抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

ダニエル・ラドクリフ参戦!!「ガンズ・アキンボ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 あー頭空っぽにしてアクション映画みたいな、と思っているそこのあなた。本日の作品がとってもオススメでございます。

 「ガンズ・アキンボ」です。ダニエル・ラドクリフ、アクションの世界に参戦!!

Guns Akimbo

 

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

 1.みんな狂っててサイコー!

 スーパー大ヒットしたシリーズもののキャストというのは、そのイメージにとらわれてしまうもの。だから悪役だったり、変な役だったり、時代劇だったりと役者としての印象を変える役を一旦クッションに入れて幅を見せる、というのはよくあることです。例にもれず、ハリー・ポッターのイメージしかなかったダニエル・ラドクリフは「スイス・アーミーメン」にて7つ道具の死体役を演じて評価を一変させました。だが、まさか戻ってこれなくなるとは…。

 そんな訳で、本作のダニエル・ラドクリフはしがないプログラマー。ネット上で荒らしをしている、まあしょうもない人物。最初に描写されるそのボンクラ感、酒飲みながらキーボード連打してるのも、仕事場でもたまらずサボってるのが何故か絵になる。そこから殺人ライブサイト「スキズム」を荒らしてしまって、両手を拳銃にされちゃうという超トンデモ展開ですが、いやー素晴らしかった。手が使えないからションベンがトイレに決まらない、けど血まみれよりいいか、なんてハリー・ポッターが言うんだからそれだけで面白い。手が使えないだけで、おそらくは普段彼が荒らして下に見る対象だろうホームレスに一切を世話してもらうのも痛快です。まあ欲を言えば、8か月前のホットドッグでお腹を壊してトイレ行ったのにズボン脱げないどうしようが見たかった…のか?

 更に最高なのは、まあこの映画を見たら誰もが大好きになるだろうサマラ・ウィーヴィング演じるニックス。シンプルに強い殺人者であり、ヤク中で、言葉遣いが悪い。最高にロックでパンクな出で立ちと振る舞いが心をつかんで離さない。すっかりヤバいやつに見えるやつの定番といっては、なんですが、実はしっかり人間愛に溢れていて、自分の犯罪歴を消すため、復讐のため、と行動原理はちゃんとある役回り。

 まああとはスキムズを展開している大ボスリクターですよね。彼こそ動機が良く分からんし、行動原理がズレてるところもあるのでともすれば浮いちゃうんですけど、この映画の音楽使いとかも合わせた雰囲気に上手く溶け込んで違和感スレスレで仕事していたと思います。ああそうか、ダニエル・ラドクリフの敵だからスキンヘッドなのか。ん、じゃあニックスは事実上ベラトリックス・レストレンジか。

2.西部劇的な拳銃の扱い

 さて、演出的に非常に印象に残るのはマイルズの両手に装着された拳銃の残りの弾数が表示される演出。拳銃をいつでも撃てるぞ、という状態にしておきながら、本人の心の整理やトラウマの乗り越えが済んでないから撃てない。そしてある瞬間から拳銃を抜いて撃つ。その瞬間彼はヒーローとなる。こういうある種の男性性の象徴としての拳銃っていう使い方は、凄く西部劇っぽいな、と思いました。

 弾数をすっごい強調して描いているのに、ついにクライマックス、敵陣に突入してからは一気に弾数を減らしていくし、あるいはニックスを助ける為に撃ったりもしている。ただ単に西部劇的、男性性優位なヒロイズムからの脱却として、撃ったのが余計なお世話で爆発とか、最後の一発は外してしまう、そして決闘を見届けた者に祝福されない、という感じでマイルズがスーパースターじゃないんだぞ、とアップデート。なんならそれを画面の向こうで見ているお前らは変わってないな?と突き付けても来る。リクターも言ってたでしょ?逃げずに戦え!金玉ついてんのか?と。男性性の強要はあかんのです。そういう奴には金玉スプラッターなのです。

 シンプルに楽しいアクション映画でありながら、地味に気が利いてるのはこういうところをしっかりしたからかな、と思います。