抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

猫と烏「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 なんだか久しぶりにブログを書いている気がします。先週も『大室家 dear sisters』『カラーパープル』と2作品を鑑賞したんですが華麗にブログにするのをスルーしてしまったのでね!今回は劇場版のハイキュー!!鹿の王、北極百貨店、そして今回。IGは死んだと思っていたが息を吹き返した??

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WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

(以下ネタバレ有)

 

 来てしまいました。遂に来てしまったのです。スポーツを愛し、ザ・ファーストスラムダンクなんか見ちゃった日には、Bリーグの現地観戦にまで手を出した男が新世代スポ根のマスターピースともいえるバレーボール作品『ハイキュー!!』の劇場版が。見るべきなんだろうな作品であったものの、見事に乗り遅れてアニメが3期ぐらいまで進んだ結果タイミングの合わない作品になってしまったね、なーんて思っていたのに。来ちゃったんです、劇場版。そうなると見ないとなぁ、とふわっと予習をスタート。面白かったんですけども、いかんせんこう時間が。ということで1期25話は完走したものの残りはどうしましょうか、と悩んでいたので有識者、もといアニならメンバーのよにださんに伺ったところ貸すから読め!と即答。今回の原作となる音駒戦が終わる37巻まで読みました。面白かった、素晴らしい作品でした。自分史上でも『鋼の錬金術師』と並ぶベスト漫画になったと言ってすらいいでしょう。漫画を読まないことでお馴染みの、とはいえここまでの高評価になるとは。

 さて、劇場版。アニメ1期を見ているので音駒メンバーも含めてイメージは結構できている状態で漫画を読み進めた結果、烏野の超攻撃的なバレーをどうアニメーションにしているのか、という楽しみはありつつ、各キャラは完全に把握しているというある種理想的とすら言える状態で見れた印象。

 前置きが長かった。映画は翔陽と研磨が出会った過去回想に始まり、執拗なまでの猫と烏、そして決戦を実戦尺としての85分で描く、というもの。はっきり言って足りないです。めっちゃ足りない。気づけば結構な点が入っていて試合展開的にはあっさりを感じるというか、実戦尺なのだからリアルタイム進行を期待していたらそこは割と無視して週間連載だったから許せた気のする回想やちょっとしたギャグを結構ちゃんといれていて、そうか、プレーよりそっちを優先しちゃったか、っていう感じはある。スラムダンクと同じ轍を踏んだか。一応セッティングはしてあった実況・解説も放置でした。後半になるにつれて漫画ではセリフも説明も無くなって加速していく展開に手に汗握ったのだが、この映画ではそこを研磨の視点、研磨の息づかいで劇場を支配する、という展開で演出して見せた。なるほどここは凄い。でもやっぱ止めすぎだよ、スラムダンクと同じ方向のスポーツアニメ増えるのかな…

 これまで漫画で仕込みに仕込んだフリがあってのゴミ捨て場の決戦だったので、この映画もアニメあって、ということになるだろう。全然紹介もルール説明もしないで一見さんお断りである。それでバカ売れしてるのだから凄い。ついでに言えば、主人公も翔陽じゃなくて研磨だろ、と言ってしまいたいぐらいだ。音駒のメンバーがかなりピックアップされ、研磨の回想でバレーを始めた理由や黒尾との絆なんかをしっかり描きこんで「たーのしー」と発して翔陽に完全敗北した、そこにカタルシスがあって翔陽たちの勝利にカタルシスは殆ど感じられない。頑張って各々の因縁を描こうとしてはいたがやっぱ足りないかしら。

 とはいえですよ、ええ、泣いたのは事実です。大体黒尾と同じタイミングで泣いてました。3年間が黒尾と夜久と一緒で良かったはズルい。やっぱスポーツにおける魂の決戦は勝っても負けても泣ける。黒尾で泣く、っていうのはやっぱり主役が音駒だったってことなんでしょう。でも漫画のほうが泣いた。泣いたし、手が止まらなかった。その点この映画では考える時間があって、終盤に向かって少し落ち着いた。止まらない熱狂こそがリアルタイム進行と近いはずなのに。そこは納得いっていない。視点を誰かに出来るほどフィクショナルに行くのなら、もっと緻密に練り上げて100分で構わない。ついでに言えば、最後の握手で視点が翔陽になるのはブレていると思う。あ、月島だけは別だ、完全にあいつ主人公の瞬間あったよな。なんなら意図的に作画を乱したような感覚すらあったぞ、月島が上からぶったたいたトコ。

 バレーボールって稀有なスポーツだと思っていて、視点が下に向かないんですよ。常に上を見る。ボールがプレーヤーたちより高く上がり、そしてそこに意識がいっていると、途端に躍動する選手たちを見逃してしまう。引きのカメラを自分の中に持ってみることになるスポーツ。(これが極限まで行くとセパタクローという人間を辞めているようにしか見えない競技になるのですが)。その点でも正直不満が残るというか、もっと引きのカメラでもっと見せて欲しかった。漫画では描き切れない空間的な面白さをもっと引き出して欲しかったし、西谷が翔陽のブロードを邪魔する位置に引っ張り出された話を出来るんだったら、彼のその後のレシーブ後の切り替え移動も空間的に魅せられたはず。胸に手を当てて自分に問い直したい。バレーボールの良いところ、引き出しきれていたか?今回はVリーグは行くか?