抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

近視眼「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はガンダム最新作。SEEDシリーズは未見でしたが、この劇場版に合わせてSEED総集編3部作、DESTINY総集編4部作を見て臨みました。大体90分の映画を7本見るのが予習なので、10時間?って思うと1クール見るよりは時間かけてたんですな。

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WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有)

1.近視眼の世界

 いやー悔しいというか、納得していないんですけど、面白かったです。なんでしょう、この釈然としなさ。いきなり終盤の話で恐縮ですが、ラクスがフリーダムになんか持ってって合体してすんごい強そうなのになる展開とか、あの瞬間ではしっかり決め画が出来ているし、テンション的にはグレンラガンとか、グリッドマンユニバースとかと同じような熱さを持っているはずなんですが、どうにもそこまで熱くはなっていない、みたいな。直球で愛だなんだと叫んでるんですがどうにも暑苦しさが足りない。不思議だ。

 特に後半は、割と勢いでなんとかしていた感もかなりあるんですよね、アコード?だっけ、あのコーディネーターよりさらに上を自称する連中の心を読める能力に対抗する方法がアスランの破廉恥な!だったり、アスカの闇が深い!だったり。っていうかそもそもキラ・ヤマトがユーラシアの領域を侵犯するのも雑な闇に堕ちろ!とかいう洗脳なのかなんなのかよくわからん能力だし。ラクスがなんかくらってるのは、作り出されたのが対の存在だから、っていうので許せるけど、ナンボ何でもあっこでキラに暴走させるところだけ雑すぎる。そしてここまで書いて思い出したけど、そもそもアコードが心が読めるってのはアスランが推定しただけのはずなのに心が読めるんじゃ無かったの?とかアスランが煽り出してるのおかしいだろ!なんでどんどんバカになっていくのだ!

 みたいなことを思って乗り切れないはずなんだけど、面白かったのだから仕方ない。何と言っても、シン・アスカだろう。そもそも、このSEEDというシリーズは私が見てきた数少ないガンダムの中でも全体を見通す戦争の話というよりも近視眼的に目の前の人の惚れた腫れただ、その自分の中での納得、を軸に50話も使っていて終わってみたら別に戦争の構造自体は何も解決していなかったりしたのだが、明確にシン・アスカはその犠牲になったように思える人物だった。それが気付けば「俺って信用されているのかな…」とキラに尻尾を振る忠犬になっていて、ルナマリアといちゃいちゃしては、ミレニアムをキラから託されて満面の笑みを浮かべ、最後はなんか気合で三連アタックをぼっこぼこにした挙句、レクイエムを潰す快挙である。今回シン・アスカが何か成長したかと言われれば、勝手に不安になって満足しただけなのだが、その上に立つキラ・ヤマトがもっと勝手に不安になって、もっと勝手にラクスとの愛を確かめだしているので完全に愛されポジションを獲得してしまった。こいつがこんなにかわいくなるとは。

 そしてそのためにまたしてもいやな女ムーブをする桑島法子。毎回キャラを変えて出てきては酷いものであるが、一体全体なんなのだ。そして最終的に宇宙をめぐる戦争は主人公カップルが浜辺で全裸で抱き合っていい曲がかかって終わる。爆笑してるんだけど納得はしてない、みたいな。変すぎるんよ

 結局のところ、DESTINYで蒔かれてしまったシビュラシステム的な遺伝子の時点で人生が決定される世界への憧憬、ナチュラルとコーディネーターの潜在的対立っていう要素が今回のファウンデーションの連中が画策した要因になる訳なのだが、前述したようにそもそもこういう構造がテレビシリーズをいくらやろうと解決していないので起きちゃうのはしょうがない。その中で、必要とか価値の側面から攻めてくる初登場時から絶対悪い下野さん相手に、ラクス・クラインが演説をぶち込んで愛が最高!誰を愛するかは自分で決める!お前もきっと未来では愛される!私は愛さないけどな!となんかすごいミニマムな決着になっていて、戦わないと分からないどころか、戦っても分からない奴に対しての解答としては未だ有効打は出ず、ではあった。んなもん、有効打があったら世界平和が現実にも訪れるだろ、という指摘はごもっともではあるが、そこに向けてどのように努力していけばいいのかの一定程度の希望や方針は見せてほしいかな、というのが正直なところ。それが「ガンダム」っていうコンテンツが持っている強さであると信じているし、それを考えられないのであれば戦争を消費しているだけに過ぎない、むしろガンダム世界が平和になることはサンライズバンダイナムコが望んでいないのだ、という悲しい結論になってしまうのではなかろうか。

 素直にこのアクションがすごーい、とかそういうことを考える以前にガンダムが扱うべき戦争とは、みたいなそもそも論とか考えだす時点でアクション見るの向いていないな、と改めて思いますな、しかし。

 あ、でもあの字幕連打は笑ったわ。常に現在地をお知らせしたい謎の製作陣の意欲はなんなん??

 取り敢えず鉄血のオルフェンズあたりは見とく?