抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2022年4月に見た過去作の記録

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 4月に鑑賞した過去作映画の記録です。Disney+に1か月入って、ナイル殺人事件とかフレンチ・ディスパッチとか見たので19本だけです。…だけ?思ってたより見てた…。

 

セールスマン

セールスマン(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 引っ越した先の家で、妻が襲われてしまう。

 その犯人を探したい夫、これ以上ことを荒立てたくない妻。
最初は被害に寄り添おうとしていたタイプ、いわゆる教養人としてのポジションだった主人公がどんどん取り返しがつかない方向に動いていって、気付けばそこは被害への寄り添いではなく報復がメインになっていき、ついには、っていう後味の悪さ。

 とはいえ、追い詰められる過程に多少そうはならんやろ感を思うのと、結局被害への寄り添いの眼差しがもう少しないと私には辛い…となってしまった。いやだって、あいつは悪くない、とはならないし…

別離

別離 (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

 離婚。娘の教育のため国外へ出たい妻とアルツハイマーの父の介護のために残りたい夫。でも本当はどうなんだろう。とにかく一旦は別居をすることになって雇ったヘルパー。しかし、事態はそこから悪い方にどんどん転がっていく。

 何が原因でみんながみんな帰るところを失ってしまったのか。全員が全員小さい嘘をつき、意地を張り、目の前からちょっとだけ目を背け続けた結果が破滅だった。男性の有害さ、イラン社会における女性の地位の問題も多少描かれたが、そこよりもっと人間の本質的な醜さを問われたように思える。

狂覗

狂覗 KYO-SHI [DVD]

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 教師だけの秘密の荷物検査で情報量が観客と共有されているつくりなので、フリがちゃんときいてて、良きサスペンスにはなってた印象。

 ただ、あんないい人の裏が!のいい人として教師を置いていると思ったのですが、そもそも教師として不適格な奴らしかいないので、その不適格性が顕になったところで、ですよね感というか、サプライズにはならなかった。

 あとはいつも通り、学校が舞台だとどうしても要求するリアリティラインが高くなっちゃうので、いやそこが1限が体育なら隣の教室は授業中だろ、的なね。

怒り

怒り

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 八王子での殺人事件の容疑者が逃亡中。

 そして3つの場所で現れた男たちの物語。コイツらはみんなこれまで何してたのか分からない。観客は等しくコイツらを疑いながら、しかしこの3点が交わることはない。それぞれの場面で、それぞれの得体の知れない人物に対して信じ、裏切り、そして犯人は。

 人を信じることの尊さを描いた作品だが、それだけに中途半端な警察パートが邪魔だった。別に犯人が誰かは重要な要素ではない。

 あと気持ち重すぎてしつこいかな。

悪人

悪人

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 ある殺人事件の加害者、その男に惹かれた女、被害者父、被害者の恋人?に加害者母。

 一つの事件とその後の逃避行を描き、それぞれの視点で、それぞれに誰が悪いの?というタイプの話だが、話は重く、スローとか本当にいらないな、と思った。
満島ひかりが腹立つ(でもよくあるような)若者をやってるうちは推進力があるが、逃避行パートになるとうだうだやってんなーぐらいにしかならぬ。

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 致死量の共感性羞恥を浴びましたが、なんとか致命傷で済みました。危なかった。私の心臓は5つあるからな(fromNARUTO)。こういう言動、まあ日本語言えば厨二病というのかもしれんが、それをネット上での仮面としては使えるのに、現実ではそうもいかない、っていう作品だ。

 とにかく見ていて痛々しい言動はレディ・バードとかを思い出す訳ですが、ありたい理想の自分を目指すあまりに現在の自分を認められてない、っていう感じで、だからといって自己分析が出来てないわけじゃないっていうこの微妙さ。

 そこにそっと寄り添い、全肯定でもないスタンスのお父さん。お父さんもアカンことをしてしまったのは事実ですが、あの一回だけで後はむしろお父さん悪くないし、っていうか主人公の方がアカン行動多いし、みたいな作りなのでお父さんを責めさせる作りにはなってない。

 これ撮ってからボー・バーナムはプロミシング〜であの男やってるんだから、大したもん

トイ・ストーリー

トイ・ストーリー (吹替版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 監督がジョン・ラセターであることがムムム要素に今となっては勿体ない。
これまできっと幾度も金ローで見ていたはずのトイストーリー(及び2)だが、3と4は見てないし、バズの映画あるし、で、えいやあと重い腰を上げました。

 凄いですね、80分でここまでまとめて来るか。おもちゃが主人のいないうちに動く、というワンダーだけでもお釣りが来るのに、そこにルッキズム的な視点もあるし、やり直しの視点もあるし、小さい世界でバズが自分を自覚しつつ、ウッディの成長も描く。よく出来てる

斬る

斬る

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

 藩の御家騒動とその中の何人かにスポットを当てて描く、用心棒的な物語。
まず初めに出てくる襲撃シーンでお釣りが来るほどのクオリティ、こんなに痛がって死んでいく男たちがいただろうか。

 襲撃犯7人側に肩入れする武士を捨てた男、体制側で百姓からの成り上がりを目指す男、そして妻を守るために戦う男。しっかり対比を見せながら、体制側による暴力をしっかりと描いているが、それだけにあの対戦カードで決着して欲しかったな、という思いも。

アリオン

アリオン

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 古代ギリシャ的な神話世界でファンタジー貴種流離譚に近い話をやるんだけど、詰め込みまくってて、急ぎ足。

 古代ギリシャの神の話になると、すぐにサイボーグ009を思い出してしまう悪癖がありますが、そういう超能力的な神話性はあまりなくて、素直に剣で戦ってるし、ちゃんとセットしておいた前振り通りに戦ってくれるしで満足できる。

 まあお母さんの目を治すためにハデスについてった割にお母さんのこと放置してる気はするけどね。

 あとは永井一郎さん。やっぱりこの方の声だとどうにも説得力が違う。

天使のたまご

天使のたまご

WATCHA2.5点

Filmarks2.6点

 うーん、これはいったいなんなのだろう。

 絵はすごい。見事。それは凄い。
でもあまりにも話が無い、というかストーリーという概念が無い。存在したのは事象だと感じた。事象をアニメーションで描いただけなら、それは映画たり得るのだろうか。うーんごめん、私には分からなかった。

 パトレイバーは抜群に面白いのに、スカイクロラには全くはまらなかった。そういうことなのでしょう。

チャップリンの役者

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 こうセリフが一切ないのに話が分かるのが凄いな、と思いました。サイレント時代の映画ってたぶん後もう一つぐらいしか見たことがないもので。

 意外に致死性の高そうな暴力を振るってたり、かなり揶揄するようなニュアンスのギャグでそれも意外。勝手に高度な風刺ばっかりかと。

 壁を隔てた部屋の使い方がとってもうまくて、あっちから突けばこっちで倒れる、みたいなピタゴラ感が楽しかったです。

ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男

ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 ヒトラーを殺して、そのあとビッグフットを殺した男の話だった。そんまま。
時間をいじった構成はそこまで好きでなかったのと、やはりビッグフットのワクワクが足りなかったが、全体的にはとても好みで老兵が銃を手に取り、人生を見つめ直すテーマはとても好み。

 なにより組立銃のワンダーね。これを頭に見せられたらついていくよね。

バベットの晩餐会

バベットの晩餐会 HDニューマスター版(字幕版)

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 うん、素晴らしい。

 デンマークの地方社会で暮らす老姉妹とそこにパリからやってきたメイドになる女性。

 14年がいきなり過ぎてしまう唐突さだが、しかしその後の描写で14年は確かに感じられるようになっている。

 彼女が一体何者なのかが明かされないまま、しかし姉妹は受け入れてその時が訪れる。彼女の唯一のわがままで供される晩餐会。高度に発達した科学は魔法と見分けがつかないように、あまりにも高度なフランス料理は、デンマークには悪魔儀式すら見えてしまう。

 でも本当に美味しく心のこもった料理は人々の心を溶かす。そしてまた、両者を繋げるために通訳の存在がいかに大事か、とも思う。コミュニケーションにおけるメディア(媒介物)の重要性、異文化コミュニケーション。

東京オリンピック

東京オリンピック

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 スポーツ見せる気あんのか、と言いたくなるどアップの多用に、スポーツ大好き人間としてはガッカリ。ただのハイライト以下だ。

 マラソンで立ち止まって給水してる選手がフツーにいたり、この60年でアスリートがいかに人間性能を上げてきたのか、という点は興味深かった。

マンチェスター・バイ・ザ・シー

マンチェスター・バイ・ザ・シー (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

 マンチェスター。フォーデンとスターリングが両サイドを切り裂き、途中からマフレズとグリーリッシュがトドメを刺す街…違う?

 イングランドではなくアメリカのマンチェスターが舞台となった本作。このネタ多分劇場公開時に死ぬほど擦られたんでしょうが、今見たんだから仕方ない。

 兄の死をきっかけに、甥の後見人となった男の物語で、彼は異様なほど心を閉ざし、対話を拒否している。それは彼の過去に大きすぎる原因があったのだが、それはとても辛いものであった。

 受け入れ難い喪失を前に、乗り越えた人物と呪われ続ける人物が同時に存在するだけでなく、呪ってしまった人物の贖罪まで描き切る優しさを見せてくれる。ある意味で、誰も助けてくれない「くれなずめ」だった。なんで彼は便利屋をやってるか、を思うと胸が痛い。

ブレイブストーリー

ブレイブ ストーリー

WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 お前なんかにわかるか!

 どっちが悲惨な人生だったかを子ども同士で比べてファンタジー世界へレッツゴー。
2人の関係を描いていく感じなのに、話が王道ファンタジーを目指し、そのまま世界の話になってしまう。世界の話をするなら世界をもっと描く必要がある。「決意の朝に」のうちにダイジェストされた世界に重さは無い。

 インパルス板倉はやけに印象に残ったんだけど、なるほどフジテレビがはねるのトびらのメンバーをぶちこんだのか

スケート・キッチン

スケート・キッチン(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

 スケートボードは近代都市と非常に縁深い。既に計画化されて開発された都市の文脈を遊技場と読み替える手法が、この作品においてはそのまま友人関係や親子関係に持ち込まれ、人生を読み替えてより良いものを目指す姿勢につながっていく。それまでの1人で楽しんでいたスケボ人生から、SNSを通して繋がったスケートキッチンの面々とのシスターフッドへと読み替えられ、そして一つの障害を乗り越えてより強固な繋がりとなる。何度も転んで立ち上がる競技性とも重なる。

マーズ・アタック!

マーズ・アタック! (字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks2.9点

 ファーストコンタクトもののブラックコメディだが、そういうディザスター系のコメディをしたいのか、カルチャーギャップ的な、ディさコミュニケーションにおけるコメディをしたいのかはっきりせず。最終的に毒にも薬もならないつまらない火星人のビジュアルしかない映画が出来上がった印象でした。

 勝手に翻訳して分かった気になってる人類への皮肉とか好きだったは好きだったんですが。

ペット 檻の中の乙女

ペット 檻の中の乙女

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 バスの中でたまたま見つけたかつての同窓生ホリー。(日本語あってる?同じ学校に通っていた女性)。彼女に特別な何かを感じたセスは彼女をストーキング、職場の隠れている場所に監禁することに成功したが…。

 ヤバいと思ってるのが男だと思ったたら女の方がヤバかったパターン。檻の中に閉じ込めているようで、部屋の中での主導権は握られていたという。中と外は発想で逆転する。ただ、監禁されたホリーもシンプルに脱出したいのではなく、愛を求めて彼を塗り替えようとするので、閉じ込められるスリラーではない面白さが生まれている。