抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

走り出した足が止まらない「マイ・ブロークン・マリコ」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は大人気漫画、らしいのですがそれを知らないで見た映画です。舞台挨拶でしたー。永野芽郁さん、すっと立ってるのに喋ったらあんな感じだし、芯があるのにふにゃふにゃしてて好きーってなった。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

1.激重感情

 あんた、何勝手に死んでんだよ。

 この映画の感情を一言で言えばこれに尽きると思います。シイノがブラック企業の営業している中飛び込んで来たマリコの訃報。彼女は自分で命を絶った。幼馴染の突然の死を否定するでもなく、受け入れるでもなく、こう向き合っていく時間をシイノが過ごすだけの作品だ。

 やはりなんといっても優秀なのは疾走感だ。毒親だった父の下で育ったマリコのことを良く知っているため、そんな奴に弔われて嬉しいかボケ!とマリコの実家を襲い、遺骨を奪ってベランダから飛び出すシーンは予告編でも使われている非常に印象的なシークエンスで、この作品の持つ疾走感とシイノの持つ思いっきりの良さが現れている。余談だが、このシーンぐらいしか出番のないマリコの義母となる吉田羊はここだけなのに抜群に良い。

 とにかく振り返っていくだに、マリコという女性が父親という枷によってどんどんいわゆるメンヘラ化していくような、生まれてくるところを間違えた、なんて言ってシイノに依存していく様子(それでいて彼氏作るあたりが本当の依存だねって感じがする)と同時に、いやシイノだってマリコに依存してるよね、っていうもうそれはそれはな矢印の重い向かい方で、はいこれは好きです、嫌いとは言えません!っていうやーつ。こういう女性同士のクソデカ感情の後始末の話っていうと『やがて海へと届く』が今年はありましたが、あっちと比べるとこっちはもう死んじゃったのは確定事項なんで、どう向き合うか、どう乗り越えるかっていうだけな訳です。そこで、まりがおか岬という場所に行きたいと言っていたことを思い出してそこに行く、それだけ。なんだけど、遺骨と一緒に旅をして、マリコからの手紙を読んで、それをひったくられることで強制的に別れを再度経験させられ、それで酔っぱらって感情を吐き出し、岬について感情を吐き出し、そしてようやく自分とマリコの間の外の方向に向けて「人を助ける」っていう形で表出して次の一歩に踏み出せる。わっかりやすく未来!!直前までダチが自殺するのを止められない気持ちを味わえよ!!とか遺骨に向かって言っていたやつとは思えない!良い!

2.朝ドラのご褒美

 いやまあね、はっきり言ってしまえば、永野芽郁×奈緒っていう時点でNHK連続テレビ小説の『半分、青い』の幼馴染コンビですよ。永野芽郁って、朝ドラ的には特異点というか、すっかり誹謗中傷の危険を鑑みて主演に若手の大抜擢をしなくなった昨今の朝ドラにおいて最後の抜擢ヒロインだと思うんですね。そこに、現在の抜擢枠と言える友人・幼馴染枠でこれまた大出世を遂げた奈緒さんとの再共演。朝ドラをちゃんと見たのって、私は数えるほどしかないもんで、『半分、青い』を見ているのも広瀬すずがアニメ業界を舞台にするのをやるっていうから視聴習慣をつける為に見ただけなんですよ。で、作品自体の評価だって決して高くない。それでも、若手俳優たちの交差点としてこれだけ機能して、その後が気になれるんだから素晴らしい。あんなに考えなしに漫画家になっていたすずめちゃんが、こんなにタバコとスーツの似合うかっこいい女性に育つなんて!(現実と創作を混同している文章)

 

 とまあ、基本は褒めてきましたが、多分これ原作の方がすっごいんだろうなっていう気はしていて。構成としてあまりにも回想が多すぎるというか。そりゃ奈緒さんは死んでるんで、彼女を出そうとしたら回想になっちゃうのは仕方ないんですけど、それにしてもちょっと多いかな、と。で、その回想で出てくる子役使いがちょっと上手くないかなぁとも思ったのでノイズに。疾走感があるとは言ったんですが、その疾走感、走り出すとすぐ回想になってるんで割とサーキットトレーニングみたいなそういう映画でしたね。うーん、でも永野芽郁が素晴らしいし、奈緒さんは福岡生まれなので満足感がすごい!という帰り道で書いています。以上。

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