抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

遂に上陸「ファースト・カウ」「ショーイング・アップ」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はケリー・ライヒャルト監督特集です。かねてからアメリカのインディーズ映画の旗手として名前を知られていましたが、この度ついに『ファースト・カウ』が日本公開。合わせてA24の知られざる映画たちpresented by U-NEXTということでなんか未公開のA24のバーゲンセールみたいな感じで最新作『ショーイング・アップ』も上陸でございます。というわけで合わせてどうぞ!(表記が分からん、ライヒャルトだったり、ライヒャートだったり、ライカートだったり。元オランダ代表はライカールトだったり。)

1.ファースト・カウ

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WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 舞台は西部開拓時代。人々が富を求めて動き回る中で、しかし極めて静かでゆっくり物語は進む。料理人のクッキーと追われる中国人キング・ルーの2人の関係性を描くのだが、うん、本当にゆっくりだった。30分経っても全然動いてないなぁと思ったらようやく村の牛の乳を勝手に絞ってドーナツを作り出し、そしてそれが村の長にバレる。そういう感じ。このドーナツづくりと商売で2人の関係性が成熟していってという。

 西部開拓時代、映画においては西部劇を中心に荒々しい家父長制を受け継いで描いてきた訳ですが、この映画においてはあの西部劇のような荒涼感も感じない森林。そこでそういう世界で描かれてこなかった貨幣経済の侵蝕を描写するっていうところが面白さがありました。いってみれば西部劇の解体っていうよりも、西部劇の縮小と申しましょうか。よく考えたらそうですよね。西部劇ってゴールドラッシュな訳ですからめっちゃ資本主義の話ですよ。ドーナツ食って一言目が「おいしいね」じゃなくて「いくらで売れる」っていう、それでお金をためて家買うよっていう話なんですよね。どんどんドーナツが人気になって市場経済、単価が上がり着目されてボロが出る。その場所にはいられなくなったけど、でも二人で稼いだお金を持って…。

 当然のようにネイティブ・アメリカンとの話が出てきたわけですが、通訳している女性が『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の主演リリー・グラッドストーンに似ているなぁ、まあ人の顔を覚えられない上に洋画だと更に顕著だし、まさかね、って思ったら本人でした。びっくり。

2.ショーイング・アップ

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WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

(以下ネタバレ有)

 A24の知られざる映画たちpresented by U-NEXTというくくりでの公開となりました、『ファースト・カウ』の後のケリー・ライヒャルト最新作になります。ミシェル・ウィリアムズ演じる彫刻家が個展の準備が進まない様子を描くばかり。隣人にして家主であるホン・チャウがすこぶる自由人という感じで鳩を預けてくる。初登場でタイヤブランコを設置しようとしている彼女は非常にチャーミングで、『ザ・ホエール』で見せた演技とはまた違うベクトルの凄さを見せてくれたように思う。『ザ・メニュー』でも好演と聞いているのでDisney+に再加入したら見なくてはな、と。

 中盤で印象的に描かれるのはミシェル・ウィリアムズが勤務する芸術学校での授業の模様。まっじで美大系の授業の様子に関しては1mmも関心が持てなかったし、ゴールに向かって進んでいく感じがどうしてもないので個人的には眠気が…な感じ。

 最後に飛び立っていく小鳥のように、一定の開放感は得られるのだが『ファースト・カウ』ほどの推進力がないまま終わった印象でした。