抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2019年Netflix下半期映画感想「月影の下で」「海を耕す者たち~近代マグロの歴史と未来~」「愛なき森で叫べ」「フラクチャード」「ザ・ランドロマット―パナマ文書流出―」「キング」「アースクエイクバード」「クロース」「失くした体」「アイリッシュマン」「マリッジ・ストーリー」「6アンダーグラウンド」「2人のローマ教皇」

  どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

  いよいよ上半期ベスト10を計算しだす頃合ですが、すっかり遅れている昨年のネトフリ映画の振り返り。今年の上半期はちゃんと上半期分のネトフリ映画を見てランキングにしたいですが、今年のネトフリ映画1本も見れていないし、春クールのアニメも遅れが目立ってきているのです。自粛で時間はあったはずなのに…。

 

 

月影の下で

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 個人的にはかなり好み!

 目と耳と鼻から出血し、脳まで溶け出す殺人事件が勃発。その事件から9年ごとに事件は繰り返され、囚われた男を描く。

 ミステリでありながら、ジャンルは明記されてるようにSF。その仕掛けはある程度気付けるものの、9年ごとに時間を飛ばす手法でそれぞれに見せ場があり飽きることなる2時間が経つ。

 最終的にはドゥニ・ヴィルヌーヴの「メッセージ」的な結論とオルタナティブライト的な思想にNOを言う。

 そりゃ、ラストに謎を引っ張るためにSF的な難点はある(例えば最初の事件でやたら他人行儀だし)が、それを補って余りある魅力を感じた。

 ネタはモロに「僕は明日、昨日の君とデートする」だが、インスパイア元はターミネーター、プリディスティネーション、ルーパーかな?

海を耕す者たち〜近大マグロの歴史と未来〜

近大マグロの奇跡: 完全養殖成功への32年 (新潮文庫)

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 ドキュメンタリーというより近畿大学のPR映像に近い。専門用語を使ったり、音楽の使い方、解説全部が雑。

 と思ったら制作監修に近大総長が入って制著は吉本興業だった。ふーん。

 このレベルの内容なら同じ内容を扱ったガイアの夜明けを見る方が良いと思います。

 

愛なき森で叫べ

WATCHA3.0点

Filmarks2.8点

 北九州監禁殺人に着想を得た作品だが、これは原型無いと言っていいのでは。元ネタ(という言い方はあまり良く無いが)同じクリーピーってサイコサスペンスとしては面白かったんだね…

 園子温!って感じのエログロオーバーアクト、それ自体はとても事実とは思えないほど凄惨な事件の実態を考えても分かるんだが、いかんせん長い。なによりもどうやって洗脳して恐ろしい自体を招くのか、その変化を見たいのに変化の描写に必要な、事前の描写がしょぼく椎名桔平が大した詐欺師に見えないのだ。おまけにその状態から2.3回電撃与えて一気に従順どころか心酔の域まで行ってしまう。クリーピーのお薬の方がまだ納得感や絶望感が強かった。洗脳を描けばこそ、まともな人の描写も欲しかったので、医者はまともであって欲しかったな

ラクチャード

WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

 怪我した娘を運び込んだら、病院から娘と妻が消えた…。病院はそんな患者いないと言い張る、というフライトプランの病院版みたいな感じ。あとちょっと違うけど仮面病棟を思い出した。

 まあこの手のは主人公の妄想か壮大な陰謀のどっちなんだ!?と分からなくさせて進む訳だが、見せ方がちょっと下手かなー。余りにも序盤に示唆した通りで捻りも無いし。

 まあずーっと不穏ではある。

ザ・ランドロマット–パナマ文書流出–

WATCHA3.0点

Filmarks 3.2点

 メリル・ストリープの演技力に最後に驚く仕掛けではあるものの、パナマ文書流出とタックスヘイヴンの問題をアダム・マッケイっぽいやろうとしたけど失敗した感じがした。

 夫を失ったメリル・ストリープに感情移入していき、ペーパーカンパニーの実態を見せるとこまでは良かったが、その後はメリル・ストリープが探し当てる形を放棄して、冒頭から説明していた2人組の方がメインになっちゃうともう置いてけぼり。一旦離されちゃうとオチまでの持って行き方も強引だし、どうしたっていらないエピソードもあったように感じる。

キング

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 イングランドとフランスによる百年戦争。大きな戦果を挙げたヘンリー5世を最強美男子ティモシー・シャラメが演じる。

 中世らしい甲冑による戦争や王宮描写は丁寧であり、父子の確執を乗り越えるメンターとなる存在ジョンがまあカッコいい。

 などと戦記とか古典っぽさ溢れると思っていたら、めちゃくちゃ現代的なテーマにアップデート。ヘンリーのもとに嫁ぐキャサリンとの対話シーンの2人の座る椅子、振り返れば妹との会話、泥だらけになりながら戦い死んでいった兵士たち。思えば中世も戦争も実に下らない男たちの争いだ。主人公だってその例には漏れないのだ。

 そう思うと、本作は短すぎるぐらいでドラマシリーズでも良かったような気もする。
ちなみに、世界史弱者の私にはこの後、ジャンヌダルクによってフランスの逆襲が始まることぐらいしか知らない

アースクエイクバード

The Earthquake Bird (English Edition)

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 「エクス・マキナ」のアリシア・ヴィキャンデルがめちゃくちゃ流暢に日本語を話す。普通にデーブさんとかパックンレベルで上手いので感動するが、箸で蕎麦を食うのは出来てなかった。可愛い。日本舞台でも完全になじんでたし。なんだったら、警察署の刑事さんの方が日本語の演技下手だったぞ。

 小林直己さん演じるカメラマンと三角関係になっていって、果たして誰が誰を殺したのか、という感じではあるのだが露骨に怪しいのが小林直己なのでサプライズはそんなにない。どっちかというと、ハイローでもそうだったように彼はイケメンというよりも不思議な雰囲気を纏う背景読み取り不可な顔立ちなので、ルーシーに拒絶されてから喚くような類型化された暴れ方して死ぬんじゃなくて、冷静に狂ったまんま死んで欲しかった。

 根底には、誰かの死には誰もが責任を感じる、という部分があるのだとは思うが、それと地震の後の鳥のさえずり、即ちタイトルだが、そことの関連がイマイチ感じられなかった。せっかく日本で異人種の交流を描くのだからもっとそこ掘れなかったかなぁ。

クロース

Invisible (from the Netflix Film Klaus)

WATCHA4.5点

Filmarks4.7点

 郵便屋が諍いを伝統とする街にやってきて、おもちゃ職人クロースと共にサンタクロースになっていくまでを描いたアニメーション。今度はスペイン?海外アニメが豊作すぎて恐ろしい1年。

 本当はやる気がなく、逃げ出すための工夫がいつの間にか善行になり、自分も改めるきっかけになる、というストーリー自体は王道。クリスマス特有のあるあるの誕生背景としての小ネタや多様性、情けは人の為ならず、という感じのメッセージも心地よいが、何よりも子どもの純真さに胸を打たれる。子どもの笑顔はやっぱ最高だよ。

 何か物事を変えるなら子どもから価値観を変えるべきだし、そのための教育の重要性も示唆されている。勿論、これは洗脳でも同じだから気を付けなくてはならないのだが。

 なんかこれを夜に見たおかげでいいクリスマスだった気がする。

失くした体

I Lost My Body (Original Motion Picture Soundtrack)

WATCHA3.5点

Filmakrs3.7点

 フランス製のまた新しいタイプのアニメーション。

 まるでそれ自体が感情を帯びているかのような右手の描写が素晴らしく、スペクタクルだった。だからこそ、この右手は触覚だけなのか、視覚や聴覚を持っているかのような描写にも取れるのが逆にノイズになってしまった。 

 あともっと仕事周りの話をしっかりやるなり、人間ドラマの方も見たかったかなぁ。手首が探す話は楽しみだったが、人間の方の話はなかなか乗れなかった。

アイリッシュマン

Irishman

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 スコセッシがデニーロにハーヴェイ・カイテルジョー・ペシアル・パチーノまで集めてギャングものをやるなら「グッドフェローズ」を見ていないスコセッシ弱者の私でも飛びつく大作だ。(注:公開時点ではもう観た。)

 一代記としてフランク・シーランが回想していくスタイルなのだが、振り返る内容が凄い。凄いのだが、一代記ものとしてはピークでバチッと終わるか、転落しきったところで終わるのが好きなので、なかなかにホッファの死後が長いように感じた。ただ、そこにこそこの映画の悲哀があり、ギャング映画と思いきや親子ものだったのでは…?というところなんかも含めて車いすに乗っているデニーロの哀愁は深い。

 うん、ただ長い!!!流石に長すぎる!!

マリッジ・ストーリー

Marriage Story (Original Score)

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

 離婚調停の話ではあるが、昨日見た「クレイマー、クレイマー」と比較すると親権、親子の関係よりも夫婦に焦点が当たっていて、どちらかというと恋愛ものという印象。あくまで互いに(特にアダム・ドライバー)優位に進める為、あるいはこれまでの結婚生活で自分が悪くないと結論付けるために子どもを使ってる感。直接ぶつけるには余りにも冷静ではいられず、でも第三者を挟むとまるで思ってない武器の突きつけ合いになってしまう。離婚調停の難しさよ。

 長回しの場面が多く、スカヨハとアダム・ドライバーの演技力の高さに素直に感動する。カメラの置き方も周到で2人の関係性を上手く表せていたのではないだろうか。

6アンダーグラウンド

6 Underground (Music From the Netflix Film)

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 マイケル・ベイが帰ってきた!という感じのする脳死アクションまみれ!!これだけやりたい放題なら作ってて楽しいだろうな。

 開始15分でのしつこいぐらいのカーチェイスと顔見せでもう爆笑なのに、そっからも香港、敵の本拠地と乗り込んでやってないアクションってまだあったっけ?というレベルで大量に見せてくれる。マイケル・ベイなのでたまに見辛い時があるのはご愛敬。とはいえテンポ良く進むし、ボンクラ(とはいえ腕は一流)のチームアップものとしてフツーに楽しい。

 結末にフェイクドキュメンタリー的に正義を得た民衆の反逆の強さと怖さを入れるあたり、しれっと社会風刺してるな、と思ったら脚本がデッドプールのコンビ!どおりで。彼らのやってるゾンビランドも見なくては、と思ったのでした。

2人のローマ教皇

Two Popes

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

 ベネディクト16世の即位から現在のフランシスコの即位までを描く。スポットライトで描かれたカトリック神父による児童虐待は理解しておきたいところ。

 キリスト教色が薄く、おじいさん2人の教義問答のはずなのにめちゃくちゃ面白い。フランシスコがジョークを言うのもあるが、それにしたって会話のテンポが良い。そんなことを思っていたら、話はまさかの「汚い戦争」へ。どんな聖人も人間なんだ、過去があるんだ、という持って行き方であり、そのバックグラウンドに現在のフランシスコ教皇のいろんな踏み込んだ発言の奥を感じる。

 だが、何よりの魅力はエンドロール。サンロレンソサポでサッカー大好きフランシスコとドイツ出身のベネディクトが14年W杯決勝を観戦する。

 単純にですよ、ジョナサン・プライスアンソニー・ホプキンスがサッカー見てはしゃいでるんですよ!!こんな癒し映像ありますか!!エル・ピピータに感情移入するローマ教皇って!!やっぱエル・ピピータよりエル・クンですよ

画面の向こうの君は

WATCHA2.0点

Filmarks2.0点

 ハムレットを題材にオフィーリアが客室係…かと思いきや、恋人がエバ(=イブ)でアプリの相手はマリア。キリスト役をやり蛇が出てくる。ハムレットやりたいのか聖書やりたいのか、よく分からん。

 それを全部忘れて考えても、うーん少し弱い。出会い系には気をつけよう、ハッキングは怖いね、ぐらいのもので、オフィーリアがソーシャルエンジニアリングしてた辺りとかまるで絡んでこなかった。