どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
毎月恒例旧作の振り返り。自粛期間なので本数増えましたね。かつて旧作紹介を3か月に1回だったんですが、そのペースだと凄い数になっていそうな気がします。
5月に見たのはマッドマックス特集、ゴッドファーザー特集、リモート短編など記事化したものも含めて50本!大台に乗せております。
最後に、#BlackLivesMatter に関して。ジョン・ボイエガが声を上げた、という点でも「デトロイト」は必見です。「グリーンブック」みたいな優しいエンタメ見ても切実さは分からないのでは。ネトフリにあるので是非。劇場公開してるところがあるなら黒い司法も。全ての差別される方に、You'll never walk alone.
名探偵コナン 銀翼の奇術師
WATCHA2.0点
Filmarks2.2点
飛行機のワンシチュエーションでは持たないのは分かるんだが、前半の劇場のくだりはぜーんぶ要らない。不要すぎる。結果的にコナンは暗号解読も忘れて、しかもキッドが盗んでないことを知りながら警戒を解いたことになるので、ただただ愚か。別に前半の話は動機にもならないし、というかキッドの存在自体意味のない話。
しかもフツーに事件は即解決された。ウソだろ、流石にミステリ要素減らしすぎでは?
んで、フライトパニックだとしてもだ。流石にコナンが副操縦士なのはリアリティラインがおかしいし、トラブル真っ只中にキャビンから当然のようにやってくる少年探偵団&蘭園子博士には笑いも起きない。緊張感が全く持続されないし、やっと事態の重さが蘭にだけ伝わったと思ったら痴話喧嘩する始末。
という訳で今までに見た飛行機映画でも群を抜く緊張感の無さでした。どーせ助かると思ってても見せ方でだいぶ変わるだろーに。
名探偵コナン 水平線上の陰謀
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
小五郎のおっちゃん大活躍と名高い作品。
前作の飛行機から今度は豪華客船へ舞台を移す。今聴くとこの規模の客船で乗員乗客600人ってどんだけ少ないのか、と思ってしまうがご愛嬌。
問題は意外としっかりしたミステリっぽく仕上げてるのに肝心なとこ(計画を知ったとことか)が雑に済まされている上に、シリーズでもただの推理解説をしてるだけのシーンが長く、話が止まりがちなこと。
そして何より解決でもういいのにそこから1.2つ見せ場を無理やり作るところ。完全に蛇足で、コナンが客船に戻るのと蘭が乗らないのはどう考えてもおかしいし、ラストがやりたい為に動かされている。
名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
コナン映画無料公開も此処まで。
第10作ということでまさにオールスター。怪盗キッドの扱いが便利すぎるきらいはあるが、お祭り感がありつつ、しっかり各個が活躍するので悪くないのでは。
ただ、肝心の事件に対する依頼人の周りくどい意味のわからない仕掛け(刺客とかいらないだろ)や、真犯人の自殺偽装の方法など、肝心の部分が流されている気もする。
前作もだが、最後のは蛇足かなぁ…お祭り映画なんだから楽しく遊んで終わりでいいと思うのだけれど。
ダンサー・イン・ザ・ダーク
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
鬱映画、胸糞として名高い作品。トリアー見るのも初めてだったが、正直言ってそこまで鬱かコレ?というのが印象。
これでもかと丁寧に処刑の恐怖を描いてこそいるが、これだったら「黒い司法」の電気椅子のシーンの方が私は怖かった。
また、無実の罪で死刑になってしまう盲目女性の悲劇としてもそこまで肩入れできない。胸糞というからには、主人公にある程度の感情移入が出来なくてはならないが、盲目が故の空想の素晴らしさが災いして、語り手としては信頼できない。また、良く分からん理由で殺されるベン、お金を弁護士に使おうとした友人、誰よりも目の病が遺伝すると分かっていながら出産を決めた本人。結局は報いの物語でしかない、というか。ある程度人間嫌い、エゴが嫌いな人が撮るとこういうこともあるかな、ぐらい。
ただ、工場の音楽が体を動かすきっかけになる、なんていう音楽の力、日常における音楽というのはとても楽しく素晴らしい
ゲーム・ナイト
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
ボドゲを愛する友人たちが誘拐ゲームに挑んだらどうやら本当の誘拐だったらしく…な話。脱出ゲーム好きにはたまらない上に、コメディタッチで進んでいくのですっごくいいお手軽映画。劇中のゲームのように手軽に見て十分に楽しめる。
どこまでがゲームで、どこまでが事件なのか、は当然見ていて考えることになるが、正直言ってどうでもいい笑。それよりも、くだらないこととはいえども、ゲームを通じて各々が成長、コミュニーケションの深化を図っていくさまが見ていて楽しく笑える。
「ファイト・クラブ」「96時間」などにオマージュを捧げ、作者たちの映画への愛情もとても強く、これぞ愛すべき映画って感じがする。
荒野の用心棒
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
イーストウッドの佇まいが凛として、折れない強さを感じさせる。コルブッチの続・荒野の用心棒と比較するとまんま黒澤明やん、とは思うがご愛敬。こっちの方がかなり乾いたフツーの西部劇であり、イーストウッドにはこっちのが合ってるが個人的な好みはジャンゴの方。
あとは、どうでしょう藩士ならユーコンを見たくなるエンリオ・モリコーネのメインテーマ。荒々しい。
リオ・ブラボー
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
罪を犯した野郎を捕まえたら、その兄が怒って町を封鎖。連邦保安官が来るまで耐えよう、というタイプの西部劇だが、やっぱり最後はドカーンと派手にやってくれる。
ただ、そういう単純な話に主人公のラブロマンス、助手の復活からの落として再度の上げ、旧友の仇討ち、みたいな横道に逸れる話が多く最初の1時間が長く感じた。特に助手は2度も拐われ、2度も俺はダメだ状態になるのは面倒。
鉄男 TETSUO
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
早過ぎたアイアンマン。
金属に体が侵食されていく男の話ではあるが、この男が中々に曲者で素直にホラーや悲劇として見れない。まあ、こんなことになったら錯乱するからしゃーない部分もあるとはいえ、彼自身の行いが原因でもあるからね。
ストップモーションのような早送りや、わざと不快にさせるような金属音(食事シーンの嫌さったら)など、ある種前衛的とでもいうかのような表現法が楽しくもあり、理解不能度に拍車をかける面もある。
そう、端的にいえばナンジャこりゃ、理解できぬ、なのだ。桐島の前田くん、君よくこんなの見てたな
野火
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
戦争という極限状態で人と獣を分ける境目が曖昧な、本当に極限な映画。戦場を露悪的に悲惨で残酷に映す様子は反戦を高らかに歌うが、原作者大岡昇平の経験が元なので、封殺することは難しい。
人と獣の境目も曖昧だが、人と神との境目もまた曖昧である。神の前での殺し、聖なるものかと思うほどの光と銃弾。日本軍の話でありながらキリスト教的価値観も感じた。
ただ、カメラが揺れすぎる。スプラッタ描写の手垢のついた感やクドいスローモーションを含めてちょっとホラーチックだったりするのだが、それは主題との喰い合わせが悪いように思えた。
ピアノの森
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
堅実というか。ピアノの運指だったりでアニメーションの利点は映せていたと思うが、才能と努力、レールと奔放さ、富裕と貧困と対比させまくった分かりやすい友情ではあるが、それ故に結末も予定調和。きっと続きでは大事なんだろうが、誉子はオミットでも良かったかな、多少唐突。
あとはクラスのチンピラも割と記号的かつピアノへの誘導の役割しかなくて。せめて海が手を大事にするようになるエピソードでもあれば印象が違ったか。
PARKS パークス
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
通い詰めた街・吉祥寺が舞台ならもうそれだけで楽しい。そこに最高のヒロイン橋本愛と朝ドラヒロイン永野芽郁が登場すれば尚更だ。
とてもイノセンスな存在(というか下手したら存在しない…?)永野芽郁が主役かと見紛う中で、Liveをピークに持ってこない構成もイマイチ。
演技のところと、素に近いところの調整が出来ておらず、監督の演出不足を感じる。ただ若い女走らせとけば青春っぽいだろ!!って感じもするし。
あと卒論がそれでいいのか成蹊大学。
復活の日
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
小松左京御大の傑作SFの映画化。
これは荒唐無稽さに爆笑喝采してしまう。南極アラスカマチュピチュ、荒廃したホワイトハウス。一体いくらかけたんだ!八甲田山みたいなシーンもあると思ったら撮影監督木村大作!案の定!ミニチュア特撮も豪華!
流石にナース服で船を操縦する姿は笑ってしまったが、それ以外は突っ込みながらもコメディには思えぬ予言っぽさが。ある程度リアリティを保持したまま、現実が追いついてくる。中国の不在は時代を表してるなー。
私の少女
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
いやー怖い!よく出来ている!
韓国社会における虐待と性的マイノリティ、出稼ぎ労働者に対する偏見と価値観の古さ、そして何よりもおかしさすら感じる伝統的家族観の重視。
それらの中で庇護者だったはずの所長が庇護していはずの少女に圧倒される。何処までが計算で、どこまでが学習によって作られた策略なのか。いずれにしても、上記の要素が彼女をここまでの小さな怪物にしたのは間違いない。
ちゃんと謝ってるし、警察の人たちも悪い人じゃないんだよなー
それにしてもぺ・ドゥナは美しい…
花とアリス殺人事件
WATCHA2.5点
Filmarks2.6点
やっぱ岩井俊二苦手なのかな…
セリフ、間がとにかくダメでこれ面白いか?と問い続けた。100分切りなのにめちゃくちゃ長く感じたし。
青春なんてそんなもんだけどさ、あまりに話がどうでもいいのに会話劇だからそこがダメだとしんどいのは当然か。実写の前日譚だから成長させらないし。
そうなってくると全てに文句が出てきて。
例えば、背景。せっかくのアニメーションなのに完璧な飛田給が出てきたのに東府中に移動したりして、架空世界なんだからちょこちょこ弄ればいいのに現実を移植するから変な疑問が浮かぶ。ロトスコープに特徴的な背景にしてもそれが生きないじゃん。
意味の分からん平泉成二役とかもそう。素直に別人キャスティングすれば済むじゃん。なんでそういうことするかな…
GOHST IN THE SHELL 攻殻機動隊
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
生命の本質は何か。心と身体の差を探る哲学的テーマをSFに見事に落とし込んでいる。こりゃ派生がいっぱい生まれる訳だ。
人間の肢体が機械になったときにどこまでが人間でどこからがサイボーグなのか、本作では脳が人間の物だが、なら間違いなく後継であるPSYCHO-PASSのアレは…。
その決定的な違いかもしれないゴースト、即ち魂もまたそれを騙る機械やもしれない。それがプログラミングかどうかなど、チューリングテストだけじゃ分かるまいて。
哲学的な雰囲気を醸成するオリエント感のある音楽、雑多な背景美術も素晴らしい仕事。
イノセンス
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
人間の定義に前作より更に深く切り込み、オリジナルとコピー、意識の所在を問い続ける。問い続けるのだが。
カエサルを知るためにカエサルになる必要はないと言うように、夥しい引用と小難しい言葉で煙にまく会話があまりにも多く、私だって早く仕事の話をしようぜ、という意見に同調してしまう。
メインのプロットは単純、というか遠回りしすぎて今何してる時間だっけ?が多すぎる。
スカイ・クロラ The Sky Crawlers
WATCHA2.5点
Filmarks2.4点
面白く…ないよね?
歳を取らない子どもたちが日本語を使って読売新聞を読むのにヨーロッパっぽい舞台でダラダラくっちゃべってる。設定の提示で2時間終わってる。話ないじゃん。え、死ねるなら戦争に身を投げる必要なくない?別に終わりなき人生の辛さとかじゃなくね????
そして3作続けて押井守を見て思ったのはこの人大人を嫌いすぎるというか、若ければ無垢だと思ってるよね?若者の味方のフリして分かってない印象が大変強い。キャラとしても惹きつけるキャラデザじゃないし。
空戦も別に楽しいほどでもなかったなぁ
鬼龍院花子の生涯
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
夏目雅子が美しいが、彼女の役は鬼龍院花子じゃない、AKIRAパターン。
嫌われ松子の一生みたいな1人の人生というより、古き時代の侠客(気取り)の鬼政をメインに鬼龍院一家の浮沈を描く感じ。まあ仲代達矢はカッコいいが、こんな親父の下に生まれたくはない。っていうか、生まれては無いが。そう、だからこれっていい話なのか?と言えば絶対にそんなことないし、よく考えたら話自体無い。いつのまにか時間がぐっと飛んだり、経過をすっ飛ばしたり混乱する。なのに謎の充実感がある。なんというか、熱があるよね。それが良い。
しかし、まさかここでも消毒描写を見ることになるとは…(本作では腸チフス)
若草物語(1949)
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
全体を通して微笑ましいトーンで進む4姉妹の素敵な成長を見守る映画。特にベスは成長著しく、母親のような気分で見てしまった。一方でそんな彼女が憤慨する知人の子どもの貧困に関するシーンや調子に乗りまくるエイミーの成長描写が少し足りないかな、と。
そして何よりガッカリしたのは、ローリーが当て馬扱いというか、ニューヨークで教授に会って好きになったからローリーのことはもういいや感があるのが納得しがたい。あそこは同性の同年代の友人とかにして、純粋な小説の力を認めるだけにしておいて欲しかった。
グレタ・ガーウィグがどう料理するのか楽しみになる。
クレイマー、クレイマー
WATCHA5.0点
Filmarks4.8点
妻に出ていかれた夫が子どもと向きあい、そして親権裁判へと移っていく。
冒頭で描かれる夫婦のすれ違いは確かに夫テッドの絶望的なまでの無理解・能天気を描き切っており、離婚も致し方なく思える。しかし、そこから見事なまでに生まれ変わったテッドのビリーに対する向き合い方は非常に真摯で、親としてしっかりと自覚を持った状態に見える。
だからこそ、完全にテッドに感情移入した状態で現れて親権を主張し始めるジョアンナには呆れてしまうのに、優しいテッドに聖人感すら感じてしまう。
ジョアンナが家を飛び出したこと自体は肯定されるが、その際にビリーを置いていったことを合理化している以上、彼女の精神状態いかんで同様のことが起こりうるようにしか思えない。怪我のことを弁護士に話している時点で、裁判に使われようとしている周到な女性あるいは、裁判に使われることすら想定できない甘ちゃんの2択だ。うーん。そもそも、法制度をよく知らないが、3年もシングルファーザーで面倒見たのに取り上げられるなんてことがあっていいのか。今回の評決の基準はすべて3年前までの基準であって、人間としての出直しは認められないのか!?こんなに生まれ変わったのに(さっきまでジョアンナの生まれ変わりより3年前の状況を重視していた支離滅裂さ)
なんて思っていたらフレンチトーストで号泣し、最後の決断で、この人たちはちゃんとビリーを第一に考えられる人たちだったと安心する。
それと同時に、ああこんなにムキになってる時点で自分は結婚や恋愛には不適格なんだろうな、と思ってしまう。ここまで感情移入させる作り方が達者なのは事実とはいえ、なんか自分が論破マンになっている気がしてしまう。
特捜部Q 檻の中の女
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
フツーに上質なデンマーク産ミステリ。ドラゴンタトゥーの女などの『ミレニアム』シリーズも北欧だし、北欧ミステリは時間があれば開拓しておきたいところ。
資料課(特捜部Q)に配属された元殺人課の刑事が、初めて捜査畑にやってきた新たな相棒と共に解決済み事件の再捜査にあたると、自殺扱いの事件が殺人の様相を帯びてくる。
割と定番のパターンではあるが、見落とされた捜査のやり直し、隠された真実に近づいてく様子は楽しく、刑事ドラマのように気軽に(題材や描写は多少重いが)見れる。事件自体は自殺扱いなので、挟まってくる被害者の事件当時の模様が回想に見える辺りは翻訳の問題かミスリードだとは思うのだが、だったらリアルタイムサスペンスみたいなことも出来た気はする。
あとはこれも定番、じゃお前停職な、と上司に言われるパターンがあるのだがその設定は別に生きていないというか、バディ感のほんの少しの上昇にしか買ってないかな。
特捜部Q キジ殺し
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
前作引き続きカールとアサドのコンビがアクセルとブレーキになりながら未解決事件を捜査していく。
今回の事件は20年前の殺人だが、当然そんな昔の事件の捜査は回想ばかりになってしまうため、この調査を巡って現在進行形の話も進んでいく。
暴行殺害強姦など、結構カロリーのある絵面が多く、しんどいところもあったが相変わらずの完成度。
とはいえ、カールの父子の問題や警察内部の裏切り、新人の辞職希望など提示した割にそんな進展があった訳でもなく終わった話が多かったので脚色に苦心したんだろうな、と思う。
デジモンテイマーズ/冒険者たちの戦い
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
オメガモンにそれぞれの場所での見せ場からの集合、やったか?からの完全体ととにかく詰め込んでる。詰め込みすぎて、せっかく面白そうなアイデアや敵なのにどーも達成感もないし、ガルフもんに強敵っぽさが無い。シーサモンいいキャラだったのに積み上げなさすぎて感動しないし。
どうでもいいが、クルモンのボールペンとメガログラウモンのカードを覚えているのでこれは東映アニメフェアとして映画館で幼い頃に見ているはず。はずなんだが、同時上映がおジャ魔女とキン肉マン。キン肉マンを人生で見た記憶が欠片も無い!キン肉マン!?まじで!?
L.A.ギャングストーリー
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
お前ら何度目だよ、なライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが結ばれるジョシュ・ブローリンがカッコいいギャングと警察の戦い。
いきなり上下パッカーンされる人体から始まるので、この作品における命の軽さと描写で生ぬるいことはしないぞ、という宣言は度重なる銃撃戦や頭からドリルなどの場面で輝いている。ルーベン・フライシャー監督はこれを見込まれてのヴェノム起用だったと思うのだが、日和ってR
チームアップでライアン・ゴズリングが加わる過程も好きだし、マイケル・ペーニャやアンソニー・マッキーにも地味ながら確かに活躍の場が与えられ、ロバート・パトリック演じる老練なガンマンはもう最高だ。
ショーン・ペンの重さMAXのミッキー・コーエンとジョシュ・ブローリンとの殴り合いは、ミッキー・コーエンがかつてボクサーだったことを考えても過去に生きる男たちのどうしようもない爆発であり、第二次世界大戦後の世界での戦争に取り残された男たちの物語であることを象徴する殴り合いだ。
ただ、問題は時代に取り残された男たちの物語なのになんか警察だからか肯定的で、ダーティハリーよろしくバッジを投げてもその意味は180度違う。カッコいいけどヒロイックに描かない、むしろ彼らは同類だという感じに進んでいたのに結末がまるで違ってガッカリした。
美女と野獣
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
よく考えたら実写含め初見。
魔法の家具たちが動き出すお城はとても楽しい。でもそこ以外はまるでハマらなかったのが正直なところ。
ガストンはいきなり本を侮辱しまくってるので読書過激派の私としても論外だが、もともと差別意識を持っていた野郎が獣に変えられたところでああイケメン王子が良かった、で終わるわけでさ、ベルにおんぶに抱っこすぎるというか。改悛とか無いから急だよね、展開。薔薇のタイムサスペンスも効果的でないように思えるし。
また、村人たちもあのようなガストンを持て囃すメンタルなんだから、そこごと変わるオチを見せないとダメだと思うんだよね。ベルと野獣はあの城で幸せに暮らしました、で良いわけない。
ファンタスティック・プラネット
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
西洋絵画、例えば『アテネの学堂』なんかを思い出したが、そんなタッチの人類が巨大な青い肌、赤目の種族に支配されている様子とそこから人類の反逆を描く。
人間ではない種が人類の上に立って人間を家畜化したらどうなるか、というある種の思考実験でもあり、情報や教育の重要性が激しく強調された作品でもある。人類がゴキブリに対して行ってきた所業がひっくり返ったみたいだな、なんて思ってたらテール=テルルというオチだった。なるほど、前史か。
まあ何が凄いって、こんな絵画的な手法なのにめっちゃ動くし、フツーにずっと気持ち悪い。内容は教育的なのにどこか子どもに見せたくない感が漂い続けるのは本当に異質だ。
ラ・ジュテ
WATCHA4.5点
Filmarks4.4点
モノクロの写真を背景に淡々とナレーションが第三者目線で語っていく手法を取るため、短編小説を読んだかのような気分。ラストにスパッと終わって至高の読後感をもたらしてくれる。
話は、なるほど、12モンキーズの原案というのも納得。かの作品よりも短編なので隙間が多くかえって想像の余地を働かせる。そのせいだろうか、白黒なのにカラフルで、静止画なのに躍動しているように感じる。
思い出のマーニー
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
うわ、地味にアニメとして凄いやん!というのが第1印象。結構細かいとこに動きの感動がある。千と千尋とか、ジブリっぽいとこは多々あるが、メアリでもこうだったし米林さんってこんな感じなのかね。
話は、私はまだこんがらがってはいるがイマジナリーかと思いきやタイムスリップかと思いきや内面化した語りだった、ということでいいのだろうか。とはいえもう少しマーニーとの邂逅にルールがあると嬉しい。
序盤に明確に線の中と外を分ける絵で杏奈のキャラクターを一発で見せて彼女の成長譚だとすぐ分かるのも良い。
ただ、じーさんはもうちょっと絡んで良かったかな…
クレイジー・リッチ!
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
彼氏の実家がシンガポールの大富豪!?帰省について行ったら結婚相手として認められずにたーいへん!なロマンティックコメディ。オールアジア系キャストで名を博したけど、新興国の話題ばかりではあって日韓やインドとかの話は別にない。
アメリカ国内でもかなり若手の経済学のアジア系女性教授という立場であり、シンガポールでは中国人じゃなくて中国系アメリカ人だということで疎外され続ける存在。そこをもっと活かせれば、という気はするが伝統的価値観で縛ることと個人の幸せの対立を描きながら、トロフィーワイフのようなものは拒否して主体性を重視。まあそんなに家族大事なら黙ってたニックが悪い、とは言うまい。
圧倒的な衣装と美術で金をかけまくってるので目が楽しい。いまや富の象徴たるアメリカンドリームはアメリカ西部から更に西へ移動しアジア新興国なんだろうな。ラストはマリーナベイサンズですからね。
それにしても、オークワフィーナ。彼女は最高だ。
金曜レイトショー
海外特派員
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
久々にシネマトゥデイの金曜レイトショー。
第二次世界大戦の影響を色濃く受けた良作サスペンス。ヒッチコックがサプライズをしないことがよくわかる、ハラハラのサスペンスに特化している。写真撮影のフリして銃撃、追跡、風車のバレるバレない、ホテルでのやりとり、そしてトドメの飛行機。飛行機の浸水は現代でも通用する恐怖さとリアルさ。
無論、戦時高揚のメッセージで終わることは気になるが、それを差し引いても名作だろう。
禁じられた遊び
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
道徳や倫理を伴わない子どもの遊びは無垢なものと捉えていいのか。戦争下における大人たちの振る舞いと子どもたちの振る舞いの差は何なのか。
じゃあ、あの教会の死体たちと彼らが埋葬しようとした動物たちとの差はなんなんだろう?実は同じでは?考えることはたくさんある。
教育を学んだ人間からすると、ああやっぱごっこ遊びのような情操教育、生き物に触れて死という概念を理解することは大変重要だな、と痛感する。