抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2022年上半期配信映画

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は年末振り返りになってきます。昨年までは、事前に配信される作品で見たいものをすべてリストアップして、それを全部見てようやくブログにしていたんですが、やめようと。それ故に2021の配信映画感想ブログは眠ったままじゃないかと。そういうご指摘を心の中で受けまして。もうこの段階で見れている奴だけで上げてしまって、過去作の記録を毎月つけているんだから、そっちで書けばええやないのと、そういう結論に達しました。

 ということで、年末モード突入!!

 

 

フォトコピー

WATCHA4.5点

Filmarks4.6点

 皆さんは、顔面をコピー機でコピーしたことはありますか?私はあります。蓋が閉まらないので、黒い部分が多くなって、印刷直後に持つと手が汚れることがあります。
ということで、そういう場面も出てくるけど、基本的には顔面コピーは関係ない映画、でもコピー機の使い方が素晴らしい。

 おそらく家父長制が強く残り、さらにイスラム圏のため、飲酒が嫌われている傾向のあるインドネシアという土地が舞台。そこで参加している演劇チームが賞を取ったお祝いのパーティで初めての飲酒、それをネットに投稿して奨学金が取り消しになる主人公。

 でも彼女はその投稿に覚えがなく、酔ってたんじゃない?という疑惑の目と闘いながら、偽装の可能性を調べる。

 「プロミシング・ヤング・ウーマン」で取り上げられたデートレイプに近い問題であり、「最後の決闘裁判」でも描かれたような、周りも含めてみんなクソ、という作品が主流の中で、本作は徹底的に父権主義的でダメ親父と違い寄り添ってくれた母、その他の被害者たちと手を取ってまずは声を上げることで、他の被害者にも呼びかける、MeTooに本来的に即した優しい映画になっている。そこに性差がないのもいい。コピー機で最後の証拠屋上からばら撒くシーンの絵になる度はかなり高い。

 よく考えたら主人公の投稿は本当に酔っていたからなのだが、それを越す悪事の露見、デング熱を絡めての悪行などがそれを打ち消させてくれる。また、こんなんでは性被害として薄く、アメリカならもっとエグいのが…のような意見が散見されるが、個人的にはレイプされていなくても、合意なく性的な写真を撮られ、且つそれを勝手に芸術に昇華しているのは十分にエグく、むしろ小さい被害だと思っても、訴えていいんだよ、というメッセージとして伝わった。

ミュンヘン:戦火燃ゆる前に

Munich - The Edge of War (Soundtrack from the Netflix Film)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 一般的には失敗と言われる、ナチスドイツの増徴を許したミュンヘン会談を描いた作品。史実ベースだがフィクション。

 ドイツ側の外交官とイギリス側の秘書官がかつてオックスフォードでの学友。ヒトラーの脅威を感じていたドイツ側の外交官がミュンヘン会談での調印を阻止するために奮闘する感じで、工作黒金星と呼ばれた男や、冷戦スパイものの雰囲気を持っている作品に。分かっている結末に向けてエモーショナルに高まる。

 個人的にはヒトラーに敗れた男としてチャーチルと対比されやすいイギリス首相のチェンバレンを気概ある、しかしやはり評価的にむむむな男として完璧に演じたジェレミー・アイアンズが素晴らしかった。

ベナジルに捧げる3つの歌

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 紛争地域において、自由は存在ない。選択する時点で、それは持てる者なのだ。学校に行きたい、でもそれは無理。なら軍に入る、でもそれは無理。
結局目の前のケシの採集しかない。

 閉塞と停滞を感じる無情が凝縮されている。

私の親友、アンネ・フランク

My Best Friend Anne Frank

WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

 アンネ・フランクの親友だったハンナの視点でのアンネ・フランク映画。既にナチスが占領を始め、ユダヤ人の迫害が始まっている時点からスタートするが、ハンナが収容所で過ごす様子と時間を飛びながら進む。この構成は正直意味なかった。

 彼女とアンネが有刺鉄線越しに収容所で再会した、という史実をピークに持ってくるような作りだが、実はアンネの一番の親友は彼女ではなく、ハンナと一緒にアンネの家に行った女の子だったりするのが絶妙な嘘。それを結構正直に描いて入れ結果、アンネ・フランクの描き方としては結構珍しいお転婆さといやーな女の子感が出ているし、同時にハンナの行動も納得感が薄くなっている

タミー・フェイの瞳

The Eyes of Tammy Faye

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 アメリカでテレビ伝道師として活躍したタミーフェイとその夫の栄華と破綻のわかりやすい物語。

 カトリックを広める番組なんだけど、教義の解釈が微妙に違っていて、タミーはLGBTQやエイズ患者への理解共感がある人物。神が作った人類に不良品などない、彼らのアメリカでもある、と。そういった側面と、分かりやすい転落物に出来ることで題材に選ばれたのだろうが、個人的にはアンドリュー・ガーフィールドが演じた夫の方がより面白い映画になる気がした。チックチックブーンと合わせ技で賞をあげたいぐらい。ジェシカ・チャステインは寄せてるから凄さは私にはわからん。「女神の見えざる手」の方が好きだし、評価されてほしい。

我らの罪を赦したまえ

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 かなり分かりやすく優生思想が世の中に戻ってきてませんか?と訴えかけている、ナチスによる障がい者弾圧の作戦を描く。序盤にもっとキャラの紹介を丁寧にできた方がよりひきこまれたかな。

ハート・ショット

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 親は今日から2泊いませーん!!な高校生のすることは、パートナーを呼び込んでおうちデートに決まっています。

 そんなふうにデートを見せつつ、未来をどうするのか、っていう不安。未来の不安の為に過去との決別を図ろうとしたが間に合わない。ハートショットが襲ってくる。アクションの振り付けはすごく好きでしたし、ここから始まるんだ!っていう感じが強い。

氷がすべてを隔てても

Against The Ice (Soundtrack From The Netflix Film)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 かつてグリーンランドはその領有権を争われていた。アメリカがその一部を島として領有権を主張したからだ。本作はそのピアリーランドと言われる地域が半島であることを確認した冒険家のグリーンランド置き去り物語だ。

 広大にして恐怖の氷の世界で、船長と志願した整備士2人だけで前回派遣された調査隊の置き土産を探し求める。2人の信頼関係が徐々に醸成されていくが、来るかわからない助けに気が遠くなるほどの日数を過ごし、当然の極限に。犬は無事じゃないです。

 しかし、これほど過酷なのに、もっと過酷に見える八甲田山ってマジですごい。

残された楽園:オカバンゴ・デルタを生きる

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 ボツワナにある記念すべき1000件目の世界遺産。オカバンゴ・デルタ。

 7ヶ月の乾季と5ヶ月の雨季がある湿地帯は、多様な生物の集う自然地帯。

 群れを追放されたメスライオンや水を求めて家族で移動する仔象などを中心に、あらゆる動物たちが必死に生きようとした結果、この湿地帯が維持されている自然のバランスの美しさん目の当たりにする。

 もちろんよくある動物ドキュメンタリーではあるのだが、やはり技術の進化に伴う映像の質は素晴らしいものがあり、ナショジオとか契約しなくてもネトフリでこういうのが見れると嬉しい気持ちになる。

私ときどきレッサーパンダ

Turining Red

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 ピクサー最新作はまたしても配信スルー。しかもプレミアムアクセスなし。このタイミングで、ピクサーがクリエイティブな部分でもディズニー本社から多くのストップをかけられていた、という報道が「ゲイと言ってはいけない法案」に関連して出てきたりもしたり、ディズニー内におけるピクサーのないがしろにされ方が酷すぎて、本当に怒っている、ということはまず言及しておきたい。

 そのうえで、本作はかなり話を聞いてくれないお母さんの暴走が目に余る、らんま1/2っぽいレッサーパンダになっちゃう女の子の話。前回短編baoを監督したドミー・シー監督によるものだが、まずカナダ・トロントを舞台にしているのにおいしそう極まりない中華料理が素晴らしい。で、BTSの躍進も背景にありそうなアイドルアーティストのツアーに行きたいけど、その日がレッサーパンダを鎮める儀式の日、っていうことでお母さんから期待される自分と欲求の自分っていうエリクソンによる発達段階の分類とか、マズローとか、そういう心理学の蓄積の表象としてのレッサーパンダ!!となった。

 この毒親お母さんをぶん殴らないと気が済まないな、と思っていたので、最終的に彼女がバカにしてきたアイドル文化や友人たちへの偏見が言葉を持って解消されず、メイにレッサーパンダ空間で謝罪しただけなのが若干気に入らないが、しかしお母さんが巨大化しての、まさかの怪獣映画になるとは思っていなかったので、そこに大変満足してしまった自分がいる。巨大化したお母さんはナルトの尾獣っぽさを感じた。巨大生物同士じゃないし。どうせなら、レッサーパンダ変身バンクシーンがあったっていいぐらい。親戚が変身して戦隊ものみたいになってたんだし。

 最初に晒された男の子は本当に可哀想ではある。いじめっ子の方に焦点が移ってしまったからね。

Adam by Eve:A Live in Animation

WATCHA3.0点

Filmarks2.9点

 実写とアニメとMVと。全部の要素を入れたら全部が中途半端というか、個々としてはいいのかもしれないが、繋がりを全く感じず一つの作品にはなっていなかった。
あとごめんなさい、どうしてもあのさんの発声はバラエティとしてはよくても、映画としてはノイズでした。個人的な好みで申し訳ない。

底知れぬ愛の闇

底知れぬ愛の闇

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 終始ぽかーんとしていたまま終わったというべきか。

 ベンアフとアナ・デ・アルマス(フルネームで呼びたくなる)の夫婦ものなのだが、妻は浮気性というか、単にパーソナルスペースが狭いというタイプじゃない確信犯に近い感じ。だが、彼女が関係した男たちが死んでいき、無表情の極みのベンアフが殺したのか?という感じが序盤に提示される…けどそれが終盤まで一点張りなので浮き沈みは無い。淡々としすぎていて、緊張関係のある夫婦の話のはずなのにどんよりしている。

桜のような僕の恋人

桜のような僕の恋人 (集英社文庫)

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 普段なら見ないなーって映画ですが、ちょっとした付き合いで。松本穂香さん好きですし。

 よく調べずに、ただの恋愛映画だと思ってたら、難病モノ。丁寧に描いているので、そりゃ中島健人じゃなきゃ許されねぇだろ!という文句もぐっと飲み込める出来。早老症を演じた松本穂香もとても良かったし、老化の特殊メイクも良かったので、重要なモチーフと言える桜のとこのCGがテキトーなのは本当に勘弁して欲しかった。そこは大事よ。

 あと、兄貴、テメーは許されねえ

バブル

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WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 荒木哲郎×虚淵玄×澤野弘之×小畑健×WIT STUDIO×川村元気、凄い布陣で挑んで来たオリジナルアニメ。配信後に劇場で公開という強気です。

 泡が降って大爆発、という摩訶不思議なポストアポカリプスの東京を舞台にしていて、そこでの崩壊した東京でのパルクールアクションと、人魚姫を題材にしたボーイミーツガール。まぜこぜすぎて凄い。

 スケートボード映画が一つの映画ジャンルとして確立されつつあるが、これは近代化して固定化された都市の観念を読み替えていく作業がスケートボードによってもたらされるからだと個人的には思っていて、それはパルクールアクションによって、更に1段駆け上がっていく印象。この映画の場合、アリジゴクと呼ばれる重力操作空間による変異もあって、読み替えのレベルが非常に高い。そこに進撃の巨人の立体機動的なアクションと、更にアニメでしかなし得ない縦横無尽なカメラワークで、もうそのパルクール自体で大きな快感である。

 また、アクションにボーイミーツガールが絡んで、2人が併走したりするとそれはもうミュージカルでもある。そうなってくると俄然音楽が重要であるが、そこは澤野弘之仕事だ、完璧。ということで、音響と大画面のパルクールを堪能するには映画館必須。

 他方、ストーリーはというと、パルクールの試合だけなら楽しいのだが、別にパルクールの勝負に負けてもなんか大したこと無さそうだったり、全体的な話を人魚姫に合わせることで、推進力を得ようとしているけどまったくうまくいっていないし、泡をしっかり水分子で表したり、渦を黄金比で見せたり、なんか気孔とか細胞的な描写をしまくってはいるものの、なんかすごい雰囲気で納得させようとしているだけ、感は否めず。

 でも嫌いになれないなぁ。

ニューヨーク第1波

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 マシュー・ハイネマン、今度の戦場はニューヨーク。コロナ第一波だ。

 混乱する病棟、医療現場にカメラを向けつつ、幾人かの患者や医師にフォーカスを当てて現場の混乱と未曾有のパンデミック応対を追う。

 重症状態だった患者が帰宅するシーンなんかは涙を堪えるのに必死になるほどの寄り添い方をしているが、そのカメラで人がモノになる、死のその瞬間も映し出されていて、なるほどハイネマンが描いていたものと同じ戦場がそこにはあった。

チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 実際に放送されていたアニメシリーズはチップとデールが本当に演じていた!かつて人気者だった2人と仲間たちはバラバラになって栄光は過去のもの。そんな中、ふたりのかつての仲間が誘拐されてしまう。名コンビ復活で仲間を救出に向かうが…

 とかまあ言ってるが、はっきりおふざけである。実写ともう多種多様なアニメーションの技術が混在して、お前それ許可取ってねぇだろと言いたくなるぐらいの小ネタの応酬である。零細がこれをやると、今回の敵である偽造版扱いだが、ディズニーがやれば許される。ソニックとか本当に偽造だし。それはそれで思うところはあるが、まあノリで面白くなってるからずるいよね

天の怒り

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 あの小説家が私の家族を奪い続けている!

 ルシアナは助手をしていた小説家にセクハラをされ、訴えたところ、それが引き金で小説家は妻と娘を亡くしてしまう。

 この復讐にルシアナの家族が次から次に小説家に殺されているんだ!という主張の真相を探るサスペンス。

 全て偶然に思えるが、しかし裏で糸を操ってるようにも見える。最終的にルシアナは妹のために身を捧げるが、この作品では繰り返し語られる。目には目を、歯には歯を。小説家はバレリーナとして前途洋々だった妻と幼い娘を奪わなくてはならない。だからルシアナの妹を手に入れる。

 もしかしたら、セクハラしたことすら計画の内だったのでは、うつが治りきらない妻を拒絶した結果の計画なのでは、とすら思える。

コリジョン:交錯する運命

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 なんだろう、絶妙に面白すぎないし、つまらなすぎない、ぐらいのびみょーな感じ。
冒頭で交差点で事故ってる中で銃を構えて、みたいなオチを見せておいてそこにどう向かうか、なんだけど群像劇的なのにそんなに群像してない(?)し、南アフリカの中でジンバブエ人やナイジェリア人への排斥っていう移民排斥の動きがあるのも驚いたけどドゥザライトシング的な感じでしかないし、あとブロ・ソルが天竺鼠にしか見えなかった

スパイダーヘッド

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 特殊なスパイダーヘッド刑務所。ここでは囚人は自由に生活しているが、代わりに治験に協力させられる。

 クリヘムの博士感が足りず、ゴーストバスターズぐらいのヘラヘラ感が欲しくなるし、マイルズ・テラーとの格闘で接戦…なわけないじゃん、と野暮なこと言いそうになる。

 話としてもそんなに目新しいこともなく、大きな転換も無いし、全部喋って教えてくれちゃうのでどうにも。本当にコシンスキーなのか?