どうも、です。
今回はウェッサイー!!ウエスト・サイド・ストーリーの感想です。ウェッサイーは、愛聴するTBSラジオ「アフター6ジャンクション」の教えて!カルチャー先生の特集で、渡辺志穂さんが教えてくれたWest sideを意味するヒップホップ用語だと記憶しています。間違えてたら申し訳ない。響きだけで覚えてます笑
WATCHA3.0点
Filmakrs3.0点
(以下ネタバレ有)
1.ミュージカルはやっぱり合わない
さて、まずは1961年度版のウエスト・サイド物語を午前10時の映画祭で鑑賞した時の記録をご覧いただこう。
要は、ロミオとジュリエットなのだが、ご存知!な話に追加されたダンス、しかも歌詞のないものが多い前半は話が殆ど進まない。インターミッションまでの話は15分で済ませられる。だいたいいきなり序曲4分ってなんやねん、と。
そこから後半に無理やりドラマ詰め込んでるから、アンバランスになってしまう。
踊りも含めて、対立する両陣営が馴れ合いというか、ガキがじゃれあってるようにしか見えないのも残念。ただのダンスバトルぐらいの感覚だったからこそ、後半が急展開すぎる。血の匂いをもう少しさせておくべきだ。
私は踊りが観たくて映画館に行くのではない。物語を求めているのだ。
すげえ、感想が殆ど変わらんぞ、今回笑。
相も変わらず、ロミオとジュリエットで、それは変わらない。で、更に長くなったので、知ってる話を進まない焦らしを受けながら進まないといけないのでイラっとしてしまう。勿論、スピルバーグが監督したことによって、明確にお金もかかってるし、撮影が特に素晴らしく感じる。ただ、そこに目が行く時点でね、っていうのも事実。
決定的だったのが、ミュージカルだとどうしても話が頭に入ってこないのを自分で承知の上でこっちも挑んでるんだから、「なんで踊りだすんだよ」って言葉を必死に飲み込んで見ているのに、シャークの連中が歌い出した時に、ジェットの連中は歌手兼ボクサーかよ、って野次るんですよね。いやあ、もうこれで完全に冷めた。冒頭なのにすっごい冷めた。じゃあ、お前らは無職兼ダンサーじゃん、なんなら兼歌手もしてんじゃん、っていう。歌うこと、踊ることを感情表現の発露として受け入れる共犯関係になってあげる気でいるのに、そこに水を差されたら、もうミュージカル苦手な人間からしたらもうダメです。
途中本当に無になっていくのが、学校が仕切っているダンスパーティのくだり。いや、何がギャングだよ、学校の仕切りのダンスパーティ来ているの?って思ってるところで、素晴らしいキレのダンスの数々を見せられても、正直ちっとも面白くないです。前作の感想にもありますが、踊りを見に来ている訳じゃないんですよ。それ見たいなら、ちゃんと専用の訓練を受けている人たちが頑張っているミュージカルに行きますよ。
血の匂い、とかそういうところは再構築されていて、不満は減ってはいました。
2.メッセージと現実の不具合
こういうリバイバルもの、っていうのは、「なぜ今?」が大事な訳ですよね。勿論、分かりますよ、知ってるIPの方がお金を稼ぎやすいから、っていう大前提があります。ありますけど、それでも「大義」が必要じゃないですか。そういう意味で言うと、本作は60年前に作られた映画で描かれていた白人と移民の殴り合いの対立っていうのが、本質的にはまだ変わっていないよね、っていう話だとは思うんです。あとは、男女とか、中途半端な仲間意識の対立の幼さといいますが、分断の現在。ただですね、それを60年作っていない、っていう風に解釈するのは実は違うかな、って思っていて。本来的には、ウエスト・サイド・ストーリーって映画ではないじゃないですか。もともとはブロードウェイのもの。で、世界中で翻案されながら今も舞台・ミュージカルをやっているはずだし、事実TBSラジオでCMを聴いている記憶がある。前述のアフター6ジャンクションに森崎ウィンが出た時もその宣伝してなかったかなぁ。ってことはですよ、ミュージカル・舞台の文脈では、ちゃんと今日的な何かをちゃんとやりながら、作品のメッセージは伝えられている訳で、この映画じゃないといけない!って理由が見当たらない。そこを映画じゃないとダメ!って言い張るのは他の娯楽に対する映画のエゴにも感じる。(だからここで61年度版の映画を原作、とか言い出すやつは本当に嫌いです)
そして残念ながら触れざるを得ない主演のアンセル・エルゴート。作品の分断へのメッセージに真っ向から反する彼の行い(正確に言えば、やってしまったことへの反応・対応)が、ますますこの「映画」を見なくてはならない、っていう理由を無くしてしまいます。彼がならず者ならいいんだけど、役的には刑務所に入って更生して、無駄な争いを止めようとして、それでもやっぱり悲劇の真ん中、みたいなキャラになる。それって真逆っていうか、被害者の方からしたらありえないでしょ、っていう。