どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
1月に見た旧作は16作品。後半に九州にいて10日間で2作品しか見てないので、それを考えると凄い。正月にめっちゃ見た訳ですね。
SING/シング
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
子年ということで、新年一発目はネズミも登場するこの映画。
イルミネーション作品は初めて見たかも。
様々な種類の動物たちがショーを頑張る、けど彼らは社会的には弱者の立場で、というのは少しグレイテスト・ショーマンと被るが、より分かりやすく黙ってろ、歌うな、という声、圧力を跳ね除けての感情の発露としてのパフォーマンスが素晴らしかった。
勿論、キャラクターが多いので結果的に重圧をはねのけるまでの物語が不十分な部分や、すべてがダメに見えたコアラ支配人だって人を見る目があったじゃん、これまでなんで成功してないねん、的な指摘は否めないがそれを越えてしっかりエモーショナルになれるラストのショーを見せてくれたからそれで充分だ。
パッセンジャー
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
宇宙旅行で、早く目覚めすぎた男が女を起こしちゃって云々。
宇宙が似合う男クリプラが、孤独に耐えかねてジェニファー・ローレンスを手動で起床させて楽しくルンルン、で終わる訳もなく…。
宇宙描写は基本的に美しく、特に無重力状態のプールの水塊で溺死しそうになるシーンは芸術的だと言える。一方で、熱すぎてレバーを持てないシーンでは壁とかその辺の機会を無造作に触ったりしていて細部がっ!となったり。
正直知識と権限だけを与えるためだけに出てきた役割のローレンス・フィッシュバーンは可哀想で、だったらクルーも同じ部屋で冬眠していて、役に立つし好み、という理由で起こされるシチュエーションにして20分ぐらい短縮した方が良かったかな。
あくまで個人的な好みだが、着地が新境地のアダムとイブみたいな感じは無難すぎるというか。「シャイニング」っぽいっぽいバーテンまで出してるんだし、クリプラ死亡からのジェニファー・ローレンスがやっぱり耐えられずに誰かを起こしちゃうENDで虚無感を出してくれる方が好み。
ヒューゴの不思議な冒険
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
ナルニアとかみたいなジュブナイルファンタジーだと思ったら、スコセッシが映画好きを拗らせただけだった…
リュミエール兄弟から始まる映画の歴史に大いに敬意を払う作品で、その上で最新技術を駆使した(と聞いている)ことで、映画の縦の歴史を強く印象付ける。
それだけに、映画の最新系ともいえるMCUへのスコセッシ発言はなんだったのだろう?とも思ってしまった。
あと、単純にシネフィル感が強すぎてメインの子ども2人の物語としては薄い。
キャスト・アウェイ
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
圧倒的トム・ハンクス力。無人島に漂着してから喋らないし、顔と肉体で演技してるだけで画面を持たせる力は凄い。凄いんだけど、無人島サバイバルがメインじゃなくて失踪した人間が戻ってきた、というタイプのドラマなんだと思う。というか、そうじゃないと陽キャのノリでもっと絶望を乗り切った「オデッセイ」の魅力に抗えない。
なんだろう、もっと宅配の仕事が生きたりすれば良かったんだけど、単なる都合のいい生存手段としての役割にしかなってなかったのが勿体ないかな。
教誨師
WATCHA4.5点
Filmarks4.4点
漣さんは何度かお見かけして、お話ししたこともある大切なサッカーファミリーでした。少し離れたスタンドで台本片手にカッコよく座ってたり、息子さんがサッカー選手の六平直政さんと一緒に観戦されていたり。それを思い出して、また泣けてきました。早すぎるぜ…徳島は今年も楽しいサッカーしてくれると思うよ、漣さん…
死刑囚に向き合う教誨師にスポットを当て、死や罪との向き合い方を囚人ごとに話すだけで明らかにしていきながら、教誨師自身の過去も顕になっていく。人数が少し多すぎて渋滞もしていたが、根本的に問いかけてくるものは変わらない。少なくとも、自分があの生意気な論破小僧になっていないか自戒したくなる。
人魚の眠る家
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
脳死と心臓停止のどちらを死と捉えるのか、科学が侵していい人体の神秘のラインは。倫理性、宗教性が大きく問われる題材で脳死の娘が「生きている」ことにすがる母親の物語。
妄執といっていい状態の篠原涼子は勿論、子役も素晴らしいし、全員が没入したり、違和感を持ちながらも見ないフリをしたり、贖罪の意識があるからこそ、川栄李奈の存在・視線が非常に際立つ。
ただの提起になるだけでなく、しっかりミステリ作家が描く意味のある話になっている機転も割と好み。
それでも夜は明ける
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
自由黒人、という概念が初耳だったが、ハメられて身を落とし奴隷となった黒人の復権もの、といったところか。ブラピはあまりにも唐突な感じがするし、虚像くさいヒロイックだが、実話らしいし、キャスティングのせいでそう見えるのかもしれない。逆に、ポール・ダノは思った通りの酷いヤツだし、カンバーバッチも見た目通りの好印象だった。
ただ、「それでも夜は明ける」というのは、元々自由黒人だったソロモンには明ける夜だっただけで、当初から奴隷として成長してきた人々には夜であることすら気づかせぬ白夜であったこと、そして奴隷制が廃止されてなお、黒人差別、あるいはマイノリティへの偏見が抜けきらず、それを題材にした作品もまだまだ無くならない。ちょっと邦題ムムム案件なのかな、という気がする。ガルシア・マルケス『百年の孤独』をもじって十二年の孤独、とかどうでしょう。
アラーニェの虫籠
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
昨年の物語る亀さんのオフ会で話題に出た作品の展示と無料放映が渋谷であったので参戦。
とても1人で作ったとは思えぬクオリティ。同じような画面でもカメラを揺らしたり、光の角度が変わることで退屈に見えない。ただ、流石に中盤がダレたか。あとは好みとして、キャラデザがモデリングしてある3DCGより手書き2Dの方が好きだった。混在してるとノイズになるかな。
物語としては、ある程度考えながら見れば説明はつく内容なのでもう少しブラッシュアップ、っていうか金額アップした内容でも見てみたい。
エクソシスト ディレクターズカット版
WATCHA4.5点
Filmakrs4.4点
映画のオフ会にて、「パーフェクション」行けるなら「ヘレディタリー」も行ける!と推されたので腕試しに名作を。フリードキンなら、「恐怖の報酬」で知ってるし。
んで、結論としてはまあ古いものなのでそこまで怖さは感じず、エンタメとして十分面白い。特に音響が怖がらせる作りになっていて秀逸だと感じた。
また、エクソシズムという本来オカルトの文脈のものに頼るために、科学的プロセスを経ていく前段階は説得力を持たせるために重要。科学的アプローチが尽きたからこそ、オカルトに手が出るし、現代ならエセ科学だって信じてしまう。だから、分からないものを分からない、と言えるこの映画はある種非常に科学的だな、とも感じた。
本来の劇場公開版を見ていないので、ラストが違うらしいが、この結末はとても良かったのではないか。
ダンス・ウィズ・ウルブズ
WATCHA5.0点
Filmarks5.0点
圧倒的大自然!!!
イゾラド好きなんだからインディアンとのファーストコンタクトものが嫌いなわけなかった。交わってからの過程は最高。コミュニケーション取れない他者同士が理解し合う、というのはいつの世も普遍性があって素晴らしい。
そして撮影だ。オオカミ、バッファロー。それどうやって撮ったの?の連続。
一方で、アメリカがしてきたこと全体とも重なる文化を尊重せず銃撃という文化を自衛の為とはいえスー族に持ち込んでしまったことへの違和感は拭えず。あとイゾラド好きだからこそ、免疫関係も気にはなった。
花とアリス
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
青春の儚さを表すような淡い照明が苦手だ。
とにかくキミ呼びしか出来ずにエピソードがぶつ切りに感じて苦手だ。
音楽が主張しすぎてセリフが聞こえなくて苦手だ。
花とアリスの家庭は出てくるのに記憶喪失扱いされて家庭が出てこない不自然さが苦手だ。
苦手な理由は幾つもあったが、そこに抗い難い青春の魅力があったのも事実。でもやっぱりどうも好きにはなれないな…
銀河鉄道999
WATCHA4.5点
Filmarks4.7点
いやー、素晴らしい。アニメシリーズは未見の若輩だが、これは999だけでなく、キャプテン・ハーロックもクイーン・エメラルダスも見たくなる。
要諦を纏めてはいるんだろうが、ダイジェスト感も感じず、しっかりと成長していく鉄郎。青春の幻影の中で生き続けるメーテル。これリアルタイムで食らったらたまらんなぁ…
サンセット大通り
WATCHA4.5点
Filmarks4.4点
最早ホラーかと思うような怪演を見せるグロリア・スワンソンが素晴らしく、永遠に彼女の主観に入れない私たちにはいつ幻想が醒めるのかと恐怖する。
死体となって話始める男、サイレントの世界に取り残された女優、忘れられない男。一方で、ハリウッドで成功している柔軟な巨匠や未来を見つめる若い女性が入り混じる視線の交差が希望であり、それは冒頭の結末が示唆することを考えるとますます光るのだ。
劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
いい話なのは間違い無いが、総集編にしたくない、という意地だけしか感じず。アニメで完結したものをリピートしている印象が強く、じんたん含めてほぼ成長の余地が無いから物語に推進力が無い。その中でもあなるの部分で少しだけ成長を描く努力はしてるんだけど。
ドラゴン・タトゥーの女
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
ミレニアムシリーズの原作やスウェーデン版は摂取しておらず完全初見。
このミスでこのシリーズを知ったので、ミステリだと思っていたが、フィンチャーの映画としては「セブン」ほど謎解き感も無いし、どちらかというと群像劇的な印象。一族を捜査していくのに登場人物が多く、何度も視覚的に分かりやすくなる努力はしているが、横溝正史的文脈から言えば、彼らは同時に姿を見せないので違和感が凄い。ついでに謎解きのプロセスはめちゃくちゃ適当だし、リスベットとダニエル・クレイグは1時間ぐらいしないと合流しないから前半の推進力がやや弱く感じた。
ミスティック・リバー
WATCHA3.0点
Filmarks2.8点
映像ミステリとして決定的に破綻している。
作中の人物が疑われていくが、犯人の証拠たる拳銃、動機は全無視され、疑われる人物が無実であることは傷跡などから視聴者には容易に分かってしまう。うーん、流石に警察サイドはすぐに分かるだろ…。
その上で、ほんの僅かな差で悲劇を経験した人物が恐らくは誰にも理解されず寄り添われずに、それでも立派に頑張ってきて、それでこの結末はあまりにひどく、一方で不良がちょっといい顔しただけで、結局やっていることは最悪なのにそれが美化されているようにも感じる。はっきりいって嫌いな結論だ。
あと、物言わぬ人をチアアップする展開かと思っていたのに、喋らない方が悪い、ととれる結末なのも好きじゃなかった。