抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2022下半期配信映画

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 昨日に引き続き、2022年に配信された映画の振り返り。今回は下半期。とはいえですよ、めちゃんこ見たいナイブズアウトはこの記事の2,3日前配信開始だから間に合ってないし、ノア・バームバックは30日配信でまだときた。その辺、年内に見れたら書き足すと思います。

 

 

ジェイコブと海の怪物

Beasts of Sea Coloring Book: Super Coloring Pages For Adults And Kids - Beautiful & High Quality Illustrations

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 ベイマックスの監督がディズニーを離れて制作したアニメーション。故にクオリティはもう保障できます。ラセター以降、こういうの増えてますね。

 海の怪物が跋扈する時代、海に繰り出してそれらを倒すハンターとして活躍するジェイコブは、次期船長とも言われる。そんな中、ブラスターと呼ばれる巨大種に立ち向かう船に紛れ込んだのは孤児院の少女で…。

 「老人と海」「白鯨」的なアプローチを大人側からは取りつつ、子どもの側からは「ヒックとドラゴン」のように世界の見え方を変えていく。最終的には、「なぜ戦争が始まったのか」「どう終わらせるか」歴史修正主義や蓄積された曲がった憎しみといった現在の分断への物語として十分に機能していました。

 レッドのジト目が本当にかわいい

 

プレデター:ザ・プレイ

PREY: what you need to know about the new released movie "PREY"

WATCHA4.5点

Filmarks4.5点

 プレデターは300年前にも地球に来ていた…

 先住民族プレデターの戦いを描くが、とにかく面白い。民族内における、一定のイニシエーションとしての狩りの試練とプレデターの人間狩りをうまくくっつけて主人公が何者かであるかを証明することに成功している。その上で、前半は徹底してプレデターよりも先住民族の生活と食物連鎖を見せることで、あくまでプレデターがこの時代に人間を狩る意味を見出し、そして幾度かの犠牲と戦いによってしっかり説得力の出るバトルになっていてたまらない。

 作品内でしっかり振っておいて戦いに活用するのもそうだが、シリーズへの敬意の払い方も忘れていない熱さも兼ね備える。シュワ級の説得力がある。

雨を告げる漂流団地

f:id:tea_rwB:20221017022714j:image

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

 航祐と夏芽の幼馴染2人。彼らは取り壊される団地に住んでいて、すでに退去しての新生活を過ごしている。夏休みになって、その団地にうっかり集ってしまった6人の小学6年生。屋上にいたら、大雨が降り出し視界不明瞭、そのまま何故か大海原に…。

 団地がそのまま船のように動きながら漂流というより進水して行く様子、それだけでワンダーでございます。見事。

 しかもそこで起きる出来事が結構キツイというか、ちゃんと食料足りなくなるし、ちゃんと怪我して血が出るし、ちゃんと仲間割れするし。小学6年生が背負うには結構な過酷な状況で、珠理ちゃんなんて頭から出血してるもの。夏芽が置かれたキツい過去も含めてうーん、可哀想。ガガーリンとかそのレベルを超えてる。

 その上で、大事なのは謎の村瀬歩ノッポだ。ちゃんとは言わないが、彼は漂流している112号棟そのものであり、どうやら漂流している建物それぞれにその象徴となる存在がありプールにも観覧車にもいて彼らを助けてくれる。いわば大海原は、MCUドラマのロキにおける剪定された後の世界のような場所なのだ。全てを食い尽くすアライアスだっけ、みたいなのにやられる存在、正確に言えば取り壊された建物たちがその最後を迎えるような場所。本来は連れていかれるはずのなかった6人が巻き込まれたことにより、特に夏芽と航祐にとって過去の象徴である団地=ノッポと別れて未来に進むことが求められる。求められるのに、ノッポとして擬人化された団地との訣別は家族関係の複雑な過去、死んでしまった航祐の祖父、思い出、みたいな幸せな時間への執着としてノッポと一緒に戻りたい!を貫く夏芽を怒れない。分かるよ、というか小6には酷よ。その点令依菜ちゃんのとこはすっとしてましたね。(余談だけど、ここまでぶりぶりさせた水瀬いのり、久々だけど良い!)

アテナ

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 警察署の襲撃。襲撃から逃げ出すまでをワンカット長回しで走行中の車中からカメラが引いていって、外から写してもっかい車内、果ては団地に突入してタイトルが出るとこはかなり引く。おおこれは凄い、となるアバン10分。ここだけで50億点ぐらいあげたい。(車内の行き来があるから多分擬似ワンカットではある)

 団地に籠城して警察の暴力に対抗する話であるのだが、その内部とて一枚岩では無く、兄弟の関係を軸にじーっとカメラが追いながら事態の進展を見守るしかない。この緊迫、やはり『レ・ミゼラブル』を彷彿とするが、脚本にいやがった、ラジ・リ。流石です。

Togo/トーゴ

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 ウルグアイのおじいちゃん強い映画。

 なんかこう公道のはずなんだけど、交通整理とか洗車とか駐車の誘導とかしてそこを自分の区画と言い張るおじいちゃんたちに、そこの区画よこせと売人たちの組織が言ってくる。

 そこにおじいちゃんを手伝うようになった女の子が出てきて互いの再生とか家族の構築をゆるーくやってく感じ。

 杖の新たなアクションの可能性と、女の子の着てたTシャツに書いてあった「悪兆候」という謎の日本語に笑った

ウェンデルとワイルド

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 キー&ピールが声を当ててるウェンデルとワイルドの兄弟。こいつらが元凶のちょっとしたホラーコメディドラマなんだが、こいつらのおかしさとカットという女の子の成長譚、家族の物語と悪循環の連鎖を断つテーマに、裏に潜む陰謀、とやりたい放題やりすぎて整理がついていない気がする。カットを迎えてくれた3人組も横2人は結局いいキャラしてそうなのに活かせずしまいになってしまった。とりあえず主軸が学校なのか悪魔のほうなのかハッキリさせてスッキリさせたい

ギレルモ・デル・トロピノッキオ

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 ストップモーションピノッキオ。

 マッテオ・ガローネのが大のお気に入りとしては、そこには僅かに届かないものの、見事に十分な作品といえる。デルトロの縦の文脈で見るとまたもサーカス団というか、興行についての映画でもあるので興味深い。

 死と生の概念の導入によってタイムループもののような手触りを与えつつ、死が生を生たらしめ、それがピノッキオを人間するという展開が第一次世界大戦で息子を失ったジェペットという設定にも合致する。

 嘘が身を助ける、っていうのは虚構を信じる力かもなあ。ピノキオがショーをしている時も、子どもたちは確かにピノキオをスターとして扱って称賛していて。興行、虚構みたいなものを信じるデルトロの矜持を思う。