抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

気になる俳優だらけ「少女は卒業しない」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はどうせいい映画とわかっているやつ。なぜなら!河合優実が出ているから!

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WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

(以下ネタバレ有)

1. スターしかおらんぞこれ

 えーと、まずは役者さんが非常に素晴らしかったと思います。こいつらみんないい顔してやがる。

 進路で揉めて別れ話の寺田君と後藤さんはやっぱりラストの笑ってバイバイからの泣きそう笑顔がもう最高で、本作の非常に大きいテーマといえる「卒業」っていうのを一番体現した顔になっていたと思います。小野莉奈さんは『アルプススタンドのはしの方』の人ですね。ちなみに私は後藤さんの友人の倉橋さんが抜群に好きだったんですが、坂口千晴さん、という方だそうでもう名前を覚えるしか、です。

 図書室が居場所になっている作田さんと坂口先生は、そもそも図書室が住処だった人間には涙なしには見れないエピソードです。藤原季節の先生の抜群にズルいイケメンっぷりにはやれやれだぜ、という感じですが、作田さん演じた中井友望さんは独特の存在感があって、彼女は主演を張る器だぞ!と思ったらもう主演作があって俄然気になりました。ベイビーわるきゅーれの続編にも出てる!わお!

 軽音部の皆さんは、それぞれに特徴があって良かったですし、後輩ちゃんは実に目がクリクリしていて印象的でしたけど、歌ってる佐藤緋美は『ケイコ 目を澄ませて』の弟に続いて非常に目覚ましいし、彼が歌っている時の小宮山さんの「思い知ったか」はこれまた至高。

 でもね、どう考えてもこれは彼女の物語になっていたし、彼女が圧倒的、抜群すぎる。そう、出れば常に彼女が満点、作品も文句なしの女、河合優実です。なんでなん?凄すぎるって。今回はもう割とキラキラフィルムよりの恋愛してんじゃない、すっごい恋する乙女みたいな演技もするし、そしてそれがまた似合うのね、なーんて思って家庭科室の奥の国旗が多いことに気づいた瞬間に彼女に戦慄しましたよね。うっわ、マジかよ!!っていう。彼女の答辞がすっ飛ばされた瞬間、ああそれを最後に持ってきて彼女の映画にするんだ、と思ったらの最後の体育館で正解を超えてきた感じもやられた!でした。彼女が答辞を読む決断が、その本番の佇まいが、名前を呼ばれて立ち上がった時の斜め具合からの溜めと無音が、この映画の色んな人の、そして彼女自身の背中を押してあげることになったんだろうな、ともう泣きそうですよこっちは。そう思うと卒業式で彼氏の死が確定する彼氏のお母さんのうなずきもそれ!!!!!っていう外さなさがありました。やりすぎてないんですよ。

2.学校という異常空間

 作品としてまず抜群に構成が上手いんですよね。4組の青春なんだけど、中心に卒業とそこに付随する答辞のギミックがあって、15分でそれを見せておいて前半1時間で大体問題を提示して30分で観客にそれの中身を開示しながらラストに向けてまとめ上げる。その過程で4組がバラバラに動くからさっきまで泣きそうだったのに微笑ましくなったり苦しくなったり、やめてー!ってなったり情緒をめっちゃくちゃにしてくる!褒め言葉!いやーすごい。

 この作品を見ていてね、やっぱり学校っていうものの異質さっていうんですか、えげつないほどおかしい空間なんだよな、っていうことを再確認させられました。無理やり同年代っていうだけで同じところに詰め込まれて3年も過ごすことになって、そりゃ生きづらい人も出てくるし。森崎くんと神田さんのシーンで6年も一緒にいる。人生の1/3だよ、なんて言っていてそりゃそうだよな、人生にとっての1年の重さが僕らとはもう全然違う。

 そういう凄いヘンテコな場所で、息苦しさしかないはずの教室っていう概念なのに、図書室とか体育館とか、校庭とか屋上とか、結構逃げて自分の居場所を作れる、っていう特殊な環境でもある。だからそれぞれに違ったドラマが生まれるし、どこか日本に固有なこの文化が生み出す物語の強みっていうのを感じました。そこの活かし方が上手いから、屋上で花火とか危ないよ!!って普段ならブチギレそうなのに全然気にならないんですよね。

 最後に、すっごく印象的だったところを。すごい素敵な自転車二人乗りシーンで森崎会話できるじゃん!からの写真撮ろ!で自転車と横移動していたカメラが自転車の停止から慣性するの、青春は止まらない感じですごくいい。

 

 しっかし、あのクソ教師…何が校舎の思い出にも触れろだよ悪役オブザイヤー認定ですわ。