抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

城定×今泉・今泉×城定「愛なのに」「猫は逃げた」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は2本立て。L/R15なるプロジェクトに関して。即ち今泉力哉監督と城定秀夫監督がコラボレーション!互いの脚本を入れ替えて監督するという中々に面白い試みでございます。

 

1.愛なのに

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WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 まずは、城定監督、今泉脚本の方。いやー面白かったです。

 古本屋を営む瀬戸康史河合優実さん演じる女子高生が告白してくる、っていうまずいっこ大きなファンタジーをやっておいて、彼の好きだった元バイト仲間の結婚に伴うドロドロを描く変な恋愛劇。もうね、新郎とウエディングプランナーが不倫(定義上は浮気か?)している、っていう展開はAVで見たやつだ…と思いつつ、新郎の不貞を知った新婦が仕返しに、瀬戸康史と寝るっていう昼ドラも真っ青の展開。ドロドロやないか!そういうドロドロ劇なのに、真っすぐすぎる河合優実に恋する少年の存在だったり、手紙の交換っていう純愛の仕方だったりで、どこか浄化されて見れちゃう不思議。女子高生に30男が告白される大嘘の方で純愛をしているので、そっちが嘘っぽく見えず、むしろ大人たちの方のどろどろでは、今泉脚本でありながら、今泉監督の濡れ場には無さそうな文字通りの濡れ感、っていうのがあって。結果的に後味が凄く爽やかなんですよね、不思議。

 あとはもう、何といってもキャラが生きてました。まずセックスが下手ネタで思わず場内も笑いが生まれていた中島歩さん。なんていうんだろう、彼もまた真っすぐなクズなんですけど、憎めないタイプのクズ。この映画の中では常に最悪手を選択し続けて、一花さんを徹底的に追い詰めちゃう訳ですが、このタイプの男なら、可愛いって思ってくれる女性は一定数いるような、そんな気になってしまいます。次いで、勿論若手筆頭株クラスの大活躍を見せている河合優実さんは出色です。これだけ性が前面に出てくるような作品なのに、彼女からはそれを感じない。でも、ある。みたいなラインの演技を見せていたと思います。この人をサマーフィルムで見つけておいてよかった…、なんか知った風な口をきける。

2.猫は逃げた

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WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 今度は今泉監督、城定脚本ですね。猫は逃げた。

 早速冒頭の時点で、離婚届を書いてて2人の関係性を示しつつ、その離婚届に飼い猫のカンタが小便することで、この離婚が成立しない、という話を先に見せつつ、猫が逃げる、っていうタイトルの状態もやっておくっていう。それでいて、本編は実は猫は逃げてないっていう餌巻きにもなっている。この冒頭は本当に巧み。(あれ、猫が小便しているってことは、排泄映画の祭典、レクデミー賞も狙えるのか…?)

 ほぼ4人(+オズワルド伊藤)で話が進むんですが、あまりにも冒頭の情報量が完璧すぎて、そのうちの2人の夫婦の関係が見えた訳ですが、その後にそれぞれの浮気相手との情事もソッコーで見せちゃうんで、しばらく話が動かないな、っていう印象が拭えなかった感じはありました。猫がいなくなるまで、違うな、猫の所在が明らかになるまでかな、そこまでは情事を描かないと話が進まないのかな、みたいな。伊藤さんのところは笑っちゃいましたが、うん、それはオズワルドのネタを見てるからだし、オズワルドがコロナの自粛期間中にYouTubeに上げていたネタの音量があまりにも小さすぎることを思い出したからなので映画の力ではありません、念のため。

 猫の所在が分かってからはね、そりゃ面白いっていうか、わくわくしますよね。見つかってからの4人集まっての部屋での言い合いは、これぞ今泉力哉!っていう。『町の上で』でも見たぞ!気まずい全員集合!っていう感じで、売り言葉に買い言葉でヒートアップしているのが良かった。余談ですけど、よーく考えなくても、この企画が決まっていたから、城定イハの説明で城定秀夫出したんだよね、っていう。

 とまあ色々言ってますけどね、カンタが可愛かったからね、それでこの映画は成功ですよ。『猫は抱くもの』とか言って、猫が全然だった映画もありましたし。猫自体は、結婚とか、愛とか、そういうものの象徴だったんですけど、そういう細かいことはいいかなー、って雰囲気でもある作品だったというか。作家性とかそういうのを割と吹っ切って、娯楽!な感じに作ってるのかな、って感じを受けたんで。