抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

リアルな試合とリアル試合「THE FISRT SLAMDUNK」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は遂に復活したスラムダンク劇場版。初めてのスラダンとの出会いは漫画にしてくれというご指摘があったため、フォロワーさんに新装版をお借りして全巻読破してから臨んでおります。漫画久々に読んだな。

 そして偶然ですが、はっぴーばーすでーとぅーみー。

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WATHCA3.5点

Filmarks3.6点

(以下ネタバレ有)

1.隠しに隠したその一戦

 うーん、隠しましたなー今回は。直前にようやく発表されたアニメ旧声優陣の変更も含めて、全く情報を公開せずに劇場公開を迎えた本作。情報隠してるのに日時指定の前売り券は買ってね、とか虫が良すぎると思うし、なんか成功したくさい雰囲気が漂っているのでこれは言っておきますが、同じ手法でやんなよ、東映。映画の出来とそことは切り離すからな。

 で、やるのはスラムダンクの大一番、山王戦でした。なんでこれがそもそも噂に上がってたのか知らなかったんですけど、あれなんですね、アニメでやっていないんですね。漫画弱者の私でも知ってるミームとなった嘘みたいに負けた云々はみんな漫画でしか体験していなかったんだ。っていうか、よく考えたらミームの殆どが漫画の画像だしスラムダンクってやっぱ漫画なんだね。(いやまて、ネットミームはそもそもアニメじゃなくて漫画が殆どのような気もするぞ)

 ぐらいの感覚で行って何の説明もなく山王戦が始まるのでね、完全初見切り捨てだと思います、明らかに。いいんですけど、初見殺しでも。ただ、それよりなにより凄くびっくりするのが、あんなに怪しいと特報段階では思っていたフルCGのバスケが全然見れる、いや、むしろ清々しい。こんなにバスケうまくさせられるんだ!という驚き。いわゆるアニメ的な、お前今シュート撃つまでに何秒で何行喋ってた!?的なタメを排除して、リアルなバスケの試合を見に来たような感覚に極限まで近づける努力をしてくれていたように思えます。シンプルここは謝りたい。舐めててすいませんでした。

 でもね、せっかく試合を極限にリアルに近づけても、こんなに回想があっては意味がありません。今回は宮城リョータを軸においた再解釈の山王戦的な描写であり、リョータのお兄ちゃんとの思い出や、その死を今も振り切れない家庭の様子なんかがつぶさに描かれます。ただ、その回想シーンが本当に邪魔。何行喋ってんだ、が無い代わりに何秒思い出してんだ、が発生。結果的に試合に描写が戻っても、あれ、今何してたんだっけの把握からやり直す。把握するころには回想で付与された意味を持つ動作が既に終わってしまう。スポーツの試合はリアルタイムが一番面白い、が信条。それを映像化する時にはあの手この手で時間を飛ばしたり短くしたり引き延ばしたりでドラマ的な見せ場を誘導していくんですが、映像の作りがリアルよりでそういうことをされると、せっかくの試合が盛り上がらない。私の理解力が遅いせいだ、と言われたらそれまでですが。再解釈するなら今回描いてない流川と桜木のハイタッチ?っていうのか、あれ?は訳わかんないじゃん。原作ブースト使ってんじゃん。

 あと、リアルにしていくせいで、安西先生のクソさは際立ったと思います。桜木を交代させず、ひっこめてからようやく一生後悔するところでした、とかまで言っておいて結局出す。前の試合では流川は脳震盪を起こしている。部活動に励む高校1年生に対してこの判断は絶対にダメです。ダメ。どんな嫌われ役になってでも止めるのが大人の仕事です。回想で三井がボッコボコに宮城をしていたのもあれっすね、ちょっと引っかかりになりますね。ついでにこれは原作の時点での不満なんですけど、三井は1年もグレてて戻ってきて体力が足りねぇ、みたいに言ってますけど、山王に勝てるレベルな訳でしょ?花道が数か月怪我で離脱したら取り返しがつかない遅れになる!!みたいなの、花道にだけ時間の価値が厳しすぎません?

 結局のところ、私のスポーツに関する視点の違いかな、と思います。バクテン!!で死ぬほど泣いて、雄獅少年で心躍ったのは、それが第三者的視点、観客視点で競技を見ていて感動したから。でも、今回のスラムダンクでの感動の主体は観客ではなく、プレーヤーにある。そこに自己投影する人だけが感動できるシステムで、自己投影しやすいのは原作既読、そしてなによりスラムダンクのない20年ぐらいを生きてきた人生を持っている人なんだろう。完全の外野視点の人物には、この試合の意味付けやプレーの重要性、解説役がいないとやっぱりそれは何の変哲もない練習試合と全く変わらないのだ。

2.リアルな試合描写を確認してきた

 さて、リアルなバスケの試合描写が本当にリアルなのか。かつて『海獣の子供』のハンドボール描写を絶賛したりした身としては、やはり本物を見なくては、という思いも。

 ということで。

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 国立代々木第一体育館

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 Bリーグ2022-2023シーズン第10節アルバルク東京vs京都ハンナリーズを観戦してきました!

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 この写真は試合後。BはJと同じで写真の営利利用は禁じていて、個人の範囲で楽しむものならセーフなんですが、日和って試合中は写真取れませんでした。

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 ふぅ。あれ、これじゃただ試合を楽しんだ人でしたね、失礼。

 まずはやっぱり当然ではありながら重要な要素としてスラムダンクが連載されていた時とは、バスケットボール自体が変容しているっていうこと。会場でのアナウンスでもスラムダンクをきっかけに来た人用にルールの説明とかもあって、一番大きいのは20分ハーフから10分のクォーター制になってることでしょうか。

 そして戦術面ですよね。スラムダンク読んでると、シュートのできない桜木花道が他でカバーできるからって感じですけど、いやいやそれはあかんなっていうのが完全に分かる。三井と流川が3Pって印象でしたけど、どのポジションからもガンガン打ってますね。あと思ったよりゴール下にいない。まあこれはゴール下に何秒しかいちゃいけないっていうルールを知らなかったので気が付かなかっただけかもしれません。京都の得点源の選手が退場してしまったこともあって、桜木花道がいかにイレギュラーなのかもわかったし、そうなると大変なのも見れました。ラッキー。基本が2m越えの中で、今回の主役だったリョータみたいに背の低い司令塔の選手もいたんですが、ドリブルで…とかそういうのはかなり厳しい印象は受けましたね。

 うーん何が言いたいかって文章化難しいですね、とにかく基本的には現場がとても素晴らしく、リアルタイムスポーツの力を強く感じたっていうことで、映画で多用された回想っていう手法は全くそぐわないな、っていうことですね。明らかにいまここ、目の前で何が起きているかに勝るドラマがない、といっていいでしょう。極限までリアルな試合描写にしたことによってそことは離れてしまったと思います。一方で、THE FIRST SLAMDUNKってすごい漫画っぽかったのかな?とも思えて。そういう視点で思うと回想を入れるやり方が決して間違っているとも言えず。バスケットボール映画じゃなくて、スラムダンク映画というジャンルだとしたら、これは正解なんだろうな、と。まあ、いつも言ってるようなファンが好きならそれでいいんじゃないっすか理論と似たような結論で申し訳ないですが。