抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

もっと!もっと!もっと!「もっと超越した所へ。」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 もっと!×3は2022年の福岡ソフトバンクホークスのスローガンです。この記事が出る頃にはペナントどころか日本シリーズのころかしら…?

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WATCHA4.5点

Filmarks4.6点

(以下ネタバレ有)

1.あなたの身近にいるよねこういうの

 めっちゃいるよ!!!という解像度の高いクズでございます。みんなみんな揃いも揃ってクズで凄い!!!!!

 話が走りすぎました。冷静に整理すると、クズ男を引き当ててしまった4人の女性のコメディ、みたいな入り口。まず冒頭がすっごい見事。4組もいたら導入が面倒なのですが、米を買う前田敦子、おにぎりを食べる黒川芽以、米を研ぐ趣里、レンチンする伊藤万理華。4者4様の米との関わり方を見せつつ、メインの舞台といえる4つの部屋を見せる、っていう上手さを見せてくれる。で、米買うのを導入にしつつ、それを助けた菊池風磨っていう構図でダメ男×だめんずうぉーかー的な入り口にもなったっていう。

 で、ダメ男っていう入り口で聞いてるんだけど、こいつらもジャンルが違う。菊池風磨は配信にうつつを抜かす束縛イケメンで出会った瞬間抱くみたいなメンヘラ脳。レイジオカモトは初演技とは思えないバカなタイプの男を好演し、千葉雄大は可愛くてズルいを地で行きつつ、ゲイっていう恋愛劇で男女のカップリングだと異質な存在。プライドばっかり高い風俗通いの三浦貴大も出色でした。

 なんだけど、こいつらのダメ男、クズっぷりをどうやら堪能しているうちにいやいや、女性陣も全然まともな人たちじゃないのでは??感が出てくる。2020年の正月、ホワイトデーを経て、時制が一気に2018年?だったかな?に戻ったら、この4組が別のカップルだったことが分かる。バカで可愛く見えてた泰造くんは風俗嬢を妊娠させて逃げていたことが分かる(そのうえでこの先美和の妊娠が示唆されるってことは、また快楽にかまけてノースキンだったのでは?というクズさ)し、前田のあっちゃんの話は結局千葉雄大の再生産。この人たちが別れる喧嘩を一旦踏んでからのラストの展開、痛快の極み。特に前田敦子のキャラクターのダメ感っていうのが絶妙で、でもそれも最後には裏切ってくれるというか、ちゃんとしている人レベルが高いからもっかい惚れ直すし、趣里さんのとこのコロナになってからの私たちウイルスリテラシー同じくらいで良かったね、とかいってる感じが部屋のちょっとしたハイソ感も相まってうっわ嫌い!!っていう感じですっごい良い!あの時の趣里さんは素晴らしかった。

 でまあ、その辺からの大きい流れは一旦置いておくにしても、この恋愛会話劇の脚本力たるや、っていう。終了後の監督&脚本・原作者トークでも出てきた話題でしたが、菊池風磨の「そのダンス部って何人今でも本気でダンスむきあってんだろうね?」みたいなクソうぜえ喧嘩の吹っ掛け方も爆笑だし、怒られているのに上裸で無駄に筋肉モリモリの菊池風磨は裸が映るだけで笑っちゃったし、オリジン行ってくる菊池風磨は本当に嫌いになれた。いや、菊池風磨大好きかよ。

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2.プルス・ウルトラよりもプルス・メタ

 まあ、でもこの話がしたくなりますよ、ええ。ポスクレです。ポスクレ??前田敦子菊池風磨って出た段階で、ああいいラブコメでした、ちゃんちゃん、っていうところで「終わり!?」と前田敦子が叫ぶことで一個メタに入る。このままじゃまた同じ失敗するじゃん!、そういって男たちをシンクロして泣いてるなら出ていけ!!と追い出した時空にもっかい戻す荒業。4つの部屋のセットから一歩出て行くことでこれまでからの脱却を見せつつ、その部屋がメタ的には相互に隣接していて互いに出入りしながら女性同士の連帯っていう現代的なメッセージに昇華しつつ、とにかく演劇口調に芝居が変わって観客を意識した叫び合いにどんどんなっていく。いやねー、ちょっとしたSFっぽさでもあるんだろうけど、この演劇感、大事なことは叫んだほうが気持ちのぶつかり合いになるって感じが、上田誠とか中島かずきみたいな私の好きな脚本家路線でズバーン!っと来た感じで超面白い。この展開を野暮だと笑うのであれば、「もっと超越した所へ、どうぞ」とひと煽りしておしまい!ですよ。たまんねぇ。ちゃんと時間を飛ばすときにしつこいぐらいに見せてたんだから、気合で時間を巻き戻して何が悪い????

 こうして、彼女たちは運命を乗り換えることに成功し、ゴーンガール的な恋愛関係における支配権を手に入れる(というか、妥協することを覚える)訳で、高らかに大好きを歌い上げるタイプの恋愛映画じゃなくて、今日の失敗で明日後悔しないように、ぐらいのノリの恋愛映画、あいつもクズだが私もクズ、でもそれを認めて抱き締められたら、それはもう祝祭だ、ですよ!!!!完璧!!!マツケンサンバ踊り出していいぐらいのお祭りでした。楽しかった!!