抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

本当の黒「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 岸辺露伴は動かない、がこのミスで特集されたことから動き出したジョジョをちゃんと見るかプロジェクト、一旦の到達点です。NHKで放送されたアニメは全8話完走、ネトフリ配信のアニメ4話も完走。ジョジョ本編は現在第3部のため、まだ露伴先生は出てきていない。それが現状だッ!

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WATCHA3.5点

Filmakrs3.5点

(以下ネタバレ有)

1.本物の黒、本物のルーヴル

 シリーズを見ていくとこのシリーズの面白いところは露伴先生がうっかり超えてはいけない一線を好奇心で超えてしまってひどい目に遭いつつなんやかんやで逃げ切るところ。で、露伴先生が魅力的っていうよりも、その人智を超えてしまった「それ」を演じる人たちが非常に豊かで面白い。歴代で言えば間違いなくザ・ランの笠松将だし、ジャンケン小僧の柊木陽太だし、くしゃがらの森山未來だし(それはくしゃがらという言葉自体だが)。っていう意味で言えば、この映画は完全に木村文乃がそれだった。そこは正解。

 正直言って、完全に導入して、ルーヴルに行くって決めた後に露伴の回想がながーく入って、やっとルーヴルに行く。そういう順序なので回想の間は、さっさとルーヴル行けよ、君は「ルーヴルへ行く」って言ったじゃあないかッ!と若干の怒りを感じていました。ただ、そこにいる挙動、足取りが明確に長尾さんの演じたヤング露伴とは全く異なる木村文乃はお見事で、ああこの人はおそらく完全に「それ」なんだろうな、と思わせるものでした。まあそれゆえオチ自体は予想できてしまいましたが。

 露伴先生が今回憑りつかれたのは黒。若き日の思い出が突如蘇り、最も黒く最も邪悪な絵画、というものを見たい、となる。黒は光を吸収する色。鏡は光を反射する。じゃあ光をまったく反射しない漆黒は何を映すのか。本当に黒い、という意味ではドルビーシネマが「本当の黒」を見せてやる、なんてことを言ってましたが、よく考えたら映像投射してる時点でもっと黒いものはあるハズ。なんだっけ、世界一黒い物質ってのをどっかで聞いたことがある気がする。っていうことで、本当に黒いものは実際のところ映画というメディアではおそらく映せない。まして見れないどころか、見るなッ!っていうものなのに結構こっちに見せちゃうのは好きじゃなかった。あ、最後の回想もいらないです、説明しすぎ。

 そのうえで、でもこの映画には明確に本物があったことは言っておかなくてはなるまい。それは勿論ルーヴルだ。パリだ。モナ・リザだ。いやー良くぞ日本映画でルーヴル美術館をしっかり撮影に使えたな、と。NHKパワーなのか、荒木飛呂彦パワーなのかは知らないが、そこに映った本物は確かにもったいぶるのも分かるほどの違いを感じました。よくやったな、と思うのはそれだけだとルーヴルに対して日本のパートがすっごい貧弱に見えちゃうだろうのを回避したところ。ルーヴルの地下Z13だっけ、あの部屋をちゃっちくすること、そして過去回想のヤング露伴with木村文乃のパートの家が、あの家にはあの家なりの歴史が詰まっているという説得力を持たせるロケーションになっていたのではないでしょうか。富豪村、六壁坂村と、それなりに説得力のいる建築物をこれまでも出しており、それを超えるルーヴルに比肩するものを妥協せず探し出したスタッフ陣には拍手です。

 

 それにしても、ルーヴルで西洋美術的な話になるかと思ったら、家制度、御神木(そういやホット・サマー・マーサも神社だ)、みたいな話に収束していって結構興味深い印象でしたね。まだ途中とはいえ、ジョジョは明確に家、そして血の話だけに岸辺露伴ジョジョシリーズなんだぞということを強く思い出しました。ん、これじゃあまるで私がこの映画を楽しんだみたいじゃあないかッ!(楽しみました)