抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2023年1月に見た過去作の記録

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は1月に見た旧作のお話。1月にして年間ベスト級の傑作と長尺映画での随一の作品に出会えました。23本ぐらいですか?あと面倒なので書いてないですが、岡本忠成川本喜八郎山村浩二の短編アニメ作品は結構見ました。頭山とか、花折りとか面白かったです。

 

ダーティハリー2

ダーティハリー2(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 前作でのハリーがヒロイックに見えすぎて云々、ということで今回のワルは法の裁きを逃れた奴らに私刑を喰らわす連中。

 そこに対して銃を抜くことに躊躇のないハリーがどう対峙していくのかが重要なのだが、この映画はそこに言葉による勝利を求めずに映画的な快楽に振り切ってしまった。これでは前作とのハリーの立ち位置の違いや、今回の敵との差別化が万全に図られてるとは言い難く、同じ監督・主演コンビで法の正義を糺した「奴らを高く吊るせ!」より後退してしまった印象が否めない。

 ただ、その分ちゃんとチェイスシーンとか面白いんだ

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン

ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地(字幕版)

WATCHA4.5点

Filmarks4.6点

 贅沢にして退屈な3時間。

 夫を亡くしている女性の子との二人暮らしの3日間をただ定点で撮る。1日目は基礎を見せ2日目は僅かな違和感を持たせ、そして3日目に小さな違いが絶対的な断絶になってしまう。

 ルーティンでガチガチに固まって、いつもの時間にいつものことをしている人間が何かがズレたせいでどんどんあれ?を繰り返していき、劇的な何かに繋がっていく。動作から見える苛立ち、ふとした物音。絶対に画面を止められない映画館で見る機会があるなら逃してはならない傑作だ

シャーロック・ホームズ

シャーロック・ホームズ (字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 かの探偵は東洋のバリツなる武術を嗜んだという…というとこを膨らませてアクションに振りまくったシャーロック・ホームズ

 それは分かるんだが求めてない、に尽きる。だったらもっと謎解きにスマートさが欲しかったり、アイリーン・アドラーにもう少し…みたいなコナンくんに出てきたシャーロッキアンみたいなことを思ってしまった。だってこれなら普通のサスペンスアクションじゃん。

シャーロック・ホームズ シャドウゲーム

シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 まあ1作目があったおかげで期待はしなかった分落差がなかった…かな?

 相も変わらずアクション中心というか、もうミッションインポッシブルやんけ!なアクションの見せ場ばっかり作ってる。戦車のとことか、あの辺は戦争映画じゃねえか。

 モリアーティ、そしてライヘンバッハという地名を序盤で出したからにはラストは決まっていて、そこに向けてどう盛り上げるか、だと思うんだけどそれはできてない。
正直、ホームズよりもロバート・ダウニーJrの方を大切に思って弄ってる感じは好きではない。

サッドヒルを掘り返せ

サッドヒルを掘り返せ(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 『続・夕陽のガンマン』を愛する男たちが、ロケ地だった墓地がそのまま放置されているところからの復刻を始めるドキュメンタリー。

 この作品がいかに優れていたかを語りながら、復旧作業を続ける様子を見つめる。そこにあるのは純然たる愛であり、Room237で描かれたような少しズレたファンダムとはまた異なっていて、とても愛せる。

 何よりクライマックスでイーストウッドのコメントが流れた時の会場の熱狂だ。イーストウッドという男の西部劇における力をあらためて思い知らされた。

ショウガール

ショーガール(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 流れ着いたラスベガスで一旗あげる感じの話。

 全体にクソ男が多いが、主人公も決してクリーンでもなく、うーんこれで主人公の過去はこうでした!とかされてもなぁ。

 ヴァーホーベンはエログロが上手い印象だったけど、これはシンプルに下品。

 …と思ったらこれラジー乱獲してるんか!

U-31

U-31

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 ジェフ千葉全面協力、というかジェフの25周年記念映画なんだが、だとしたらチーム名もジェフにしちゃえばいいのに。ちゃんと練習場やスタジアムを使っているだけに、映ってる名前と喋ってる名前が違うことがノイズになる。

 全体的に描かれるサッカー選手像がちょっと古めなのが気になり、主人公も2016年時点のJリーガーとしては実在感が無い。漫画だと許されるキャラ感だが、現実に落とし込んだ途端、31で落ちぶれた扱いは三浦カズゴン中山が許さない。

 サッカーをできる人材をちゃんと練習で配置しているのでサッカーのレベルは高いのだが、練習を通じて周りを変えるところを見せるならもう少しプレー以外のところを見せたいか。

 勝村さんとか漣さんとか平ちゃん出てるんだし、ジェフならこじるりか桐谷美玲を…というのは言い過ぎですね

 そして何より1番怖いのは、まだジェフがJ2…

チワワちゃん

チワワちゃん

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 ダチがバラバラ死体で見つかった。あいつは…どんな奴だっけ?

 チワワと呼ばれた彼女の生前を当時の仲間たちに話を聞いて浮かび上がらせる構造にしたいんだろうが、多面性というにはあまりにもお粗末でチワワちゃんがそんな人だったなんて!が無い。何より利き手に回ってるのが門脇麦なのか栗山千明なのかボヤけるし、彼らが驚きを持って受け止めないから多面的に見えない。

 かといって、ミステリー的に何故彼女が死んだのか、嫌われ松子的にどう生きてどう死んだかを描くには描写が無さすぎて。

 薄っぺらいパリピ感も含めて好みではなかった。

あしたのジョー 劇場版

そして、  帰ってきた…

WATCHA5.0点

Filmarks4.8点

 すげえ、としか言いようがない。ありえない熱量が篭ってた。普段ならね、その辺のごろつきを殴るような奴がボクサー名乗ってんじゃねえとか、色々と思うところはあるだろうが、それどころではない。半分は少年院じゃねえかとかそういうのも全く感じない。

 どうもテレビ版の総集編映画なのだが、どう考えてもここしかない、というまとめ方にしか見えない。力石戦の為に全てがつつがなく進んでいる。
ほとばしる情熱ととめどない野性が滾るなにかを感じない方が無理だ。圧倒された。

母という名の女

母という名の女(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 いやーな映画。

 未成年ながら妊娠したカップルは無事出産を迎えるが、その母の無気力ぶりに祖母となった母は子どもを取り上げてしまう。それだけなら娘がアカン映画なのだが、この母親、婿を寝とってホームインベージョンというか、テラフォーミングをしてくるのだ。そんなバカな。

 とにかく目先の物事に流されるどうしようもない男の愚かさを描いた映画でもあり、女性というものの怖さを描いた映画でもあった。家族なんていう繋がりは実は薄いというか、簡単にリセットできちゃうのよ、という。なんかシンプルに女って怖いねだけではない。

殺し屋1

殺し屋1

WATCHA2.5点

Filmarks2.5点

 下品にして醜悪。グロくすればいいというものでもあるまい。痛そうなものを痛そうに作って痛そうに撮っても面白くない。聞き取りづらいセリフだし、編集も上手いとは思えないし。

 漫画やアニメなら許容できるラインなのかもしれないが、そのラインを超えてリアリティラインを飛び越えることは出来てない

うちの執事の言うことには

うちの執事が言うことには

WATCHA1.5点

Filmarks1.5点

 貴族探偵、謎解きはディナーの後で、富豪刑事。それぞれがベスト映像化だったかはともかくとして一定の強度を見せていた金持ちミステリのジャンルにコレで挑む胆力は最早蛮勇と言っていい。

 主人公は金持ちとしての気品をまるで感じず、帰国したてだろうと教育を受けてきた感じがまるでしない。貴族探偵に文句はあるが、相葉くんに気品はあった。その辺のやつを引っ捕まえて来て当主に据えたとしか思えないんだよ。

 昨今のハリウッドなら10分で済むような導入に45分かけ、ストーリーと呼ぶべきものはかろうじて見て取れる程度。ドローンとかなんなんだよ。

 白熱するはずの終盤の対決シーンももっさり喋ってるだけで聞いていてしんどいの連続。スリを疑われてるあたりの話で動き出した期待感はすぐに失われてしまった。

ハロウィン(1978)

ハロウィン≪4Kリマスター版≫ [DVD]

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 スラッシャーホラーというのか、アイコン化されたホラーキャラの1人であるブギーマンこと、マイケル・マイヤーズを描いたジョン・カーペンターズの作品。

 だが、連続殺人鬼ものというよりも日常に忍び寄る恐怖の形がたまたま殺人鬼だった、という感じの手触り。ちょっとした日常の中に映り込んでいるブギーマンに観客だけが気づいて志村後ろ〜!みたいな感覚を共有できる。それでいてやはりカーペンターなので、電子音楽的な不協和音で不穏さの表現が巧み。

ブレグジット EU離脱

ブレグジット EU離脱(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 EU離脱の狂想曲。世紀の国民投票で以下にして離脱派が勝利を得たのかをカンバーバッチ主演で映画化。早いねぇ。

 果たしてEU離脱が正しかったのかどうかは歴史の審判が下るのを待つしかないが、少なくともこの映画としてはその手続きに疑念があったこと、そして分断は想定以上に大きいことを示しつつ、戦略家カンバーバッチはその争いこそ全力だったし、国を良くしようと思ったが周りにはただの権力争いのバカがいたっていうことを描いている感じ。
ゴーヴとボリス・ジョンソンはかなり馬鹿っぽく見えるが本物の方がインパクトあるのがやはり現実の面白さでもある。キャメロンは結構まともな人というか、可哀想な人に描かれた。

 イギリスにアダム・マッケイがいればもっと手痛い感じに仕上げたのかも

大怪獣ガメラ

ガメラ 大怪獣空中決戦

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 平成ガメラを神々しく崇めている割に無視してしまっている昭和ガメラが配信されていましたので。

 まずドカーンと見せる初お目見えのシーンはゴジラ(1954)を完全に意識したカット。そこへの対抗意識が明確にあるので、ガメラが完全に悪、というか災害とかとして描かれ、そこに人類の叡智の科学が勝利する、という流れ。やっつけるのでもなく火星に送るという解決は斬新だが、ミサイルのサイズ感がバグる。これではガメラは平たくて人間より幾倍か大きい亀ぐらいのインパクト。知能も低めで、かなり本能に基づいた生物としてのガメラだった。

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン

大怪獣決闘ガメラ対バルゴン

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 めっちゃ面白いじゃん、舐めてたぞ昭和ガメラ

 子どもの味方のイメージしかない昭和ガメラの恐らくは特異点で、子ども要素は一切ない。ゴジラシリーズやキングコングのように南方で盗んだものが悪い方に転がり怪獣対決になる流れ、なのだが肝心のガメラはバルゴンに氷漬けにされて冷温停止してしまうのだ。

 ガメラが動けない間、ガメラというもう一個の脅威が無くなったぞ、ということで全力で頑張る人間たちの涙ぐましい努力!いい!いいぞ!

劇場版 あしたのジョー2

劇場版 あしたのジョー2 [Blu-ray]

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 死にゆく挽歌。

 最高のライバル力石の死後カムバックしたジョーの復活と真っ白まで。

 どうしても2時間30分かけて描いた力石との関係性に比べるとカルロス・リベラとホセ・メンドーサ2本立てなので深みは足りない。ただ、その分ジョーの物語としての強度がある。あるんだけど、死にゆく物語なのですごく難しい気持ちになってしまった。

 …あのマレーシアの虎ってボクシングとして成立してるんか?

地下水道

地下水道 (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 凄絶すぎる。

 ナチスドイツに抗う民衆、ワルシャワ蜂起をしたもののまるで上手くいかず地下水道に逃げ込むしかない。冒頭の空爆で崩れ落ちる建物の地獄、中盤以降の窒息しそうな下水道の息苦しさ。光が見えた途端にやってくる絶望。人は1番安心した時が弱い。

灰とダイヤモンド

灰とダイヤモンド (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 ポーランド映画史に残る作品なのだが、好み的には地下水道の方が好きだったかな?
ドイツ降伏を祝う日。しかし、今度はソ連の影響が強まり、資本主義と共産主義のせめぎ合いがこれから起こるその前夜でもある。

 主人公は共産党の要人を暗殺する任務に就く。だが、彼の運命は既に冒頭で暗示されてもいる。多く死んだ同志たちの想いを胸に、この先の命の価値をどう考えるのか。ヤったら死にたくなる辺りは非常に単純な気はするのだが、戦争期に青年時代を過ごしてしまうとそうもなってしまうのかもしれない。最後に滲む血が非常に印象的だ。

地球の静止する日

地球の静止する日(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 ファーストコンタクトもの。

 野球場にやってきた宇宙人と飛来物。彼らの目的は。人類は彼らに対して対話を試みてるようで、まるで対話はせず最終的には死んでても生きててもいいから捕まえろ!の始末。

 一旦致命傷にならないレベルで30分電気を止めるという荒技なんかも面白い。ゴートなるロボが完全にただの着ぐるみに見えるのはご愛嬌だが、ロバート・ワイズだけあって交通整理がよく出来ている

宇宙戦争(1953)

宇宙戦争(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 意外とスピルバーグが真面目にやってたのね、なんて思わせる。

 この時代のテラフォーミングを描いた作品をチープと評するのか、特撮技術の結晶と考えるかは難しいところだが、一定の特撮の凄さを見せられているのは間違いない。
核爆弾がちょっと威力の強い空爆ぐらいの感覚で使われてるのがね、時代よねぇ。

ボディ・スナッチャー/恐怖の街

ボディ・スナッチャー/恐怖の街 [DVD]

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

 私の知ってるあの人が別人だ!という恐怖。無論共産主義やそれに対しての赤狩りの話なのは分かった上でシンプルに怖くて面白い!

 病理の立場からこの町の異変を捉えていく主人公にとって、一度精神医学の立場で納得させらるところは観客がハラハラしていく要因になっているし、なんもかんもダメだと思い始めたタイミングで一斉にロータリーに人が集まり始める映像はシンプルに恐怖以外の何者でも無かった。

 映画館が近ければ特集のドン・シーゲル全部行きます!レベルに好き

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

 生まれた時に老人の姿で、歳をとるほど体は若返っていく。

 そのワンアイデア一本勝負で、はっきり言えばそれ単体では決してネタとしては十分ではなかったように思えた。年齢が逆行していくことに対しての医学的な説明が割とないまま進んでいったりする逐一におや?が重なり、最終的にその年齢の矢印が逆の人の悲恋、とはなるんだけどそれはそのテーマです、と聴いていて考える一丁目一番地でそれ見せられても…と。フォレスト・ガンプ的な歴史のそこでしれっといるよ!みたいなことがあればまだましかしら。