抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

またしても中国アニメが凄い件「ナタ転生」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 さあさあ中国アニメ『羅小黒戦記』が最高だったと思っている皆様。続々と次の弾がやってきております。またしても年間ベスト級の一撃!ロシャオヘイにも出てきたナタ様のお話ですね。私は読んだことないんですが、封神演義好きなら多分更に面白いはず。

 現在前塵編が放送中のテレビアニメ、魔道祖師も背景とか凄いんで、これ日本どころか、ディズニーピクサー軍にすら迫る勢いですよ!まーじで。

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WATCHA5.0点

Filmarks4.9点

(以下ネタバレ有)

 1.そこに世界がある。最高峰の3DCG。

 まず何といっても最高のアニメーションですよ。ピクサーやディズニーほど3DCGのキャラクター感はないものの、日本の、特にポリゴン・ピクチュア辺りの方向性ともまた違うその造形は不気味の谷にちっとも陥ることなく、しかし最高のリアリティを持って人物を見せてくれる。

 冒頭のバイクレース(この時期に見るとSK∞のエスを想起する)の時点でカメラワークもぐるんぐるん動くし、それでいて重心移動に不自然さもなく、ああこれは安心して見れそうだと、思わせてくれる。そしてそこからどちらかと言えば日常に近い動作が続くが、例えば主人公雲祥の幼馴染が料理を持ってくる際の手つき、手放してからのアッチッチという動作に嘘くささが全くない。本来全く必要のない動作だが、実際の人間の動きをしっかり観察させて反映させているように思え、それはただパソコン上で作り出された人物を動かしているだけでない、アニメーションの神髄を感じさせるのだ。彼女でいえば、初めて彼女が登場するシーンは窓越しに雲祥がのぞいているところからのズームアップだが、あの窓を通過して視点が動く様子なんかのカメラの動き方も素晴らしい。本当に細部までよく作られていると感心せざるを得ない。街も配管の良く見えるスチームパンクっぽい都市だが、それも水不足によるものと説明もつくし、この町でどう暮らしているのか、が目に見える。物足りないのは食事シーンだけだ。

 だが、本当にすごいのはここからだ。雲祥のバイクを欲しがった徳会長の息子とのバトルでの能力発現を壮大に描き、今度は彼らに差し向けられた2体の刺客と戦う。この2体の刺客の時点でフィクションラインは急激に上がり、実写でもいいじゃんを封殺することに成功している。それどころか、ここで慣らしておいたおかげで、神獣や竜の存在だって受け入れることが出来る。そうしてキャラクターの存在としての一線を越えてもなお、統一した世界観の中に感じられるキャラデザやモーションがこの後の炎・雷・水といったエフェクトにもふんだんに用いられ、そこには圧巻の特殊能力バトルが広がっていく。

2.ヒーロー映画全部いり!

 この映画は言ってみれば、オリジンだ。ナタが転生した青年がヒーローとして目覚める話。本来は迷惑千万な存在であり、厄介者として扱われるナタを雲祥の家族の中における存在とだぶらせ、倒すためのパワーから救うためのパワーへと変化を遂げていく。だが、雲祥にはそもそも冒頭で水不足にあえぐ子どもを見て水門を破壊する、片足を失った幼馴染の為に義足を作ってあげるなど、他者を思いやり、救うことが出来る存在だった。そこを更に協調していくために、敵方に大財閥で水資源を独占していた親子(彼らも転生組)を置いて鏡像化したり、人を救う仕事である医師をヒロインに持ってくる。勿論、力を操るにあたってのメンターである謎の仮面男だっているのである。スパイダーマン3かよ、というぐらいキャラクターを詰め込みまくっているのだ。

 そしてアクションシーン。映画としてMCUやDCの作品をイメージしているのは間違いなく、バイク乗りが体から火が出る、この設定はゴーストライダーを彷彿とさせるし、赤いアーマーを自力で開発して戦うのはアイアンマンだ。カーチェイスに妖怪や竜とのバトル、スーパースローを使った緩急に特殊技のエフェクト、ナタ本体の登場するポケモンダイマックスやジョジョのスタンドを思わせるバトル。更にはまさかの海中戦では完全にアクアマンだった。海中戦と言えば、そこで出てくる鮫の描き方とかは007シリーズっぽさもありましたね。

 そしてMCU同様にご丁寧にポストクレジットまで。ナタの宝貝の残りを探しに行ったり、今回は徳会長が敵でしたが、他の3つの家もあります。あの感じだと確実にNCU(ナタ・シネマティック・ユニバース)になると思うので超絶楽しみであります。