抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

ブログにならなかった映画たち2023

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 ブログに書くほどの感想が浮かばなかったり、間の時間が詰まっていてブログを書けなかったり。そういう映画たちの感想を救済していくコーナーです。このコーナーを常設したあたりから「あ、コレはまあいっか」と思ってこの記事送りにした作品が多くなってしまった気がします…。

 

アイカツ!10th STORY 〜未来へのSTARWAY〜

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WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 アイカツをまったく知らない状態で見に行ったのに卒業、そして未来へ、の物語だった。マジでびっくりした。もうすぐ卒業ね、なんて言って未来への進路を悩む話なのね、なんて思ったら田所さんの声のキャラがアメリカに行って3年半経つし、キャラが酒飲んで鍋会してるし!?学園アイドルもので、お仕事忙しい!の描写はともかく車乗ってたり、吸血鬼キャラがにんにく好きみたいなくだらないことやってたりなんか少し面白かった。ただ、最後まで誰が何年生なのかさっぱりになってしまったなぁ。ま、それは10周年記念に乗り込んだこっちが悪い笑

バビロン

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WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 いやー無茶苦茶だ。凄まじく混沌でエネルギッシュで、でも面白くはない笑

 チャゼルが映画って夢があるんだ!ということを声高に叫ぶ3時間で、とにかく冒頭のパーティもだし、トビー・マグワイアに連れて行かれる文字通りアングラ、も含めてR15で本当にいいのかというぐらい羽目を外して酒だヤクだ虐待だ殺人だ起こり放題。

 でも、映画っていう枠組みの中なら今でもそれはできるし、かつては撮影現場であればその範疇だった。現在の意識に照らせば、ありえんぞ??なことも含めてハリウッドが描いてきた夢が、白昼夢でもあり、悪夢でもあり、アメリカン・ドリームでもあることを見せ続ける。だから現実にどんどん収斂していきたい夢の覚め際は怒涛のそんまんま引用。雨に唄えばサンセット大通り、というこの手の映画で避けれない大物だけでなく、アバターマトリックスターミネーターまで流しやがった。

 でもさ、そこまでするなら戦争とハリウッド、共産主義とハリウッド、みたいな面も描かないと都合良くない?

マッシブ・タレント

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WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 ニコラス・ケイジ演じるファッキン・ニック・ケイジは落ち目の大スター。どうにもこうにも借金がかさんで来たので大ファンとか言う富豪にお呼ばれしてパーティに参加。そしたらその富豪が悪の親玉だとCIAに言われて協力することに…。

 ニコラス・ケイジの演じてきた数々の名作をいっぱい名前を出しながら、まあ序盤に振っておいたカタルーニャ首相候補の娘の誘拐が当然効いてくる割には、カタルーニャとスペインの間の緊張とかそういうのは全く触れず、シンプルにニコケイを楽しむエンタメ。CIAが偽物ってパターンかな?って思ったらシンプルに無能なCIAだったという悲しいオチだったが、強火ニコケイオタクのペドロ・パスカルが終始楽しそうなうえに、最終的に彼の脚本での映画です!へと移行していくので推しと一緒に仕事したうえに報われて良かったね、って思う。ニック・ケイジには別人格スターだったニッキーもいたり、彼の家族問題も絡んだり、結構セラピーがいる感じの重めな要素は準備してあるが、まあ基本的にはさっきも言ったように楽しいエンタメである。カサヴェデスとイニャリトゥにトリアーを足した映画にはなってない笑

 しかしまさか、ニコケイの過去作よりも『パディントン2』と『カリガリ博士』の方が大切だったとは。

死体の人

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WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 唐田えりかさん出演ということで、昨年からの注目ポイントになるな、と思って拝見しました。

 主演は唐田さんではなく、奥野瑛太。死体役ばかりの売れない役者で、死ぬなら死ぬなりのリアリティと作りこみを持ってくる役者。彼がふっと呼んだデリヘル嬢が唐田えりかで、彼女が帰った後に主人公が妊娠検査薬を試すと陽性で、という部分と風俗嬢の妊娠及びクズ彼氏っていう話が併走する感じ。

 昔の劇団の主宰である主人公がそこの劇団の出身の役者の主演作品で死体役をやるっていうのと、クズ彼氏が解散したバンドのギタリストで互いに過去のコミュニティをちょっと引きずっている、みたいな対比こそあれ、その辺の掘り方も浅いし、死体役にリアリティを求める役者、みたいなすっごい表層的で記号的な演技と脚本にしかなっていなかった印象。こんな俺たちの下で生まれてくるなんてかわいそう、だったら堕胎した方がいい、みたいな議論への回答も十分になされず全体的に薄い。主人公も魅力的というよりはっきりバカに見えるし。唐田さんのキレた時の張り声の演技もイマイチに感じてしまった。そもそも主人公が浅いので、彼が助けを差し伸べることになる唐田えりかもごく浅いので、風俗従事者へのステレオタイプ的な面も否めない。

らくだい魔女 フウカと闇の魔女

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WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 60分尺で児童文学の映画化なのだが、緑の城、青の城、黒の城、銀の城という4つの城の親子がそれぞれ出てきて子ども側の物語としつつ、みたいな結構な詰め込み具合で、盛りだくさん。あまりに盛りだくさんなので90分尺ぐらいでも良かったとすら思う。

 普通にいい映画で、闇の魔女は光から闇落ちした魔女で、親世代は封印が限度だったのを子世代が光返しに成功する、それも救いとして、という流れとかも凄く良い。だからこそもっと時間をかけて丁寧にやってくれても良かった。遊園地とか子ども向けだから、以外の理由が無いですもんね。

 あとは、割とずーっと銀の城の娘なんだから!とフウカは繰り返し決意として闇に負けないために言うのだが、ちょっとそこは引っかかった。彼女のアイデンティティ形成として少し将来に闇を残す家庭が地獄というパターンの可能性すらある(多分蝶が父だろうが、父不在なのもあるし)中で、友人たちを信じる!という主体はあってもフウカ自身に対して、らくだいでもいいじゃん、とかそういう角度があるともっと良かった。

 60分で児童文学のアニメ化、と聞くと随分と対象年齢が低そうではあるが、いやいや全然ちゃんとしている。

 何より劇場で声を聞いても石見舞菜香か羊宮妃那かの判別が不可能だった。能登早見問題以上に難しい…

 黒の城、銀の城、緑の城、青の城という4つの城の英雄による封印とその子世代による冒険、親と子の関係を描きながら、冒険それ自体に遊園地を持ってきたりと盛りだくさん。むしろ、親世代が封印するにとどまった悪役に対して救いを持って光化するという超越を見せるほどの説得力を持たせるにはもっと尺を伸ばしても良かったかもしれない。

 色々この映画の温度感としては序盤の石を大きくする魔法の段階でフィクションラインを見せて納得できるので、もっと遊園地を生かして亜空間に行かないアクションかバトルだったりをみたかったかな。

 あとは、フウカの自己アイデンティティとして銀の城の光の魔女の娘!を連呼していたのが凄く気になって、この子の抱える闇、父親の不在とかそういうのを考えると、彼女が彼女であることに自信を持って欲しい。彼女が洗脳された友人たちや闇の魔女を救っている割に、彼女自体の脆さは今後されるだろうシリーズ化で突かれるだろう。

名探偵コナン 灰原哀物語 黒鉄のミステリートレイン

TVシリーズ特別編集版「名探偵コナン 灰原哀物語~黒鉄のミステリートレイン~」

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 小さくなっても頭脳は同じ。ミラクルキュートなサイエンティスト。冒頭の決め台詞の灰原さんバージョンが聞けたのはよかった。

 とはいえ中身は映画とは呼べぬ代物というか、ミステリートレイン編をほぼそのまま流してるんだろうなって感じ。本放送時と現時点で読者に明かされている情報に差があるので、このアニメ及び原作エピソード時点でどれがサプライズだったかよく分からん上に、盛り上がりがクライマックスより手前に来てて、事件と黒の組織との対決がぼやけた。まあミステリートレイン編を見てなかったので丁度いい、ぐらいかしら。灰原哀物語と言うにはあまりにもミステリートレイン編垂れ流しすぎる。

アダマン号にのって

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WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 ベルリンで金熊賞を取った作品。どうでもいいけど、ベルリンもベネチアもドキュメンタリーにあげたんですね。

 舟形のデイケア施設であり、開放感がある中でサードプレイス的に機能することから、やってくる彼らがすごくリラックスしている。彼らとの対話を重ねて何を今日はするのか、みたいなことをしっかり作っていく様子は好感は持てる。精神病院にぶち込んできた歴史から常識をアップデートするチャンスだ。

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章

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WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 3章目にしてもうそのカード(スパイだとバレる展開)を切ってきたか。まだ先は長いぞ?

 話としては王宮内でのパワーバランスとそれに伴う第一後継順位のメアリーへの詰め込み教育、そして暗殺未遂と亡命へ、の物語。見事に失敗した訳だが。

 興津さんのキャラとの喧嘩だと思ったら全部お見通しの土師さん内務卿にまんまとやられた訳でございます。まあ土師さんのキャラは強そうだったのに共和国側の指揮系統が菅生さん一本からバラバラになってきた訳だし叶うわけが無かった。

 でも私、スパイとは名ばかりのスパイアクションよりスパイサスペンスの方が好きだし、ああいう権謀術数渦巻く政治の駆け引きなんかもう堪らないので好きです。

プチ・ニコラ パリがくれた幸せ

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WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 フランスの児童書、漫画なのかね、『プチ・ニコラ』のアニメです。プチ・ニコラの制作秘話!みたいな前宣伝だったんですけど、制作秘話もクソも割とキャラもあっさりと誕生するし、そっちに振ってると言うよりもちょっとしたアイデアだしから現実の書き手2人の元にニコラが出てきて会話しながら作っていき、プチ・ニコラ総集編みたいにエピソードが続いていく。全体として現実ベースは画面全体を平面的に見つつ、塗り方は少し印象派に近い雰囲気で、ニコラの世界に入ると四隅は博士で書かれている、ということで端の方になれば色が抜ける、みたいな演出とかをされたり、でプチニコラのアニメ化単体では出来ない表現を試している。

 著者2人の人生の色々を詰め込んだプチニコラ、物語担当が亡くなってもまだプチニコラの中に生き続けるさ、という創作は素晴らしい、というオチでした。

劇場版アイドリッシュセブン 4bit BEYOND THE PERiOD

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WATCHA2.5点

Filmarks2.5点

 アイドリッシュセブンのフィルムライブだが、うたプリより面白みを感じなかった。始まりからどんどんスケールダウンした感じ。7人から始まるのは分かるが、だんだん減っていくのはなぁ。曲間の舞台転換も遅いし、うたプリの時にあった振り切った演出も無かったので、いよいよ知らんやつの知らんライブになってしまった。

 MCパートでうだうだ喋ってるのも好きではない。いや、全員にある程度喋らせないとそれぞれのファンがいて格差があるのはマズい、それは分かるのだが。
なにより、何でこの人たちが舞台から捌けるところを長く見せるのだろう。

劇場版 美少女戦士セーラームーン Cosmos 前編

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WATCHA3.0点

Filmarks2.9点

 いい加減新シリーズの劇場版もEternalがあったのだから反省点をしっかりあぶり出して欲しいものですが、残念ながらそうは行きませんでした。

 OPの時点でなんかあんまりお金なさそうな感じがあり、作品はギャグ描写とシリアス、欠落した記憶とリフレイン、テンポもクソも無い編集で二重人格のようにキャラが動き、敵は強いです(なおなんかギャラクタスっぽい)しか分からなかった。大人気のアイドルのデビュー曲がスタンドマイクで不動で歌うなのも意味分からんし、その上で絶対に踊ることによるコストをかけないという鉄の意志を感じた。

 3人組アイドルがセーラー戦士で、という新キャラにスポットを当てていくのはわかるにしても、マモちゃんとの純愛ありきで進んでるのに、あっこまで踏み越えるのはなんなんだろう。燃え上がると思っているのだろうか。

 ここまでちゃんと映画作品は見てきたが、後編はお金を出して劇場まではもういいかな

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

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WATCHA2.0点

Filmarks2.2点

 歌舞伎町を舞台に、バーのママが探偵を兼任していてFBIから宇宙人の奪回を依頼されて、客はヤクザや殺し屋とかそういうもうやりすぎた作品。内田英治と片山慎三が3編ずつ、計6編で届けるアンソロジーというか、連作というか、あべこべな作品。感覚としては同じ内田英治監督・伊藤沙莉主演の『獣道』にめっちゃB級テイストをC級にして足した感じ。B級であることを異色探偵エンタメ、と形容していくスタイルが好みじゃない。最初のカップルの死亡の時点で、結構ダサい、ショボい感じのを笑いにしていくんですよ、っていうハードルを低め低めに設置していこう、っていうのは分かるんだけど、それにしてもしょうもない。ETとか未知との遭遇とかもまんまやりすぎて、このフォーマットの上だとパロディというより、学芸会とか悪ノリとか、そういう形容をしたくなる。地方町おこし映画とかのショボいのと同じような中身なのに歌舞伎町って言えばなんでも魔法がかかりそうなのがね。

 なお、その中でも面白いと思ったマジックミラー号「鏡の向こう」と「姉妹の秘密」はどちらも片山慎三だったので、内田英治が合わないだけかもしれない。

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない

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WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 思春期における発達課題を色々と思春期症候群という形で不思議な出来事にしてきた作品だが、その後始末とも言える作品である。

 別人格のかえでが消えて花楓としての人格を取り戻した咲太の妹。彼女に迫り来る受験という現実、かえでが望んだ兄と同じ高校という夢と、不登校に伴う学力ギャップ。本作で不思議は起こらず、地道に真摯に不登校から社会復帰を目指す物語を静かに静かに紡いでいった。勿論、しっかり友人たちを全員顔見せさせるファンサービスはしつつ、なんだったらこれ一本で見ても通じる普遍性を持った作品に。『かがみの孤城』のように、必要と思える人のもとに届いてほしい作品だった。

裸足になって

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 アルジェリアを舞台に、自己表現を奪われる物語。
お母さんに車を買うために闘山羊?闘羊?に手を出すし、観客のために踊っていたフーリア。しかしギャンブルの過程で襲われて声と足を奪われ。

 セルフヘルプグループでの出会いを経て、彼女は何のために踊るのか、という自己表現を見つめ直す意味ではサウンド・オブ・メタルを思い出す。そういう意味でプロデューサーにCODAのトロイ・コッツァーが入っている意義はでかい。

 彼女がトゥーシューズを脱いで裸足で踊り出す時、警察をもグルにした女性嫌悪を含むアフリカの嫌なところをどこか遊離して、力強いダンスに彼女の生きていく意志を感じる。

 友人の件とか、同じスペインへの密航だしアトランティックスなんかを思い出しました。

五等分の花嫁∽

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WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 これまでと比較して抜群にアニメーションとしては良くなった。冒頭からモロに宣言しているようにシャフトの力である。

 話としては益体のない夏休み話であり、そもそもストーリーを完結させるにあたって必要ないと判断されてカットされた部分なのでキャラ萌えに近い。そこはこの作品群に思い入れがないので特段なし。

ガールズ&パンツァー 最終章 第4話

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WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

 これは面白かった!素晴らしい。

 第3話であんこうチーム脱落、までをやっていたと記憶しているんですが、継続高校戦、果たしてどうやって勝つのか、というところにこれまでカチューシャさんとかでチラ見せしてきた次の世代、を意識させる立ち回り、作戦のダイナミックさ、そしてもう心が震えるレベルの雪山を猛スピードで下りながらの戦車戦の迫力はヤバかった。4DX必須。

 砲弾が特殊な素材だから死なない、みたいな無理やりの理由づけがあった気がするんですが、直滑降に雪崩に襲われるなど、もう死人が出てないのはおかしいレベルのアクションが行われていました。

 継続高校に勝った後の温泉タイムもほどほどに、黒森峰対聖グロ。なんとなくどっちが勝つかは分かっていたけども、満を持して最終章にあの方が参戦!ということで残り2話分。何年待たせるんだよ、は今作を見たらちょっといえないです。勿論ここまでがあっての面白さではあるんだが、しかし面白い…

火の鳥 エデンの花

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WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 勉強不足なもので、手塚治虫ですらそんなに、というか『アドルフに告ぐ』しかし読んでないもので火の鳥という巨大な名前しか知らなかった。

 なんか凄い観念的なものを見せられるんだろうな、と思っていたら爆速惑星移住からのコールドスリープからの新人類、銀河間飛行に文明滅亡と忙しないことこの上なかった。一つ一つの事象は結構面白いんだけど、全体の行動動機が死ぬ前に見たいとか、話を聞かずに子どものイヤイヤを通すだったり、独善的だったり我儘だったりなのでどうにもライドしづらいキャラクターたちであった。

 宮沢りえは若返りもする役なのに演技が割と一定だし、イッセー尾形がオーバー気味で良いんだけどそれが全体のバランスからははみ出てるように聞こえるし、その結果浅沼さんも浮いてる。音響監督が悪いと思います。

 …で、火の鳥って結局なんなん!?

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 前作は不登校の回復を描いた訳だが、今回はこの手の青春ハーレムアニメの中で背景に後退していく親不在問題に正面から取り組んだ。この青ブタシリーズにおいては、主人公の咲太と花楓が2人暮らし、母は心の病で入院していて父はそちらの世話がメインでなかなか登場しない作り。

 数々の友人たちの思春期に固有の問題が具象化してしまった思春期症候群を解決していった咲太は、その主人公性によって彼の周囲を平和に平和に導いていく。その結果もたらされていった平穏は彼の主人公性を奪ってしまう訳だ。全てが万事解決していく中で、母も体調を取り戻し始め、元に戻ろうとする家族の中に自分がいないのではなかろうか、と思春期症候群を発症してしまう。

 終わってみれば、咲太が親から愛されていることを気付いて、もうちょっとお母さんの顔を見ようっていうだけなんだけど、そこを丁寧に丁寧に描いていて非常に好感が持てる。また、いざとなったときに頼るべき存在に頼れる、周囲に相談できる主人公像も確立されてきており、そこもまたこのシリーズが好きな所以である。

 しかし一旦の終わりだと思っていたら続きが決まりましたな。まだまだ長い関係になりそうです。

劇場版 ポールプリンセス!!

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 しれっとYouTubeで短編アニメシリーズが展開されてきたポールプリンセスシリーズの劇場版。女子高生がポールダンスを頑張る部活ものと言っていいだろう。何故か練習着が全員ヘソ出しのすっごいくびれだったりでポールダンスと言われたらいかがわしいかもしれないが普通のスポーツものだ。

 WebではフルCGだったが、劇場版は基本手書き2Dにして、演技パートをCGにする形に。

 劇場クオリティとは言えないアニメーションと話作りで、ポールダンスの全国大会を目指す戦いを描く。

 まあとにかくポールダンスシーンです。ここが本当に素晴らしい。主人公たちのチームよりも、3連覇中のライバルチームの演技が完璧でその強さに説得力が有り余っている。ポールに対しての距離と表現力、ポールを使ったトリックのトンデモなさ、そして高さ、ダイナミックさ。南條愛乃演じたリーダーのパフォーマンスは本当に目が釘付けだった。そんで全ての楽曲に振り付けがついてるし、モーションキャプチャもクレジットされてるので多分全部ちゃんと演技できるんだよなぁ

 avexが作ってるので楽曲は当然のようにいい上で、日高里菜×南條愛乃南條愛乃ソロ、早見沙織ソロ、小倉唯ソロ、土屋李央ソロ、日向未南×鈴木杏奈と6曲フルで聞けると思うとキャストが豪華なことこの上ない。

 ライブアニメはよく分かんない、でやってきたが初めてその良さの一端を知ることができた気がする作品でした。

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…

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WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

 長いよ!タイトルが!

 とは言うものの、その長すぎるタイトルの中身は完全にアニメ2クールで(なんなら1クール目で)消化してしまっているので今回はゲストキャラの破滅フラグを回避する話。そのキャラも他のゲームのキャラということで、なんかもう世界設定は崩壊している気がする。話としても他所からやってきたやつが破滅しないようにするけどその方法は大概ゲームをしていた記憶か大いなる力に従っただけで面白さも特にない。というか、カタリナは片想いされても揺らぎかける描写とかは入れちゃダメだろ

 アニメーションのクオリティも劇場画面だとどうしても厳しい、と言わざるを得ない感じだった。

パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー

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WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 パウっと見事に楽しい作品だった。何より親子連れがいっぱい!ディズニーでもなく、ラジャーでもなくこれに親子連れが来るのか!

 基本的にはサンダーバードと同じで救助メカ面白シリーズだと思っていたのだが、今回は隕石に潜んだクリスタルの力で各々がマイティパワーと称するスーパーパワーを手に入れる。それに伴ってマシンもよく分からんがグレードアップでDCスーパーペッツかと思いきや、アクアマンになったり最後はマーベルズになったり、やりたい放題詰め込んでいた。

 どうせだったら、リバティが能力覚醒しない方が面白いかなーとか思ったのだが。
ジュニアの1人を演じた種崎敦美は完全に発声がアーニャだった。あと声優陣だと仲間由紀恵はこの作品のトーンに合わせていて上手いとは言えないがマッチしてる、って感じ

枯れ葉

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WATCHA3.5点

 Filmarks3.3点

 アキ・カウリスマキ初挑戦。名の知れたベテラン監督の新作を劇場で見れるだけでありがたいことです。

 全体を通してアル中男とフリーター女性(彼女の失職理由が理不尽ではある)の恋愛模様で、いわゆる社会から疎外されるような人たちの模様を描く。彼らの立ち位置は、スナック的なお立ち台で歌うタイプのカラオケで決して歌うことのないあたりからもよく分かる。

 そうなんだが、全体的にコメディに振り切ったわけでもないのに笑いに持ってこうとしていて波長が全く合わなかった。劇中で出てきたジャームッシュの合わないときにも近い(取り上げられた『デッド・ドント・ダイ』くらいトンチキなら笑える)。
画面とかを古めに作ってるのにラジオ放送は現代ウクライナの惨状を訴え続けて、だからといってそこの現代性が凄く強いわけでもない。

 

こっからは映画館ではなく見放題配信で見れるようになったので見た作品と映画祭周りの作品。

 

レジェンド&バタフライ

レジェンド&バタフライ

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 信長と帰蝶の物語、それをかなり帰蝶目線で描いた。

 信長のあんなこと、こんなことは結構強気で織田家を乗っ取ってやろうかと思案する帰蝶の発案だった、というのは興味深く、意味のある読み替えだと思う。

 ただ、映画にしては長尺にしてるのだが、本来は大河ドラマで慣れ親しんだ物語だけにどうしても急ぎ足な印象は否めなかった。視点を帰蝶に置いたことで合戦シーンとか飛ばせてたのだが…。

 あとまあ、信長の人生目標が帰蝶の元へ!となっているのは地獄楽が2話までに語ってみせた動機と同じだ、なーんて思ってしまったり。いやレジェバタの方が先に公開してるんだけども。見放題で見ておいてすんません。

エンパイア・オブ・ライト

エンパイア・オブ・ライト (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 シンプルに美しい映像、全体を引っ張れるオリヴィア・コールマンの技量、そして主役となるエンパイア劇場の気品。

 人種差別、統合失調症といった問題を抱える人物を真ん中に置いて、もっと何かできた気がする地味な物語だったが、上述の要素が何か違う映画に押し上げているように思える。

シン・仮面ライダー

シン・仮面ライダー

WATCHA2.5点

Filmarks2.5点

 いやー面白くない!
 アクションもカット割りすぎて見づらいことこの上無ければ、ショッカーという組織もよく分かんない、全体の筋を通すような話も感じなかった。シンプルに面白くもないのに、アクション映画、ヒーロー映画でアガる感覚を手に入れられなかったらもうそれはダメだろう。シン・ウルトラマンに引き続いての作品でシン・ジャパンヒーローユニバースは崩壊してしまったように思える。このリバイバル路線、30分尺だったウルトラマン仮面ライダーが映画として整地されずにこうなってしまったことを思うと、映画作品でやるべきなんだろう。シン座頭市、シン仁義なき戦い、シン子連れ狼、シン女囚さそり…どれもピンとこないねぇ

エスター ファースト・キル

エスター ファースト・キル

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

 養子縁組した娘が実は成人したシリアルキラーでした!という大どんでん返しを持ってた作品のまさかの前日譚。大ネタが割れてるのに面白くできるのか…?と思ってましたけど、なかなかどうしてよくできてました。

 サラッと見せる精神病院からの脱走シークエンスの手際は良いし、ファーストキルとか言っておいて別に初めての殺しを丹念に描くことなくバンバン殺っていく。その上で成り済ますことを決めた「エスター」ちゃんの家は娘を失って悲しんでいる家かと思いきや、やべーやつらだった、っていう感じ。母子がやべーやつで途中から正体が互いにバレて一旦成立させるという外し、そして当然のように最後はどばーっとやっていく。
元のタイトルに合わせたorphanで〆るのも定番とはいえ納得度が高まる

お祖父さんと悪魔たち

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 TAAF2023コンペの作品が6月に早くもオンラインで無料公開してくれました。

 都会と田舎でアニメーションの技法が変わるという特殊な作品。ただ、単に変えただけでそれがすごく意味を生んでるような感じはしなかった。

 田舎は辛いよ映画ではあるのだが、主人公の家にだけ水がある、という特性上、まあそりゃ地獄になるよね、と思ってもしまう。彼女はそれを何とかしようとはするのだけれど。

東京国際映画祭特集

深海レストラン

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WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 濃度が凄い。

 豪華客船の旅に乗っている少女、だけど大好きな母が家を去り、父は再婚。新たに弟も生まれ露骨に前妻との子であることで立場が揺らいでいる。そんな彼女が海に呑まれた結果たどり着いたのが深海レストランで…という導入。端的で手早い導入の後は、海の精霊の目玉がいくつもあってそれぞれが勝手に動く不思議な可愛さ圧倒的な色彩とモブまで完璧に動く深海レストランの描写、そして当然メインである海・水の描写も完璧。精霊を追いかけて廊下を通りながらの長回しは息を呑む。とてつもなく雑多だが。

 あまりにも凄すぎる力業で持っていき、深海レストラン自体が大きな船として航海していく中で結局これは、こいつらはなんなんだ!?と思っていると全部彼女の空想で死に際のアイデンティティクライシス的な話でしたよ、っていう。おかしなシェフは彼女を助けたピエロであり、その辺も手早い導入で済ませてたんですよ!という剛腕。

 死の匂いを漂わせながら圧倒的な映像美で殴る感じ、千と千尋の神隠しもののけ姫に見せつつ、情報量に圧倒されてマッドゴッドで脳が氾濫した感覚を思い出した。

 ポストスパイダーバースに各会社が悩んでいる中でミュータントパニックやスパイダーバース2が到達した敢えて崩していくようなアニメーションに早くも中国が到達している事実に恐れ入った。3DCGをディズニー、ピクサールックでやって、背景の空とかは中国の持つ水墨画テイストを残しつつ、のもう中国アニメの進む一つの正解を見せられた感じすら覚えた。

アートカレッジ1994

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WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

 中国の美術大学の学生たちの暮らしを描く。

 中国3DCGアニメのレベルがエグいことになっているのは最早口が慣れた感はあるが、フランスとかで作ってそうなアートアニメの文脈も中国に芽生えていることには驚きを隠せない。

 即ち、それは私の苦手なタイプのアニメ映画であり案の定眠気は襲ってきた。動かせる実力は感じるのに動かないアニメーションにはちょっとがっかりしたし、議論の中身も思ったより薄く全体を引っ張るには推進力が足りなかった

難民映画祭特集

ビバ!マエストロ指揮者ドゥダメルの挑戦

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 ベネズエラの指揮者、若き天才と言われるドゥダメルに密着したドキュメンタリー。彼の指揮者としてのオーケストラへの指示の明瞭さや音楽への想いもだが、音楽を志す子どもたちへの支援なども描かれる。

 そんな中、政府への批判に伴って国立楽団のツアーは中止され、楽団のメンバーも国外に去っていくことに。

 政情不安は当然文化事業にも波及するし、その中で何もしないことが中立かのように捉えられる日本ではなかなかできない行動をとったドゥダメルに敬意を。

 ベネズエラとなると、反米だったチャベス政権のイメージが強かったのだが、本作での大統領マドゥーロはチャベスの後継者だったんですね。うーん、アルゼンチンも大変そうだがベネズエラも大変だ…

心の涙をことばにして〜今日を生きる子どもたち〜

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 カナダ映画だがフランス語。ケベックだから。

 世界中から様々な経緯を経て集まった難民として逃れてきた子どもたち。彼らの傷を癒すには。

 難民問題と教育、というすこーんとこれが解決策です!がないとこがクロスしているところにスポットを当てている。

 彼らの今をしっかり受け止めて、何ができるかわからないけど考えるしかない。

私は歌う〜アフガン女性たちの闘い〜

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

 アフガニスタンのライブバトル番組「アフガン・スター」では過去13回女性が勝っていない。

 そこに挑む女性たちを描きながら、タリバンとの和平交渉に伴うイスラム的教義による女性が歌うことへの誹謗中傷も合わせて描かれる。そして独立100周年を記念したコンサートも危機に瀕する。

 アメリカ軍撤退に伴うカブールの空港で航空機に縋り付く人々の様子は今も印象深いが、政権を握ったタリバンは女性の就業どころか、教育も奪う。さらには音楽も禁止している。一度進んだ時計の針を戻そうとする試みが続くことを悲しく思う

南スーダンで生きる〜ある家族の物語〜

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 南スーダンで建国の父と謳われた人物の死後、その妻と娘たちが撮ったドキュメンタリー。

 独立を勝ち取ってもまだ続く内戦、そこで彼女は副大統領の5人のうちの1人に任命される。

 南スーダン周りの話はなかなか知らないことが多い中で、もう少し構造的な話を知りたかったような気もするし、そこからもっとミクロな家族としての視点の作品として捉えるには少しゴールが不明確な感じがした。まだまだ途上の話にゴールも何も無いとは思うのだが。

 何かが足りて無いからか、洪水の話は少し浮いているようにも。

シャドー・ゲーム〜生死をかけた挑戦〜

WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 難民の若者たちが東欧から西欧に向けて極秘で越境する様子に密着したドキュメンタリー。

 危険を冒して画面に登場した彼らが家もなく危険に晒されながら山中を進み、それらをゲームと称せずにいられず、ついに家族と電話する感動はとても信じ難いものではある。一方で、それならばなんか違法臭く見えるドラえもん挿入や移動で列車やコンテナに紛れるのを「ゲーム」と捉えられるとどうしても違和感を持ってしまった。ラッカは静かに虐殺されている、Lifeboatみたいなもっと緊迫したものを求めているのかもしれない。それは島国で安穏と暮らしながら彼らを消費しようとしている自分がそこにいるということかもしれない。そんな自分を考えなくてはとも思う。

マインド・ゲーム〜自分の道を信じて〜

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 シャドーゲームにも登場していたSKことサジドに密着している。ボスニアからいくつもの国境を越えてベルギーで難民申請を取るまで。クロアチアが結構過激な移民排斥が起きていることは聞いていたが、結構な酷い仕打ちを国境警察がやっていた。

 話がだんだんズレていっている感じはするのがどうしても否めなかった