抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

均質化に立ち向かえ!「トロールズ ミュージック☆パワー」「アダムス・ファミリー」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回は偶然にも同日に鑑賞したら、世界を均質化したい相手に立ち向かう海外アニメーション。どっちも吹替でみました。

 多分コロナが無くて、ちゃんと大作が公開されていたら見に行かなかった気もするので、こういう作品に出会えていることをプラスに捉えたいと思います。

 指パッチンして鳴らせないけど、これは癖になる。

Adams Family Theme

Adams Family Theme

  • provided courtesy of iTunes

 

 

1.トロールズ ミュージック☆パワー

Trolls World Tour (3D): Dance Party Edition / Blu-ray 3D + 2D

 

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 イオンシネマでワンデーパスポートして、死ぬほど予告編を見た本作。なんか子ども向けっぽいな、と思って敬遠していたんですが、よくよく見たらドリームワークスの最新作ってことで、あ、じゃあ思ったよりちゃんとしてるだろうな(失礼)と思って鑑賞に行きました。っていうかコレ2なんですね、知らなんだ。

 さて、親の仇ほど見た予告編で言われているように、音楽を愛するトロールズの世界において、ロックを愛するトロールズがすべての音楽を統一してやる!みたいな多様性ガン無視な戦線を繰り広げるお話。

 かつて、トロールズという伝説のチームがこの一帯を支配していた。その圧倒的な勢力により、かえってその一帯は統率がとれていた。だが、トロールズの世界に唯一、足りないものがあったー音楽。ついに音楽が生まれたが、ある事件をきっかけに突如トロールズは解散した。そして、その地区に6つの組織が頭角を現した。ポップス、クラシック、テクノ、ファンク(正確にはヒップホップ)、カントリー、ハードロック…各チームの頭文字をとって…

 いや頭文字とれねぇよ!!

 ということで、唐突なハイロー構文で始めてみたんですけど、わりとあってるから困る。いや、ハイロー祭りの点数低かったけど、割とアクションは好きだからね?

 ということで、おそらく前作でポップス村でのいざこざを解決して女王になったポピーとその友達ブランチがメインなんですが、それまで世界だと思っていた村から世界が広がる、それ自体は素敵なんですが。冒頭でテクノを襲うハードロック、そしてポピーたちが訪ねるカントリー、クラシック、ヒップホップと進んでいくうちに、あこれちゃんと全部の地区の音楽を紹介してくパターンか、となってどうしても熟している感が出ちゃうんですよね。勿論、ハードロックはもろマッドマックスのオマージュがあったり、カントリーのとこはタンブルウィードがしっかり出てくる西部劇方式だったりと、面白さはありましたが、やっているミッションが単調というか。

 んで、この後刺客として、ジャズ、ヨーデルK-POPあたりが出てくるんですが、まあこれで音楽がすべてか、みたいなとこはまあ言われちゃいますよね。多様性を音楽を通して考える話ではあるものの、音楽それ自体を規定しちゃっているうえに、ハードロックは乱暴、カントリーは悲しい歌、みたいにちょっとそれはさすがに安直だろ、という決めつけもあるし。音楽そんなに詳しくない私でも、それは…と思いますよ。

 最終的なゴールとしては、統一されてしまった音楽、でも心は奪えない。心拍が、足音が、動きが音楽なんだ!と音楽の原初の喜び的なところからトロールズみんなで踊って歌うぜ!って感じ。予告編の時点で、ポピーが愛するポップスで救ってしまうと、敵と同じ手法だと批判している場面があったのでそこを大きく期待していたので、ちょっと拍子抜けというか、それでいいのかと。音楽が一旦なくなった世界で白黒になる演出とかもベタとはいえ嫌いじゃないんですが、それで解決するなら6本の弦の当初もそんなかんじでうまくいった気がするし、そもそも世界に音楽が無かったっていうのが成立しない気がしました。まあこの辺はちゃんとしたアメリカの音楽史なんかを紐解くとわかるのかもしれませんが、私にはわかりません。分かる人よろしく!(といいつつ、それが分かる人はこの映画が届いていない気がする。)

 とまあ文句は言っていますが、アニメーション表現として、ストップモーションのフェルトアニメなのかな?というぐらいの質感のある映像は素晴らしかったと思います。ストレートに予想される結末に一直線で走っているので、どうしても目立っちゃうんですよね。

 

2.アダムス・ファミリー

The Addams Family [Blu-ray]

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 MIBシリーズでお馴染みのバリー・ソネンフェルド監督が実写化している名作のアニメ化。なんか元はカートゥーンらしいんで、アニメの実写化のアニメ化?もうそれめんどいな。

 さて、そうはいっても実写版を見ていない私。しかし問題なし。話を動かすのはアダムズファミリーの子どもたち、ウェンズデーとパグズリーなんですが、彼らが生まれる前、ゴメズとモーティシアの結婚の日を描くことで導入はオーケー。そこから13年後が舞台ですが、かつてと現在で一般ピーポーとの関わりとの対比にもなっております。

 基本的にはカルチャーギャップとオフビートのコメディ。生まれてから家から出ていなかったウェンズデーがパーカーという子と交流しながら異文化交流を進めていくもの。中学校に通ってカエルの解剖なのに全部蘇らせちゃったり、パーカーからもらった髪留めで揉めたり。アダムス一家の価値観が観客とは真っ向から対立する面白さではありますが、だからって、彼らをこっち側の価値観に染める、という話じゃないのでとても見ていて気持ちがいい。私たちはおかしいのかもしれない、ではなく、私たちにとっての普通は普通だ!のまま進行するのでそれがギャグでもあり、しかし芯を通すところでもある。だからラストも(アダムスファミリーから見れば)彼らは変人だけど、悪い人じゃない、なんですよ。自分たちは変人だ、に行かないのがとてもいい。

 さて、今回の映画として敵は、家をリフォームするテレビ番組に出演するマーゴ。町丸ごとを自分がプロデュースして、それを売りたい!ということだが、それには霧が晴れて現れたアダムズ一家が邪魔、という話。割とガチトーンで自分の手掛けた均質化した世界を作りたい!と言って憚らない人なのでヤバめ。そしてかつての実写化の際にはなかったであろうテクノロジーを、使い倒した悪事とその解決方法でもしっかり絡めて再映画化の意義にアプローチ。そこまでやっておいて、そのマーゴも前フリの通りにフェスタ―おじさんと結婚させちゃってみんな救っちゃう剛腕。まあ本当にやられたのはいじめっ子ぐらいでしたね。

 そして、まあ褒め称えたいのが吹替声優陣。ウェンズデーは外と交流してどんどん成長していくキャラクターであり、それに対して母としてリアクションしていくモーティシアの2人を演じた杏さんと二階堂ふみさんがもう達者で。ダウナーで、単調にも思えるが、しっかり感情もこめられた演技で、かつ違和感もない。素晴らしかったと思います。ゴメズの演技も違和感は無いですが、何より途中から実写かと思うぐらいに生瀬さんがフィットしていました。2も劇場公開が決定したと最後に出てきたので、この声優陣を引き継いでほしいです。