どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
今回はスタジオポノック最新作。延期に延期を重ねましたな、という印象しかありませんが、さて。
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
(以下ネタバレ有)
1.子どもの想像力は無限大
今回はイマジナリーフレンドの話。もう予告編の段階から明らかにされているどころか、A・F・ハロルドの原作及び本作の英題?サブタイトル?がThe IMAGINARYですからね。ってことで、あり得ないことがあり得る世界をどのように映像化するのかっていうことと、似たような子どもの想像力をどう扱うかっていう作品との差別化っていうのが大事になってくると思います。奇しくも『ペルリンプスと秘密の森』がそういう話でもあるし、そしてそのブログでも指摘したように『ジョジョ・ラビット』もその類。最初からイマジナリー・フレンドであることを明かしている点では『ジョジョ・ラビット』が非常に近いかもしれませんね。
本作においては、こうしたイマジナリー・フレンドたちをイマジナリという概念として名前をつけて声高に提唱していく新概念提唱コーナーとしてやっていくし、そんな彼らが彼らを創造した相手が忘れていくときに、彼らは別の世界である「図書館」で暮らしていって別のイマジナリとして転生するために一晩の友人になりにいく。ってなるとそれをどう表現するのかっていうのが大事なんですけど、少なくともここは満点。まずは冒頭でいきなり空想世界に飛び込んでの活劇は、これは凄いものが始まるぞ!!という期待を高めるに足る素晴らしい出来で、この時点で度重なる延期もやむなし!と言わざるを得ない。このクオリティのためならしゃあない。はたと現実に戻ってきていても、ラジャーがずっと映って二人できゃっきゃしているんじゃなくて、大人視点だとちゃんとアマンダが一人できゃっきゃしているような、そういうお決まりというか、前提の見せ方はしっかりちゃんとしている。異世界に突入する話でもあるんだけど、『泣きたい私は猫をかぶる』みたいなトンチキな感じじゃなくて、全然想像上の世界の話だからアリ!ってなるし、老犬の名前が冷蔵庫っていうアマンダのお母さんのイマジナリーフレンドの話とかも凄く好きだったり。
イマジナリー・フレンドっていうもの自体がどうしたって幼少期に現れる存在であり、そして何らかの孤独や違和感、恐怖を克服するために生まれるある種の二重人格的な側面があるわけで。そんな彼らの存在が恒久的になってしまうと、それはそれで「大人」になれているの?っていう話になってしまうので、基本的に最初から明かしている場合は幸せなお別れを目指す話になっていく。実際本作もイッセー尾形演じるMr.バンティングとのバトルを繰り返していきながら、最終的に想像力バトルになっていき勝利の末に「最後の冒険」に行こう!で締まれるのは本当に良くできていると思いました。
とここまで書いてきたんですが、ここで重大な発表でございます。なんと!こうした!イマジナリの世界の話は!ほとんど聞き取れませんでした!!
はい、この作品試写で見たんですが、見事に途中でスピーカーがぶっ壊れたらしく、イマジナリの仲間として登場する仲里依紗の声なんか殆ど聞いてません。多分大事なその世界観の説明とかもぜーんぶ分かりませんでした!雰囲気で察しただけのことを書いています!ちょっとどこからぶっ壊れていたか定かではないんですが、駐車場でバンティングに追っかけられてアマンダが交通事故に遭うちょっと前あたりからセリフが聴きとれなくなりまして。BGMとか効果音、あと一部のセリフが聞き取れるのにメインのセリフが聞き取れない。劇中、イマジナリであるラジャーの存在はアマンダの昏睡によって危機的な状況になる訳で、彼の存在の希薄さを彼の知覚する音声として表現するすっごい前衛的なアートアニメみたいな手法をTOHOの年末映画、ジブリの後継アニメ会社としての立場を捨ててやってくるのか、おっそろしいなスタジオポノックと恐れ戦きながらの鑑賞に。とはいえわずかに漏れてくるセリフを聴きながら必死に考えてこの映画と向き合う作業だったし、アニメーションがいいからなまじ見れちゃう。なんかフレッシュな体験でした。二度としたくないけど。まあ流石に途中で気づきましたけどね。壊れているかしら、と。ただ、だったらスタッフが止めに来るかな、と思ったのでまさか完成披露とかもしていたはずなのにやっぱり音響が出来ていない…という最悪のパターンも想定しました。延期しまっくたし、ありえるかも。なーんて。
って訳で、せっかく試写会開始前に寺田心の声変わりの刹那を捉えたとか言ってたけど全然堪能していないし、と色々ビミョーな気持ちになっています。いやでも2回目を見るタイプの映画なのか…でも1回目と言っていいのか…。
2.というわけで
というわけで2回目というのか、1.5回目というのかを映画館で見てきました。日テレさん主催の試写会だったので日テレさんから補填が出てムビチケをいただきました。いただいておいて言うのも何ですが、補填するよーって言っておいて公開日に補填が間に合わないのでは我々は劇場に行けませんよ。案の定と申しましょうか、絶望的な客足になっているようで。パウパトに負けてちゃダメというか、そこと勝負するんじゃなくて『ウィッシュ』と勝負しないと…。
で!見に行ってみて仲里依紗の声とかようやくちゃんと聴けての感想としては非常に難しい。思った以上に自分が声が聞こえづらい状況でも把握していたということがわかったというべきか、分からないままの方が幸せだったかもというか。図書館周りの描写はほぼまるまる新事実だったはずなのですが、そこの設定が掘られれば掘られるほどなんかしっくりこない感じが増えていったり、セリフを聞き取れるようになったらなったで言わされてる感の強めのセリフばっかり気になるようになってしまったり、と。
ただ、色々聞き取れるようになったおかげでMr.バンティングがイマジナリーを食べていく論理とかが分かって悪役として見事にクズだな、っていうのが分かるし、圧倒的に未来ある子どもvsいつまでも退場しない老人という対決構造はすごく現代日本的であってよい!と思いましたね。
あーあと言語表記は凄く気になりました。アルファベット世界なんか、日本語世界なんかはっきりせい!