抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

最前線「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 いよいよ公開、スパイダーバース最新作。

Spider-Man: Across the Spider-Verse: The Art of the Movie

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有)

1.大前提としてすげえ

 えー基本的にはですね、すげえ、の一言だとは思います。前作の時点で、今考えると差別化しやすいようなキャラ達だったとはいえ、マイルズ、グウェン、Bパーカー、ノワール、ハム、ペニー、それぞれのキャラの視点で全部違う、みたいなことをしてきてそりゃあないぜ、っていう技巧を見せつけた訳です。いや、マジで『ヴェノム』のポスクレで結構な尺のスパイダーバースの予告を流したのがイラっと来たもんだから、見に行かないもん!ってヘソ曲げていたの、今は信じられないですよ。よく意地を張らずに評判いいから今回は許してやる、をしたね、昔の私。

 で、今回は序盤グウェンの世界、中盤マイルズの世界とスポット、後半はスパイダー・インディアの世界、そしてミゲル・オハラの世界、最後はマイルズを噛んだ蜘蛛のアース。まず単純に世界をこれだけ準備して、どれもがカラーリングだったり、アニメーションのタッチだったりで全然違うものなんだから本当に凄い。マイルズが帰ってきたのが違うアースだっていうの、やっぱマイルズより先に背景でわかったもん。観客を信頼しているってそういうことよ、っていう感じ。その上で、スパイダーパンク、スパイダーウーマン、スパイダーバイト、スカーレットスパイダーと特徴あるスパイディ達を新登場させ、っていうか240でしたっけ、恐竜に車に馬にもうなんでもありのスパイダーマン総力戦。ああそう、ルネサンス世界からやってきたヴァルチャーもヤバかった。あいつ1番かっこいい。

 スパイダーパンクはわっかりやすく人気でそうですけど、あっこにかけられた労力は凄いってもん。実写が混じるぐらいじゃ驚かないつもりでしたが、スパイダーパンク周りはマジで凄いと思った。あとスパイダー・インディアの腕輪を使ったアクションの見せ方も上手い。素直にはぇーこれは凄い…とずっと思っておりました。もうアニメーションの最高峰であると同時に、現代アートの最高峰でもあるでしょ。

2.スパイダーマンとは。ヒーローとは。

 さて、物語としては親子の関係っていうものにフォーカスして、スパイダーマンの身近にいる警察署長は死んでしまう、みたいな世界線の収束っていうものに対してどうします?っていう話。見ててよかったシュタインズゲート。ミゲル・オハラを始めとしたスパイダーソサイエティの連中は、スパイダーマンが通常経験していくイベントが例え誰かの死であってもそれを受け入れることで、その世界の崩壊を阻止している。

 これに対してマイルズは、うんにゃ、まだ死んでないお父さんを見殺しにはさせられんわい!と脱走していくところで終わるわけです。こーれーはみなさんどっち派なんですか??私は完全にマイルズ派なんですよねー。

 私にとってヒーローっていうのは、悪い奴を倒す存在ではなく、とにかく救う存在。緑谷出久が主人公として、ヒーローとしてふさわしいのは、助けてほしそうだった時に足が気付いたら動いていたから。計算とか、後先とか考えてないんですよ。最善を尽くしたうえで助けられないこともある、それは分かる。その上で、その喪失を無かったことにしてはいけない、受け止めと乗り越えは必要。でもそれと、目の前で生きている人を見殺しにする、それって本当にヒーローですか?っていう。いーよ、とりあえず助けようぜ、そして世界を救う方法はその後考えようよ。実際、ビヨンドに向けて結成するチームにインディアが入ってくれるのは、お父さんを助けたからでしょう。そしてその世界はスパイダーソサイエティによってえっちらおっちら頑張って救われようとしているじゃないですか。頑張っていきましょうよ。ヒーローに労基は無いんだからさ。あとさあ、そもそも娘が生きてるマルチバースに入れ替わって干渉してるような奴の言うことなんざ信じるかよ、フラッシュと同じだよバーカっていうね(スパイダーマンにフラッシュという文言を使うとフラッシュ・トンプソンとややこしいな)

 ってことで、当然のように毎回死んでたベンおじさんはじめ、スパイダーマンってそういうもんだよね、って享受してきた観客やこれまでの作り手に対しても、いやいや、そういうヒーローとして存在するなら誰かを殺さなあかんってのはいいんですか?なんだったら、それならヒーローにならない方が良かったってことですか?っていう問いかけを投げてるんです。でも答えてない。続編に投げちゃった。もともと1本の映画だったらしいんで仕方ないけど、この映画だけでどう評価せいっちゅうねん!!

 あ、でもなんかずっと音楽がうるさかったような感覚でした。