抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

歴代最強級ステイサム「キャッシュトラック」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はありがたいことにオンライン試写!ジェイソン・ステイサム×ガイ・リッチーの黄金コンビの作品になります。そんなガイ・リッチーをずっと見てる訳じゃないんですけど、年2作見れるって結構すごいのでは?

Wrath of Man

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有)

1.多様なジャンルムービーを体験!

 全4幕で進む本作。冒頭は現金輸送車襲撃を見せて、この襲撃が非常に重要になる訳ですが、ここで現金輸送車を運転する側の職務をある程度見せる効果も。よく考えたら、現金輸送車って襲われている時ばっか見ているから、大概モブなんですよねぇ。

 で、ステイサム登場。現金輸送車の警備会社の採用面接からスタートです。体力・運転・射撃などの試験、7割で合格だ、って言われてステイサムはそこスレスレ。絶対狙ってやったよな、と思いつつ、武力がものをいう男社会(女性も一人いましたが)なので、彼みたいな新人にはいびりとテスト結果による舐めが発生する。こっから舐めさせっぱなしのターンが25分ほど続いて、お仕事初めてモノっぽい感じ。がしかーし!襲撃事件発生!!ここで抜群の対処を見せるステイサム!逆にいびってた方がブルってるパターン!そう!「広義の舐めてた相手が」映画なのだ!!運転席のヤツの顔さいこー! 

 こうなると、ステイサムは何のためにボンクラのフリをしてたの!?が疑問になって、コンゲームっぽい感じなのか、ただのステイサム無双映画なのか?みたいな感じで引っ張っていく。そう言えば、退勤時に従業員のカードのとこガン見してたぞ!とか(なお、スマホで写真撮ってた模様)

 第2幕で時間が前に。こういう時間系いじりはガイ・リッチーお手の物よね。ここでステイサムに息子がいることが分かって、会社に潜入した理由もわかってくる。冒頭の事件をステイサム視点でリピート。ここは、映画的にはガイ・リッチーの得意なギャング映画っぽいパートではあるんですが、映画全体としてはリベンジムービーなんだな、っていうことが分かるっていう。

 3幕目は視点が完全に変わって知らんおっさんだらけ。そう、冒頭の事件の実行犯の視点でございます。今度は、こいつらが現金輸送車を強奪するようになった経緯をまたも時間を動かしながら見せつつ、3度目の冒頭のシーン。一応、3回見せるのはクドい気もするんですが、情報の小出し感とかも含めて、そんなに気にはならなくて。むしろ、あっ、そういえばそこが繋がるんだ!ぐらいの印象。こっからは誰が会社内部の協力者か?っていう点でも引っ張るのかな、と思ってました、この時は。

 なんと4幕目で速攻ブレットがゲロっちゃうというサプライズ!そりゃデイナが金持っているのを見せているのは露骨なミスリードだな、と思ってたけども!!

 という訳で、現金輸送車を襲うに飽き足らず、内部情報でお金の集まる日を把握した敵連中は輸送車の車庫を襲撃!ここでは完全に強奪モノの面白さを存分に見せつける。しっかり敵の作戦通りに進んでいくことで、敵の実力を見せつけつつ、ステイサムもしっかり応戦して、彼の強さを見せておく。一方で、彼に感化されて戦おうとした運転してたヤツなんかも始め、味方はドンドン死んでいくのでステイサムの強さが際立つ。ちゃんと丁寧に警察やSWATの動向も提示されているので、逃走劇に無理を感じない。

 あれ、息子を殺したスコット・イーストウッドが生き残ってしまったぞ、と思ったところで安心ください。流れるワーグナーの『ワルキューレ』。そういえば過去編でしっかり着信音として提示してあるし、襲われた時なんかステイサム仕込んでた!!そして聞こえる後ろからの「出ないのか?」真後ろで怒りに燃えるステイサムのこの発言、嫌いな映画好きがいるんでしょうか。

 息子が撃たれた肝臓、肺、脾臓、心臓を、入社試験の射撃はなんだったんだのレベルで綺麗に撃って復讐を果たすステイサム。そして全部泳がせていたFBIとやり取りを終え、ステイサムは部下の車で帰路につく。終わってみればしっかりリベンジ・ムービーなのに、色んなジャンルの面白さが詰まったノワールでございました。ステイサムは大悪人(劇中でもFBIが25年追っていたと言及されている)なのに、全然そうは見えない、でも悲哀は感じるキャラクターの造形にバンザイでした。

 

 なお、本作はフランス映画『ブルー・レクイエム』のリメイクってことだったんですが、そもそもその作品をちっとも知らなかったし、宣伝でもリメイクって聞いたことなかった。