抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

団地流行ってる?「ぼくらのよあけ」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は団地アニメ映画。10/21公開なのにもう公開が終了しかけています。死に体です。それは流石に勿体ないレベルの作品なので、是非劇場に行ってみてください。『すずめの戸締り』が始まったら本当に壊滅すると思います。

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WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

(以下ネタバレ有)

1.令和版E.T.+etc

 はっきり言えば、舐めていました。これは心の底から謝罪したい案件。9月ぐらいになるまで正式な公開日も決まらず10月公開としかアナウンスが無くて、直前にもっと怪しそうな僕愛・君愛っていうのもあったもんで、その同類かと思ってまして…。ほんと、予断は良くないです!あ、確信に近い奴は除きますよ、君はかなt

 言っていいでしょう、本作はE.T.です。完全にE.T.ジュブナイルのある種の典型でもある訳ですが、少年たちが宇宙人と出会い、そして交流し、ちょっとした成長を経て宇宙に返す。ここに、オートボットのナナコと主人公の悠真の交流のAIモノの側面、そして大人たちの青春やり直しもくっついてくる感じ。

 宇宙からやってきた二月の黎明号さんを助ける為に、まずはナナコを乗っ取られてコアを探す作業、河合さんと合流するも、ここで小学生のくだらない人間関係のやり取りで、みたいな。で、その過程で死ぬって何だろう、逆説的には生きるって何だろうっていう哲学対話みたいな話を含めておいて、ラストでナナコとの別れ・人格の消去っていう話に繋げていく。団地の屋上から落ちるっていう件に関しても一回殴っておいて見せてあるし、っていう。お上手。なるほろ、信頼できる方の佐藤大だったか!

 まあ割と命のやり取りは唐突な感じの話では合ったのでなんか伏線っぽい感じなのかね、ぐらいのアレでしたけど。あれっすね、心が濁ってるなぁと痛感したのが明らかに二月の黎明号さん怪しいな、絶対裏切るだろうな、って思って子どもたちが絶望ににじむ顔を想像していたので反省です。悪い大人になっちまった。信じちゃいけないのかな、って思ってたのはもう一個あって、悠木碧演じるナナコが抜群にチャーミングで魅力的。最初の発声からただの弱いAIのはずの彼女の魅力を感じている、即ちそれを乗っ取る形になった宇宙人はテラフォーミングに違いない、みたいな。これはもうシンプルに悠木碧が凄いっていう話です。この人の演技の限界はいつ来るのか。毎年声優of the yearを獲得しないと気が済まないのか。彼女にこれだけ愛着がわくと、終盤の自我を得ていくナナコっていう結構な嘘(スタンドアローンじゃないAIがここまで進化するのは結構厳しい気がする)や、それに対する宇宙アコガレの過ぎる主人公が宇宙船を飛ばすのを止めて迄人格消去から救おうとする、まあ若干どころではない我儘ムーブにも理解を示せちゃうっていう。我儘ムーブ的には、序盤の無駄な宇宙好きAI下げ、20年以上放置していた親たちへの不満、と観客が適度にバラバラな方向にむかつくな、が散見されるというべきか、コントロールされているというべきか。

2.被りすぎて悲劇

 もうね、この映画の話をしようと思ったら絶対に避けては通れない『雨を告げる漂流団地』ですよ。なんで!そんなに!ピンポイントで!ネタが被るんだ!!

 被った点をおさらいしていきましょう。小学生が、解体予定の団地で、SFみがありつつ、水をふんだんに扱った、ひと夏の、ジュブナイル水瀬いのり。うーん、どうしてこんなに被るんだ。

 ただ、これは両者それぞれの良さがあり全くの別物。むしろ、『雨を告げる漂流団地』の感想としてアニならで挙げたんですけど、団地を棺桶として扱った『雨を告げる~』は死と過去、決別の物語として内向きっていう方向で、本作はどちらかと言えば未来と希望に向けた作品。団地を宇宙船に見立てるっていう意味では『GAGARINE/ガガーリン』の方が近いんだけど、これもやっぱり後ろ向きだったから、「よあけ」と題して旅立っていく宇宙人と、彼との再会を約束して未来へ向かう本作は、それはそれでまた別の趣があって非常に良いのです。