くしてじんわりやっていくタイプで、男性数人に対して体勢としては押されたり、持ち上げられたりしてる状態でのアクションっていうのは結構珍しい感じがして期待が持てるわけです。

 そんな感じの出先から帰ってきて繰り広げられるカッコつきにしておきますが、女子2人の「ありきたりな」会話。一応、まひろが社会適応できない、バイトで面接不合格を繰り返す流れで2人がケンカしちゃってそこから謝ってのバディアクション最高!って流れなんですが、いちいち会話が面白い。食卓の前にカメラを固定しておでん食ってるシーンなんか、もうずっとダラダラしている。ちさとは何度奥に一味やらなんやらを取りに戻っただろうか。しかしその間でもまひろはソファをまともに移動せず、身体能力を見せる。しつこすぎるぐらいのこの空間の維持は、バイオレンスと会話、という点でタランティーノが挙げられやすそうだが、個人的にはS・クレイグ・ザラーの方が近い感じがしました。ザラーからもうちょっと痛そうな感じと、長回しを減らす感じかしら。

 そういう緩和を見せてしまっておいても問題ないのが、完全に爆発するフィナーレですね。前半から振っておいた機関銃とスタントウーマンでもある伊澤彩織さんの真骨頂。まひろの1on1はマジで息つく暇もない徒手空拳の連打で、互いに殺す気満々のアクションでございます。目の端に映った拳銃を取りに行った方が勝ち、という状況はよく見るんですけど、そこで取りに行ったところで頭突きでかますっていうやり方は大変フレッシュでございました。いやー素晴らしい。

2.それを取り巻くエトセトラ

 ただですね、他のみなさんのキャラも良くて。敵対することになるヤクザの組長は、団子屋のお釣り200万円にブチギレて耳に団子の串をぶっ刺す頭のはずれ具合が素晴らしい。油なんか売ってねえ、とおとぼけキャラを完全に確立する。その状態で繰り出される圧倒的正論、ヤクザの世界も女性が働きやすい職場だ、多様性だ、『オーシャンズ8』見ていないのか?の文言で世界を茶化す。そして目をつけるメイド喫茶の視察とブチギレ。そこで退場するのが勿体ないと思ってしまういいキャラでしたが、そこでの高石あかりさんのアクションも流れるように良かったので、まあオッケーと捉えましょう。

 圧倒的に正しい、と言えば掃除人の水石亜飛夢さんのいいっぷりも素晴らしい。ネチネチ個人利用で死体処理を頼んだちさとに、ただ殺せばいいんじゃなくて銃で殺すなら心臓を狙ってくれ、頭を撃たれると大変なんだ、と。自分たちの仕事に自信があるがゆえに労働環境を改善させるためにネチネチ言うのは、完全なる正論ですからね。あっこも面白かった。

 あとですね、圧倒的に素晴らしいと思ったのはラバーガールの飛永さんですね。この作品では、ちさととまひろに唯一直接コンタクトをとれる組織の上司的な立場の人間な訳です。この作品において、女性2人のシェアハウスとか、メイド喫茶のバイトなんかは、むしろ凄く現実に立脚している描き方で、殺しの側面がどうしても浮遊してしまう。その結節点にいる飛永さんが、ラバーガールのコントで見せる絶妙すぎるすっとぼけに対する受け入れ方を見せることで、ちさと&まひろも現実と殺し屋の両方にしっかり脚を置くことが出来ていると感じました。

 飛永さんのすっとぼけ受け入れ力が顕著なコントを2本ほど。


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