抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2020年9月に見た過去作の記録

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 毎月恒例と化した、旧作の振り返り。今月は22本ですね。薄氷の殺人、メメント、先年女優は劇場で見ました。そうか、今敏で早朝から並んだのは9月か…。遠い記憶。

 まあそれ以外に007をショーン・コネリー終わるまで、だから7本見ているので実質29本。頑張ってみているとは思いますが、クラシック枠がどうもヒットしないのが多かったな。 

 

逃走迷路

逃走迷路(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 ヒッチコック!って感じがそんなになかった。
 巻き込まれ型ではあるのだが、謎っぽい謎もない追跡劇の割に緊張感もなく、自由の女神のシーンだけドキドキする感じ。特にサットン邸以降はぐだぐだだった印象が否めない。
 開幕の火事はかなり派手だったし、42年なので多分にナチス的な脅威を描いているのだろう。悪いと思った奴を突き出す国民の義務、実に戦争国家らしくてそれを批判できるのはさすがである。

メン・イン・ブラック3

メン・イン・ブラック 3 (字幕版) 

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 フツーに面白い一級品のエンタメ。
 タイムトラベルさえ受け入れられる世界観はこへまでの2作品のおかげだし、それはそれで別の種類のワクワクなメカたちを見ることができた。
並行世界に存在して未来を見れるグリフィンはいいキャラだった。

完全なる報復

完全なる報復 (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 信頼できる最強の男のひとり、ジェラルド・バトラーが復讐の鬼と化す。

 冒頭、娘と妻を惨殺される様子をアバンで見せてるので彼のシステムへの復讐は否定的に見れず、またワンダーに富んだ丁寧な殺し方の数々が我々を魅了する。ライリー・ノースの復讐の方が丹念だったが。

 彼の行動の原因となった事件で主犯を司法取引で減刑したジェイミー・フォックスの側も描かれるが、基本的にはそっちに正義があるようには見えない。彼は社会正義が自己目的化し、劇中宣誓する合衆国憲法が誰を守るものか分かってないように思える。
だからこそ、ラストがダメだ。

 共犯者がいないのも、刑務所に穴掘ってたのもまあ許そう。10年かけて独房の見回りが手薄だと突き止めていると。

 でも検事をヒロイックにして「正義」は勝つ、ではダメ。せめてジェラルド・バトラーは焦ってはいけない。爆弾が自分の独房に移されたことさえ計算のうちじゃなきゃ。これじゃ何も変わらないし、法を曲げることを指示した市長にも咎めがなきゃ、虚無。
途中までワクワクしてたのにな。

ノクターナル・アニマルズ

ノクターナル・アニマルズ (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 渋いマイケル・シャノンと野外トイレが最高な映画でした。あとオープニングの圧力がどうかしてる。

 作中作と過去回想と現在時制が混じりながら描かれるが、決して混乱することはない。そこの描き分けは大変丁寧。

 ただ、素晴らしい胸糞ノワールなっている作中作を現在時制が超えてこなかった印象。その創作がどう作用していくかが面白いのに、私ってば大きい魚を逃したのかも?みたいなつまらない女性になってしまった気がする。そこがつまらなくなると、執着してるジェイクまで小さい人間に見えてしまうんだよなー。

メメント

メメント (字幕版)

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 これでノーラン商業映画は全部見た!テネットに備えた!(インソムニアフォロウィングがまだだった!)

 カラーとモノクロが入り乱れ、10分しか記憶が保てない男を追い続ける。なんでカラーとモノクロが入り乱れるのか、それは冒頭のカラーのパートで明示されてはいるが、別に台詞じゃないどころか、スタッフとかの名前が出てる後ろで起きてるので油断すると気づけない。

 10分しか記憶がもたない中で、逆行していくカラーパートで次々と明らかになっていく胡散臭い嘘と信頼できない語り手臭。それはある程度当たることになるが、実に構成が見事。

 インターステラーダンケルクでノーランに入ったから気づかなかったけど、お前んちの本棚ミステリ多いだろ、チェスタトンとクリスティあるだろ

千年女優

千年女優 [Blu-ray]

WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

 1人の女優をインタビューする形で進んでいく一代記。回想なのにインタビューアーが入り込んで狂言回しに徹してくれる。おまけにツッコミを入れてくれるのでダレない。まあここは賛否あるかもだが。

 そうこうしているうちに、かつて演じた役柄と人生がクロスオーバーしていき、虚構と現実が入り混じっていく。今どっちの話?いや、どっちも?みたいな。でも、戦国幕末大正戦中戦後とまさに七変化していく中で、画面のタッチもしっかり顔と合わせて変わってる。衣装・背景もだけど、スパイダーバース的描き方がこんな昔に出来てたのか!という驚きと感動。殺陣の時のカメラの動き具合も凄かった。とんでもない労力かかってるぞ、コレ。

 なんだろう、世界を作り込んで見せてくるディズニー・ピクサーより、こういう現実の延長っぽい方が好きなのかなぁ。

 早稲田松竹さん、朝7時30分に着いたのに夜19時〜の一本しか見れないのは明らかにオペレーションミスってますよ

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

ジャック・リーチャー: Never Go Back (字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 凡百の陰謀巻き込まれ型のアクションになっちゃったかなー。アクション自体もそんなにワクワクしないし。

 ジャック・リーチャーってこんな人だっけ?な数々があったり、そもそも陰謀があってそこに無理やり人を当てた感じで少佐が疑われるのがよく分からん。そしてここに擬似家族をぶつけてくるのはなんか違う。おまけにそこにジェンダーの雑な議論を混ぜ込んだ感じ。トムには失礼だがトムにこの議論は馴染まない。だって最後はトムが勝つじゃん。

10 クローバーフィールド・レーン

10クローバーフィールド・レーン (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 10分長い!

 事故から目覚めると監禁されてた!でも監禁してる男は外の世界は攻撃されたと語る。何が本当で何が嘘か?

 と設定だけなら抜群に面白そうなんだけど、クローバーフィールドの名の下にある以上、外の世界がどうなってるかは想像つくので、そこで引っ張るのは難しい気がする。

トガニ 幼き瞳の告白

トガニ 幼き瞳の告発〈オリジナル・バージョン〉(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

 いやーこんな酷い事件が実話ベースってのは本当にやりきれない。

 ただでさえ虐待は許されないのに、もの言えぬ弱者を狙っての行動なのが極めて酷い。まさに黙ってろ、と言わんばかりに裁判シーンで言葉を発する校長たちが醜いこと。

 もっともしんどいのは、性的被害者であるには振る舞いがおかしい、などと言われること。被害者が被害者らしく振る舞うことを求めるのは本当に頭にくる。だが、現実はまだ追いついてない。

 もちろん、この手の映画なので多少役割的にくっきり善悪のある単純なものではあるが、映画の持つ社会的役割を果たしていると言えるのだろう。実際、法律を変えるところまで動いたのは良いことだと思う。

巴里のアメリカ人

巴里のアメリカ人(字幕版)

WATCHA2.5点

Filmarks2.7点

 いやーいくらミュージカル映画は苦手とはいえこれは…

 圧倒的に素晴らしいOPシークエンス。流れるように今で言うモーニングルーティンをこなし始まる日常は、これまでと違う新しい日の始まりを予感させるし、カフェで話している内容に合わせて衣装が変わってダンスするのはとっても楽しかった。
だがしかし。特段の努力はしてないけど偶然金持ちの目に止まって、ついでに好みの女の子を口説き落としたぜ、個展も開けるやったー!でしかないこの話のどこに脚本賞なのかさっぱり分からない。完全にもの扱いされる女性たち、ストーカーより悪質なのに問題視されない主人公、1番大事なラストで長丁場のダンスシーンで物語が動かず出た結論がそれか。この映画の中で彼は何か成長したか、答えはNoだ。

バルカン超特急

バルカン超特急(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 列車から老婆が消えた。でも乗客はみんなしてそんな老婆はいなかったと語る…

 しかも、頭を打っているので全てが自分の幻想かもしれない。誰も言うことを聞いてくれない、という感じは最近だと「透明人間」にも通じている。
ヒッチコックにしては珍しく、サスペンスよりもミステリが先行している印象。ちょっと顚末が緩い気もするし、乗客がちゃんと不在の証明をしてくれるのか、っていうか車内で決行する必要はあったのか、まあ脚本が多少甘い。

 あと、シンプルにクソ野郎として登場したやつと結ばれるのはいかがだろうか

ドラえもん のび太の宇宙小戦争

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 久々に見たけど多分頭の中で宇宙開拓史と混ざってる。肝心なとこをまるで覚えてなかった。のび太射的しなかったよ…

 小さくなって戦車に乗り込むロマン、義憤に駆られて戦うのび太たちに漢ジャイアンと映画ドラえもんの魅力に溢れている。そりゃね、ガリバートンネル使えばいいじゃんとかさ、言うなって。ひみつ道具の時間制限も気にはなるけどさ、ね。
スターウォーズ見てないからパロディわかんないかな、と思ったら巨大化フジ隊員にキングコングやないか!

ブルージャスミン

ブルージャスミン(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 セレブ妻の転落とそこからの生活を交互に見せる。いつまでも過去に囚われ、ちっともいい人間にならないケイト・ブランシェット劇場。だから彼女にちっとも同情させないつくりでずーっと進む。

 サリー・ホーキンスもたまらなく魅力的。

 でも全体的にバカだな、という感じの面々。今回は男もかなりバカだが、女性もかなりバカに描かれている。

 そこと、今回のメッセージ、過去に囚われるな!怒らない!を合わせると、どうしても画面外のウディ・アレン監督自体の問題に蓋をしたいように見えてしまう…

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 丸と直線が印象的な、やや幾何学的な気もする描画のあるアニメーション。アンデルセンの人魚姫を思い出すような妖精と人間の話だが、主軸はあくまで兄妹のロードムービー的な感じ。

 言葉を話せない妹と、妹に素直になれない兄。子どもの年齢でありながら大人びた振る舞いを求められる経験は短いのに永遠のような冒険だっただろうな。だからこそ、もっとスペクタクルにして良かった気もする。

薄氷の殺人

薄氷の殺人

WATCHA4.5点

Filmarks4.7点

 トンネルを抜けると、そこは雪、2004年の冬。

 人工光源の極彩色なネオンカラーととにかく物憂げなファムファタールノワール。中国でここまで本格的なハードボイルドが作られてるとは!

 開幕でバラバラ死体と唐突に訪れる死。中盤のスケート靴での撲殺。突然やってくる殺しと執拗な暴力、どこか感じる退廃的な雰囲気。もう少しノワールに振ったニコラス・ウィンディング・レフンの匂いが蔓延する。説明台詞どころか台詞も極力排して、冗長になる一歩手前までの長回しを多用しながら映画的な説明描写でフル回転。

 観覧車の軋む音、クリーニング屋の洗濯機の回る音。飽きずにここまで嫌な音を聴かせ続けてくれるのも素晴らしい。

 この人なら運命を狂わされるのも仕方ない、という魅力が少なくとも私に大ヒットしたグン・ルンメイさんは最高だった。冬だから、心を見せないかのように肌を隠して着るニットは何故か官能的で、ダウナーで色気抜群の菅野美穂に見えた。いや、写真調べたらそんな感じに見えないんだけどさ。

怪怪怪怪物!

怪怪怪怪物!(字幕版)

WATCHA4.5点

Filmarks4.7点

 ジャンルとしてはスプラッタホラーなのだろうか。モンスター映画でもあるが、青春映画でもある。

 とにかく人間が醜い!いじめる奴!傍観&囃立てるクラスメイト!クソみたいにいじめをスルーしつつ、更に立場で鞭打つ教師!いじめる相手が見つかった途端自分もそっちに回るいじめられっ子!ああ最悪!

 だから本来恐怖の対象なのになす術のない怪物が1番同情できる対象になってしまう。また人間のように泣くんだ、彼女。

 そうはいってもモンスター映画。血みどろにやられる教室やバスのシーンは最高で、スイカジュースと血を合わせるとかもう頭おかしい。最高。

 結局、悪人とバカしかいない世界で主人公は清濁合わせ飲むことが出来ず、バカを残して世界に復讐する。その方法が中盤で飲めなかったのに飲む、という演出がまた堪らない。

 全体通して、いじめるとき、対峙するとき、驚くとき。顔が非常に良かった。

デンジャラス・プリズンー牢獄の処刑人ー

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 S・クレイグ・ザラー監督作ではこれを初挑戦。

 いきなり解雇される主人公、そして妻の浮気バレと最悪の幕開け。

 そこから麻薬の運び屋になり…という展開をこれでもかと丁寧に、いや鈍重にといっていいぐらいやり続ける。プリズンとかいっておきながら、刑務所に入るまで1時間はかけている。で、刑務所も中ランクから高ランクへ移るのだがそこも懇切丁寧。まどろっこしいレベルの丁寧さで観客の時間をコントロールしてくる。

 暴力描写がすごい、と噂の監督だったが、今作はもちろん躊躇なく暴力を振るうが、ちょっとチープに見せている部分もあるので痛そうだが辛くはない。しかも彼の振るう暴力は整然で理知的だ。感情は確かに感じられるのに、パンチに感情が乗っていないというか、常に自我もそこに存在している気がする。感情をのせてる奴ほどやられてる。あと自然さね。バンデージに常に滲む血。

 むしろ痛いのは音だ。見た目以上にいやーな気持ちにさせる骨が折れ、砕かれるその音の使い方こそがこの監督の真骨頂なのではないだろうか。

 よく考えると、なんかイマイチぴんと来ないところもあるような気もするが、そこでも思考をスローペースにされているので深くは考えなかった。とはいえ別に緊張感があるわけじゃないし、なんだかとっても不思議な映画だ。

ギャング・オブ・ニューヨーク

ギャング・オブ・ニューヨーク(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 スコセッシお得意のギャングもののようなタイトルだが、その実態は復讐もの。なんというか、スコセッシに刃物は似合わない。銃の方がいい。

 とにかくカッコいい(焼印付けられてたのにすっかり見えねぇ)ディカプリオがダニエル・デイ・ルイスに復讐を挑む。

 わりと定石で動くからそれなりに面白いんだけど、素性を隠して潜り込んでからの具体的に仕事をするギャングとしての描写が弱く盛り上がらない。その時間に進むのはロマンス方向なので話も進まず。

 最終的な決着はオープニングの父の戦いをひっくり返してやってくれればそれで合格点なのに、ラストサムライのような時代に追いつけない男たちの話のテイストを盛り込んだせいで復讐が一気に尻すぼみ。

誘拐の掟

誘拐の掟(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 リーアム・ニーソンでこの感じ、と思って舐めてたらアカン。アクションよりもサスペンスが極めて強いハードボイルドな私立探偵ものだった。誘拐犯との電話でのやりとりで相手が徐々に思っていく、あ、コイツ相手にしちゃダメだった感がとてもいいし、今回はリーアム・ニーソンは依頼されて出てきてるので誘拐犯も逃げ場がないからかわいそう(誰視点だよ)

 結構ハードな暴力や残酷な行為を直接は見せずとも行ってる。精神的にくるね、わりと。手錠で繋がれた男がどうやって抜け出したかは甚だ疑問だが、まあいいか!

フランケンシュタイン

フランケンシュタイン(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 怪物が生まれるまで時間はかかるが、そのファーストルックが最高。あまりにも有名な湖の少女とのシーンもまたもの悲しい。

 30年代ということで、W.W.Ⅰで起こった行き過ぎた科学への信頼の無さが生んでしまった科学者がけろっと結婚しようとするあたりに表出し、それと同時に死者を動かすという未来への期待が織り混じっているように感じる。

アリー/スター誕生

アリー/ スター誕生(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

 歌が上手い、ってのは分かるんだけど話はつまんない。まあ古典となってるスタア誕生の何度目化の映画化なんだから仕方ないとは思うけどさ。

 結局古典的作品に内包されたテーマとアップデートしようとしてる現代的価値観の噛み合わせが悪く、スター誕生を描くのか、スター凋落を描くのかはっきりしていない。凋落にしては周りが優しく甘やかし過ぎだし、誕生ならもっとその華やかしさを出して欲しかった。

ジェーン・ドゥの解剖

ジェーン・ドウの解剖(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 えーホラーだと思ってなかったから怖かったです!ミステリだと思ってしまってた。
わりとお化け屋敷方式のホラーでびっくりさせてくる感じなので心臓に悪いが、想像できる最悪をもう少しオカルティックにしてくるのでダメージがそこまで無い。解剖のグロささえ耐えれればいける。

 いかんせん人智を超えるものの話になってしまうのでルールの後出し感や場の設定のズルさは誤魔化せるし、閉所の方が怖さが出るのもいい。