抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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高校演劇「走れ!走れ走れメロス」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 さあ今回はどうして見る気になったんだ、っていう突然見てきたシリーズ。そんなシリーズがあったのかは知らない。

 高校演劇を題材にしたドキュメンタリー映画です。なお安住紳一郎は結論、走るなメロス、と言っていた。

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WATCHA4.5点

Filmarks4.5点

(以下ネタバレ有)

 

1.知ってはいたけれど

 本作の題材は高校演劇。無論、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」で澤田記者や日比アナウンサーの指揮の下の高校演劇特集については毎度楽しみに聞いている。だが!しかし!よく考えるとそこで報告されているのは総文、すなわち全国大会であって決してすべてではない。それを思い知らされました。あと百聞は一見に如かず!当たり前だが!

 ということで前置きはこのぐらいにして、本作の題材は島根の農村にある三刀屋高校の掛合分校。全校生徒70人、演劇部の無い学校でのさらにはぐれモノたちに先生が声をかけて演劇を始めることに。彼の地区大会への挑戦が始まる、というもの。あとから調べれば、この先生っていうのが地元で劇団を作っているし、三刀屋高校の方でもやってたりと、もともと超絶なキーパーソンではあるんですが、しかし映画としてはそれを一旦横に置いておき、演者3人+照明の1人の4人の演劇部員にまずは絞っていく。どうして演劇を始めたのか、演劇ってどうなの?分校の講堂、とは名ばかりの体育館というか公民館ぐらいのスペースでの練習を続けていき、ついに向かった地区大会で全国大会に出場することになる三刀屋高校に惨敗。ここで視聴者も高校演劇って舐めてるものを覆すレベルのセットだ美術だを見せつけられる。だがここで、顧問の先生がピックアップされていく。彼は自身でも若手演出家としてのコンクールに出品しており、まだまだ公演を準備するのだ。無観客となった地区大会では勿体ないと、客を入れた公演に挑む演劇部。夢は繋がり東京は下北沢で開催される若手コンクール最終予選にまで進出。結果も最優秀とついてくるのだが、それ以上にコロナ禍に入って校歌を知らずに卒業するかもしれない、なんて形容される島根の高校生が演劇と出会ったことでここまで世界が広がっていくのを横で見れる。それも!映画館は!下北沢にある!なにそれ最高の映画体験!圧倒的な美術や物量に惨敗した後で、演目走れ!走れ走れメロスは改良を重ねられ、演者はむしろ脱いでいく。講評でも褒められていたが、脱いでいって身一つでも演劇は出来るんだ!というある種のできないまみれの時代への反抗を高らかに歌って、そして先生の優勝に喜ぶ高校生たちにもう涙なしでは見られなかった。未熟、未完成、されどそこにこれだけのパワー。ああ美しい。

 いやあね、正直ドキュメンタリー映画として構成が上手いとは思わないし、事情の説明の仕方だってうまいとは思わない。編集も凄腕!とはならなかった。でもさ、そういうの超えるアレがあるじゃないの。もうこの題材を捉えたらそれで勝ちよ。

 さて、とにかく絶対に伝えたいのは、今回題材になった「走れ!走れ走れメロス」が下北沢で見れるチャンスがこの週末にあるということ。高校演劇に興味ある方は是非!是非に!

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