抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

オリジナリティはどこへ「君は彼方」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 昨日はアニなら#3のご視聴いただきありがとうございました。「魔女見習いをさがして」「ウルフウォーカー」「羅小黒戦記」などの映画と「呪術廻戦」「魔王城でおやすみ」「アクダマドライブ」「体操ザムライ」などの秋アニメを語りました。

 さて、本題。えー、酷評です。まさかここにきてとんでもない案件が連打することになるとはね…。とはいえ、そこまでアニメ映画の門戸が開かれている、あるいは公開本数が増えている、ということでもあるのでね、それをプラスに捉えようじゃないか。

君は彼方 (ファンタジア文庫)

WATCHA2.0点

Filmarks2.2点

 

1.疑問符の残るクオリティ

 さて、鑑賞前からヤバイ感じはプンプンしていて、公開されてからは阿鼻叫喚の感想が並んでいた本作。まあ予告編でも怪しかったですけど、劇場でかけるクオリティに達していなかったと言わざるを得ない結果でした。つい先日、日本沈没2020の劇場編集版のクオリティに文句を言っていましたが、あれでもまだいい方だったとは…。

 まだ冒頭は頑張っていたと思うのですが、やはりいきなり止め絵でしゃべりはじめる池袋デートが唐突且つ不安を煽りまくり、そのまま最後まで行ってしまったような感じ。

 特に力不足を感じたのは、撮影効果のところで、ガラスのように割れるところやキラキラの光のエフェクト、花火、なんか闇的なのに飲まれていくとこ、クモの糸。いや、絵が動かなくてもそこ頑張ればもうちょっとごまかせるよ!っていうところが軒並みダメだった印象です。まあそこに手が回るなら、絵ももっと動くんだろうな、とは思いますけど。

 また、クオリティという面でいうと主演2人のボイスアクトも正直ダメだったと思います。TBSラジオ「新米記者松本穂香です」を愛聴している私としては、聞きなれたはずの松本穂香さんの声も最初は違和感を感じました。まあ、松本さんは途中から慣れてきてだいぶマシだったと思うのですが、瀬戸利樹さんは棒読みの権化って感じでまるであっていなかったと思います。また、サブに置かれた早見沙織山寺宏一大谷育江が上手すぎるので負け戦だったのかも。

2.カケラも感じぬ独自性

 さて、技術面での文句はこの辺にして、ストーリーや場面について。

 本筋は一旦死んで帰ってくる物語であり、まあ直線的ですが、最近はこれを採用している映画も多い印象ですね。普通に行って帰ってではなく、死んで帰ってくる、でいうとまあ確実に「参考」にされているだろう千と千尋の神隠し、あとはDESTINY鎌倉ものがたりなんかも近いものがあるでしょうか。

 こういう話をするときに大事なのは、行って帰ってきたことで何か変化している、あるいは帰るために何らかの変化をしている、というもの。環境の激変、新たに出会う何者かの影響。そうして帰って来た時には新しい自分やこれまで当たり前だったものの価値を見出す、みたいなのがまあ基本線でしょうか。

 えー、そこから一歩も出ないのが本作ですね。一歩も出ないどころか、遥か内側でずーっとウジウジしてる感じ。帰る為にはなんか帰りたい理由を思い出さないといけないらしいのですが、思い出した!→やっぱりダメでした、を複数回繰り返しているうえに、その思い出した!のシステムが雑で主人公の澪の中で完結しているので物語的にカタルシスが得られてない、というか。唯一それを出しかけていたのがあまりにも唐突なミュージカルシーンだとは思いますが、結果としてあれは中盤のやっぱり駄目でしたの前振りになっちゃったので意味ないですね、はい。

 んで、話だけならいいんですけど、場面カットが殆どどこかで見たことがあるものばかり。思い出せない、空から落ちていく、そういう感じの雰囲気はどう考えても「天気の子」「きみの名は。」の新海誠作品だし、海の上を列車が走り、ラストはここにはありません!なんて言ったり、金魚が擬人化して登場してハクみたいな思いだされ方されるのは、モロ千と千尋ですよ。ミュージカルシーンはディズニー作品あたりから拝借したんでしょうね。拝借、というあまりいい印象のない言葉を使ってしまう時点で、まあそういうことです。

 あ、オリジナリティを感じたのは瀬戸利樹演じる新が海岸で号泣しながら電車の中での澪とのやり取りを独演するのは非常に斬新ではっきりいってドン引きしました。かわいそうね、どうかしてしまっているのよ。

 とまあそうゆう感じで、借りものだらけで、しかもそれらが基本的に劣化された状態で繋げられている為、本作でしか伝えられない何かが伝わらないどころか、存在していない、というレベルの作品になってしまっていました。何がどうしてこの企画にゴーサインが出て、結構な大物がキャスティングされ、そしてTOHOでかかるようなことになったのか、すべての真相は闇の中…。