抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

一生バッドボーイズします「バッドボーイズ フォー・ライフ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB) | Twitterです。

 映画館にすっごい久しぶりに見に行きました。見たい映画が溜まっているのでファーストデイ特打5本鑑賞を敢行しようと思ったのですが、寝坊で1本消え、体調不良で「9人の翻訳家」をリタイアし…と結局夕方から始発までの3本勝負に。ちなみに、記事公開日前日も「ナイブズ・アウト」は鑑賞したものの「ストーリー・オブ・マイライフ」の試写会は体調不良で退出。まだ映画を見倒す心技体が揃ってない感じがします。

 そんな中での3本勝負の2本目。マイケル・ベイ監督の人気シリーズを監督交代して臨む「バッドボーイズ フォー・ライフ」。ちなみに1本目は見たい新作が溜まっていたはずなのに、セルジオ・コルブッチ監督のマカロニウエスタン「続・荒野の用心棒」のデジタルリマスター版を鑑賞したので結局溜まった新作2本しか減っていないという。

 なお、タイトル元ネタである「水曜どうでしょう」は最新作が随時各局にて放送中、そしておそらく藤村さんはまだまだ編集中です。まさか家を建てるとは…

Bad Boys For Life Soundtrack [Explicit]

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

(以下ネタバレあり)

 

1. 最高の掛け合い。やっぱりコンビじゃないと。

 今回はバディもののバッドボーイズシリーズでもマイクとマーカスの道が暫く違える時間があるのがやはり特徴的ではないでしょうか。マイクが撃たれている間に本当にマーカスが引退。マイクが事件を追っているときにカットバックされるマーカスの引退生活は面白かったですが、その後の再結成後のやりとりを考えるとやっぱりこの2人じゃなきゃね!と思わせてくれます。

 特にメキシコに飛ぶ飛行機の機内での会話はバカすぎて笑えますよね。これから死地に向ってのフライトなのに本当にくだらないこと言ってて最高。

 そんな2人を象徴的に表すのがサイドカー付きのバイクチェイス。マイクが運転してマーカスがサイドカー。勿論、マーカスが乱暴を解禁する、という見せ場でもありますが2人の関係において常に暴走するのがマイクで、マーカスはそれに乗せられて、みたいな関係が上手く描写できているし、その上でマーカスがしっかり最終的に頼りになることも描けている良いシーンではないでしょうか。

2. 避けられぬ「ジェミニマン」比較

 さて、今回確実に避けられないのは後半ダダ被りの、同じくウィル・スミス主演の昨年公開された「ジェミニマン」との比較です。見ておいてよかった「ジェミニマン」。

 バイクチェイスの段階で、うん「ジェミニマン」で一番良かったバイクチェイスと比べるとこっちは少しモッサリしてるな、なんて思ってたんですが、まさかの敵の正体は自分の子ども!という展開まで完コピ。遺伝子操作か潜入捜査かの違いしかない、と。

 ただ、その上での違いといえば親子関係の見せ方の上手さで本作に軍配が上がったかな、と思います。

 というのも、まずは警官とのカーチェイスしながら病院に駆けつけるところで、親、正確に言えば祖父としてのマーカスを見せることでバッドボーイズの年齢経過を見せると共に、それでも変わらないマイクと変わりつつあるマーカスを見せる対比をしている。結婚式で号泣しているマーカスとか、最高ですよね。

 そして敵側のイサベラ、アルマンド母子は母の強権的な支配とそれに従うしかない息子、という構図を作っておくことで、終盤に真実を知ったアルマンドに対して寄り添うマイク、というまた違う対比を見せることに成功している。こういった点では「ジェミニマン」よりもうまかったかな?と思います。まあコッチの場合、そもそもの前2作があるので成長を描きやすい、という有利な点がありますが。

 あとあれですね、「ジェミニマン」と比較した時にもっと長所になりそうな爆発等のドッカンは少し物足りないっすよね。最後のホテル爆破とか見どころはありますけど、AMMOに置いてあったカニじゃない方の戦車っぽいヤツとか、マイクの車に入ってたグレネードランチャーとか、期待させる要素があっただけにもっと爆発してほしかった…。まだ見てないのでネトフリ配信の「6アンダーグラウンド」で補給できると思います。

tea-rwb.hatenablog.com

3.敵役の拙さ、即ち脚本としての弱さ

 このシリーズに脚本の完璧さを求める方がどうかしている、というのは承知していますが、それにしても気になる点が少々あったのでそれだけは言及しておきたいな、と。

 それは敵の挙動の杜撰さ。やっぱり刑事ものなら犯人が凄い方が正義の側が際立つので、悪役がどう描かれるかは非常に重要です。

 今回のイサベラ、アルマンド親子はその点では、かなり期待度の高い敵になっていた、と言えます。冒頭の刑務所からのイサベラ脱走シーンでイサベラの凶暴性と計画性が垣間見え、マイアミで資金回収をするシーンでアルマンドの強さも見せています。また、この辺りのアクションが結構私の好きな感じの無双感もあり、非常に期待が高まった訳です。

 ところがですね、蓋を開けてみるとマイクへの復讐がメインっぽくてどうも少しちっさい感じに見えている上に、そうなると手段がイマイチだな、と思わざるを得ないというか。マイクを最初に狙った意味があまりない、という点はまあ良いと思うんです。親子描写として不穏な感じを敵サイドに出せるので。まあそれが早すぎて少し残念な気もしましたが。

 問題は過去に関わった人間を順繰りに殺すシーン。この目的は直接の復讐もありますが、周りの人物が殺されていくことでマイクに恐怖を与えること。だとしたら、マイクは警部の死ぐらいでしかショックを受けていない印象ですし、どう考えてもマーカスは狙うべき人材なのに無視。そして何より、恐怖を与えたいのであれば、殺したことによって狙っている、というメッセージを届ける必要がある、即ち正体を気付かせる必要がある訳です。ところが、マイクは恨みを買いすぎていたせいでハイテク捜査でも候補が多すぎる。マイクは最後の1人になったことすら気付いてない訳です。これはあまりにもお粗末というか。クローズドサークルでの連続殺人であるならば、マイクを「こんなところにいられるか!」と部屋に閉じこもった後に殺される、そういうシチュエーションに持って行くべきなのです。他の殺しが脅迫として機能していない、というのはあまりに勿体ないです。もっとも、そのおかげで大量に製造された死体に重みがなく、ウェットにならないでいることを可能にしている、とも言えますが。