どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
あれですか、抹茶デミーとか名前つけた方がいいのかわからないまま何年も経ってる部門賞ですね。なんか年々楽曲とか音響とかが耳に入らなくなって来てる気がします。
1.音響賞
- 1917 命をかけた伝令
- 透明人間
- フォードvsフェラーリ
- キーパー ある兵士の奇跡
いやー、なんかもうコロナ以前の映画の記憶は皆無ですよ、正直。あとはこの賞に必須の音響監督岩浪美和さんの案件と今年は多分出会わなかったのでちょいと困りましたね。
1917はワンカット風戦争映画なので必然的に音響は重要に。まあ画面含めて映画館案件だと思います。
「透明人間」は画面的な不在が大事なホラー映画なので、音響的にも無音が重要な作品でした。結構音で殴ってくる感じもありましたし、映画冒頭の海のところの音がまた良かったのを覚えています。
FvsFは、レースのエンジン音ですよね。F1とかそんなに見ないですけど、車の重量とスピードを感じる音でした。これも映画館での臨場感が大事。
キーパーを音響面で評価しているのは私ぐらいなのではないでしょうか。コロナの象徴として、2020年のサッカーは無観客・無声援になり、選手たちの声や監督の指示、ボールを蹴る音が響く風景がそこにはありました。この映画では、小さい運動場の段階からそれをサボることなくやっており、そのおかげでウェンブリーの大観衆も映える、という見事な仕事ぶりだったと思います。
とまあキーパーの話を厚めにしましたけど、ここは「フォードvsフェラーリ」しか選択肢が無いのではないでしょうか。2時間半あった映画でも緊迫感を持たせる音響は完全に日本にできないそれを感じました。
2.悪役賞
役名(役者名敬称略)(作品名)になります。
- セイター(ケネス・ブラナー)(TENET)
- チャン・ドンス(マ・ドンソク)(悪人伝)
- 黎明卿ボンドルド(森川智之)(劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明)
- カン・テオ(チュ・ジフン)(暗数殺人)
- ウーゴ・マルティネス&ビクトル・マルティネス(セルヒオ・ペリス=メンチェータ&オスカル・ハエナダ)(ランボー ラスト・ブラッド)
悪役の皆さんにお集まりいただきました。MCUは0本、DCは2本に終わった2020年は勧善懲悪のシンプル映画がそんなにいっぱいなかった印象です。とはいえ悪役は映画に必須。いっぱい良い悪役がいました。しかし男しかいねぇ…。「悪の偶像」のチョン・ウヒは入れてしまえばよかったかな?
えーまずは、今年の大作「テネット」から。愛聴しているTBSラジオ「アフター6ジャンクション」では、キティを蹴った時の掛け声が話題になっていましたが、いわゆるシェイクスピア俳優であるケネス・ブラナーの典型的な嫌な悪役ぶりは、ちょっと面倒な時間弄くりの中では、情報量を端的にしつつ、しっかりその個性を出していたのでは。
次は、主役でもありました、無敵の男マ・ドンソク。「悪人伝」ということで、マフィアのボスの役でしたが、人間サンドバックで開幕悪さを見せつけ、その後も素晴らしい膂力を武器に大活躍でしたね。ちょっと悪役とも違う気もしますが、あの映画においてはヒーローは刑事のほうですし。
やべーやつですね、ボンドルド。主人公であるナナチと同型でもあり、倫理観という概念がない。っていうか、著しく倫理のラインが低い。子どもたちを実験台にしていても、それを祝福と呼んで疑わない。あんなにかわいかったプルシュカをあんなことに…。
悪役というと韓国映画がやっぱり強いですね。韓国からもう一人挙げるなら、暗数殺人のカン・テオで。既に捕まっていながら刑事を翻弄する様子は、レクター博士とかとも被りますし、とにかく顔が良かったですね。感想読み直したら、結構しょぼいとか書いてるんですけど、今となっては、ショボさが却っていいというか。小物感がいい方に働くというパターンだったのでは、と思います。
最後に、悪役としてはびっくりするぐらい同情してしまう最期を遂げた兄弟のおふたり。圧倒的な正義であるジョン・ランボーを前半でびっくりするぐらいボッコボコにして見せ、そして華麗に散っていく。ラストブラッドはベスト可哀そうなやられ方部門を創設したら、全ノミネートを埋め尽くす勢いでしたが、ランボーをここまで怒らせるにはそれなりの悪が必要ですからね。彼らは悪役部門に入れてあげないといけません。
ということで、悪役部門はまあボンドルドです。
もう映画見た瞬間に思って、そのまま確定でした。やっぱり悪役が主人公のありえたかもしれない姿っていう時点で結構得点高いんですけど、更にそれは私でもあった、となるとそれはもう恐ろしいことですよね。擁護できないほどの悪でありながら、あと一歩で自分もそうなる。ここ数年でもかなり群を抜く悪だったと思います。
3.助演賞
- 権藤(内野聖陽)(初恋)
- ミセス・マーチ(ローラ・ダーン)(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語)
- ロージー・ベッツラー(スカーレット・ヨハンソン)(ジョジョ・ラビット)
- 星ばあ(桃井かおり)(宇宙でいちばん明るい屋根)
- ファブリツィオ・コリーニ(フランコ・ネロ)(コリーニ事件)
ユニディには何でもある。爽やかなタイトルとは裏腹な暴力映画だった「初恋」はクズ部分を担った染谷将太と抜群のぶっ飛びで話題をかっさらったベッキーと、脇役が光り輝く作品でしたが、ヤクザの仁義をかっこよく描く三池作品を体現していたのは、塩見三省さんと内野聖陽さんでした。内野さんかっこよかったわ。ヤクザ最高。
もうローラ・ダーンがやったら大概優勝な感じがしているこの数年ですが、これも良かったから仕方ない。ただのいいお母さんっていうだけじゃない、主人公となったジョーが生まれるのがまだまだ前だったらこうなっていたのではないだろうか、と思わせるさすがの名演でしたね。ってかこの作品いい役者多過ぎ。
スカヨハは、この演技でアカデミー賞取りましたね。アベンジャーズで見せているブラック・ウィドウの強い、キャラ性のある演技とは違う柔らかい、でもやっぱり強いっていう人間も出来るんだぞ、という幅を感じました。この映画もサム・ロックウェルが素晴らしかったですね。
今年の邦画だったら、これが賞を席巻しないとダメでしょう、というレベルの演技だったのがこの作品。藤井道人監督作の割に全然見てる人がいなかった気がする。何でも願いを叶えてくれる存在であり、彼女がやってくる夜空はファンタジックでもある、かなり映画のリアリティラインからは浮いた存在。その中で確かに実在を感じさせる生をもたらしながら、願いを叶えるという映画的嘘を信用させることが出来る雰囲気と。
最後のエントリーはフランコ・ネロ!思い返せば、2020年は続・荒野の用心棒をシネマートで見たので、事実上フランコ・ネロの年だったといっても過言ではないのでは。冒頭の殺害、そしてホテルの受付で逮捕されるまでのシークエンスだけでもう最高ですよね。黙ってる時の状態でも素晴らしいし、泣き出す時ももう堪らない。
ってことでですよ、助演賞は桃井かおりさんです!
彼女がいないと、彼女じゃないと作品が成立しないレベルの演技だったので、なんだったら主演のほうにノミネートしたっていいのかもしれません。それほどまでに強烈でした。
4.主演男優賞
- リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)(リチャード・ジュエル)
- 7人の僕(中村倫也)(水曜日が消えた)
- ウィリアム・マリガン(ジョン・グッドマン)(囚われた国家)
- 俊作(永瀬正敏)(二人ノ世界)
- キャロル・シェルビー&ケン・マイルズ(マット・デイモン&クリチャン・ベール)(フォードvsフェラーリ)
主演男優賞ですね。映画祭などでは、主演女優賞と統合する、なんて話もありますが個人的にはそれに反対なのでここでも分けます。統合するのは男女が主演の映画が半々になってからだと思います。肌感覚ではそれはまだ達成されていない。
出ました!人類が誇るダメな白人(の演技をさせると右に出るものがいない俳優)!最高のボンクラ!多分ご本人は色んな風評被害を受けていそう!本作でも絶好調のダメ白人で、疑われているのに捜査に協力!みたいなスタンスだったり、もう最高でした。
邦画で言えば、まずは中村倫也。7人格演じるんですよ、マジかよ!シャマランのスプリットじゃん!(見てない)まあ基本的には火曜日(と月曜日)ばっかり出てくるので、そこまで厳密な演じ分けがある訳ではないですけど、とはいえ彼がちょっとブレイクしているだけのイケメンじゃなくて、ちゃんと演技がしっかりできる年相応の下積みのある俳優さんだと信頼できますね。
はい次!ジョン・グッドマン!いいおじさん!おじさんばっかや!選出理由はラストシーンの顔ですよ。群像劇的だった話が一気にこれで締まりました。最高にかっこいい男になった瞬間ですよ。あーネタバレになってまう。「囚われた国家」は絶対過小評価されてると思うのでどうか見て欲しいです。
邦画から二人目。これも見ている方の少なそうな「二人ノ世界」から。永瀬正敏さんが演じた俊作は、脊髄損傷で首から下が半身不随。そのため、まずは不動っていう演技が先に来た上で、首から上の顔面だけで演技しなくてはならない。でもそれが完璧。もうどう考えても俊作は実在する人物ですね。様々な道具を口で扱ったりしているのを見ると役者魂を感じてしまいます。彼は作品を通して大きく成長する存在ではありますが、それを表現できる場所が極めて少ないのに明確にできている。それにとにかく圧倒されます。
最後に今年のベストカップルを。ギブンとかエトランゼとか、アニメのBL作品は見ましたが、相思相愛っぷりではこのコンビがトップだったといっていいでしょう。ドライバーとメカニクスの関係で互いを信頼して事に当たる2人は男臭くて、かっこよくて、どこか危ない。困難なミッションに立ち向かう最高のハーモニーを見せたのでは。
ということで、主演俳優部門は、ジョン・グッドマンです!
永瀬正敏さんもヤバいんですが、とにかく「二人ノ世界」には違う意味で賞をあげるとか、ランキングにする、とかそういうことはしたくないんですよね。ただ、リマインド、記録としてあったことは残しておきたい、と。
そのうえで、どう考えてもおじさんオブザイヤーを受賞するだろうジョン・グッドマン。こんなにかっこいいおじさんは今年は他にいませんでした。とにかく最後のカットの顔です。あの顔で僕は泣けます。
5.主演女優賞
- ジョー・マーチ(シアーシャ・ローナン)(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語)
- 小寺(工藤遥)(のぼる小寺さん)
- ビリー・ワン(オークワフィナ)(フェアウェル)
- セシリア・カス(エリザベス・モス)(透明人間)
- シャーロット・フィールド(シャーリーズ・セロン)(ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋)
続いては主演女優部門。
1人目は、まだオスカー貰ってないの女優ランキング第1位のシアーシャ・ローナン。ルイザ・メイ・オルコットとグレタ・ガーウィグの分身を担いながら物語を進めていって、気づけば完全に彼女の話にもなっている。こんだけやってて自分より年下て。人間性能が違いすぎる。視線の芝居とか最高でしたね。
邦画から唯一の参戦、工藤遥さんです。小寺さんの持つ浮遊感、どっか不思議な人間性とアイドル感を醸し出せる、ハロプロ出身ってすげぇな、と完全に舐めていた案件でした。特に今作の場合は校舎のシーン以外はある程度彼女自身がボルダリングやロッククライムをしていること。これこそアクション映画ですよ。間違いない。今年の映画で色んなアクションしているものはありますけど、スタンドダブルとか普通じゃないですか。そうじゃなくてちゃんとやっている。素晴らしかったです。
コメディから脱却してドラマに挑戦したオークワフィナを続いて。「クレイジー・リッチ」とかでもコミカルでリズム感のある軽口なんかが素晴らしかったのですが、本作ではそれを残しつつ、しっかりカルチャーの衝突の中で自分っていうものを見つめる表情、そういう演技がとても印象に残っています。彼女はこれからも確実にハリウッドで居場所があると確信しています。
昨年はホラー映画が制した本部門。今年のホラー映画からのノミネートは「透明人間」でございます。音響部門でも申し上げましたが、この映画はとにかくメインのヴィランが透明で見えないので、様々な直接的な攻撃はそのやられ方を人間がどう演じるか、ということが重要。更に本作は、彼女が社会的に追い詰められていく様子がサスペンスにつながるので、もう顔芸は大事です。その点でエリザベス・モスはしっかり顔芸して怖かったですねぇ。
最後は俺たちの姐御、シャーリーズ・セロンですね。マッドマックスのフュリオサでの大ブレイクも始め、「アトミック・ブロンド」など、強い女性の代名詞の存在でもありますが、今年の日本公開作では「ロング・ショット」「スキャンダル」と女性の社会進出を訴えるタイプの映画に出演。「スキャンダル」はシャーリーズ・セロンなの!?っていう特殊メイクでしたけど、「ロング・ショット」での彼女はもうそれはそれはチャーミングで。下ネタ満載だし、Fワード多いし、ドラッグ飲んでハイになった状態で外交成立させてるなんて!そこまでしてんのに品格が保たれていて、いやもう素晴らしいです。
ということで、主演女優部門はエリザベス・モスです!
ホラー嫌いなのにホラーから2年連続受賞!やっぱホラーは顔が強い!っていうか、そういう演技が好きなのかな!
6.ベスト国内アニメ映画賞
- 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
- Fate/stat night Heaven's FeelⅢ.spiring song
- 海辺のエトランゼ
- 音楽
- モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け
昨年もした注意ですが、これは純粋な映画の点数っていうよりはアニメーションとしてのって感じです。ニュアンス伝わります??
ヴァイオレットは京アニの極致。すべてが美しい。リアル系統の絵だが、しっかりファンタジー世界を構築できている。
Fateはアクション作画の凄まじさですよね。鬼滅の刃よりもufoが本気を出したのはコッチだったっぽい。明らかに群を抜いているアクションの手数、構図の良さでした。
エトランゼは、メシと猫。そもそもBL作品への無理解な状態から一気にここまで好きにさせてくれた作品の力もだし、あと海が綺麗でした。
んで音楽。ロトスコープという制作手法の独自性、見事なまでに高校生に見えない高校生たち。まだまだこの手法に見慣れていないから、ドラムを叩くその手が動くのが楽しい。
最後にモンスト。これは隠れた傑作だと思います。いや、単独のブログ記事にしてないんで、もう申し訳ないんですけど。正直言って今まで見てきた3DCGの作品で最も違和感のない作品でした。不気味の谷もなかったし、動きも滑らか。これソシャゲの映画化と思って舐めるのは間違いです。
ということで、今年の国内アニメ映画賞は、モンスターストライク THE MOVIE ルシファー絶望の夜明けです!!
これまでの映画体験の中ではかなりインパクトがあったのは事実ですし、あとこれ映画でインフィニティ・ウォーとエンド・ゲームやってるんですよ、そんなことある!?この作品のおかげで3DCGの未来が日本にもあるのかも?と期待できるようになりました。国内の3DCGに関しては、ドロヘドロで上がり、ULTRAMANで死ぬほどがっかりして、ドラえもんと空挺ドラゴンズで更にがっかりしたけどね!
7.ベスト海外アニメ映画賞
- ウルフウォーカー
- マロナの幻想的な物語り
- 愛してるって言っておくね
- トロールズ ミュージック☆パワー
- Away
前項に続いてです。ライカの「ミッシング・リンク」が入らないという。
ウルフウォーカーは、最高でした。もう他に言葉は要らないんじゃないですか。アートアニメの手法でありながらその手法に必然がある。最高。
マロナもまた独特な表現で他に類を見ないレベルでした。こんな風に人間のアニメーションとかの再解釈が凄い。どの視点でもワンダーでした。
さて、ここで唐突に名前が挙がるのが「愛してるって言っておくね」になります。ネトフリ配信の短編なんですけど、12分でここまで感情を動かされる作品も珍しい。完全に持ってかれて泣きました。ほとんどモノクロなんですが、白黒の濃淡と人物の背後での影の動きがまたね…。是非ご覧になってください。
続いてはトロールズを。吹替でのミュージカルも楽しかったですけど、異なる世界をしっかり表現している手法や、フェルトの質感とか、突き破って綿が出てくるような演出とか、パペットぽさもありつつの映像表現は、子ども向けだと侮るなかれデス。
最後はラトビアで一人っきりで作られた「Away」ですね。色んな日本のゲームとかを参考にしている、ということですが、とても独力とは感じない作品で素晴らしかったですね。特にポスターになっている鏡の湖のシーンがまるで水面が無いかのような浮遊感も素晴らしかった。えー、此方のブログ記事は「FUNAN」とまとめて出すのですが、年末につき渋滞してまして、年明けに更新予定です。
というわけで、海外アニメ映画賞は、マロナの幻想的な物語りです!
「ウルフウォーカー」でも言っていることですが、この作品もデザインに必然がある。アートアニメなのにエンタメ、それで手法に必然があるんだから評しておきたいのも当然でございます。