抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

1年越しの異種族交流「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 さあ、1年延期したドラえもんの劇場版です。ドラえもん、コナン、クレヨンしんちゃんが春にちゃんと揃うのは、コロナ禍になって初めてだと思います。ポケモンは夏に帰ってこない…。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021 (てんとう虫コミックスアニメ版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

(以下ネタバレ有)

 

1.サイズの見せ方のうまさ!特撮への敬意に拍手

 本作でまずグッとくるのは分かりやすくも、しっかりとそこにある特撮への敬意ですよね。今回のゲストキャラであるパピを始めとする宇宙人の皆さんっていうのは地球においては小人。それ故、それを描くにあたって、ミニチュア特撮でのび太たちが映画を撮っているシーンから始まり、最終的にひみつ道具で合成しているけども、ちゃんと特撮をしている!合成すんのはひみつ道具じゃなくてパソコンでいい気もするし、だったら特撮からひみつ道具で出来そうなものだけど、そこをちゃんと見せた!偉い!その後も、小さいパピに対して初見の人物が現れる度にちゃんとアングルを下からにしてみたりすることで、サイズ感の違いを見せていました。あの巨大なしずかちゃんが迫ってくる感じは、やっぱバカなんでフジ隊員のことを思い出しましたね。最後はスモールライトが切れた状態になって巨大化して無双。ジャイアンキングコングもしっかりありました。こういう特撮っぽさをこの作品に残しておいて、いや、むしろ顕著にしてくれたのは嬉しいし、その部分やミニチュアを担当した白組はSTAND BY MEのことを忘れてやってもいいぐらいの気持ちにはなりました。白組は、自前じゃない(=多分山崎貴と組まない)と本当にいい仕事する。というか、別に自前でも白組自体の仕事は悪くないか。

2.どうしても感じる違和感

 全体的にはかなり優れたリメイクとなっていたように感じます。しっかり前回作られた時から受け手のテクノロジーのレベルが上がったことに対応した目線設定が出来ているし、スネオの葛藤も改善されていたように思えます。記憶が間違ってなければ、85年版のラストは高速道路かなんかを空港に急いで向かっている敵の司令官が割とコテンパンにやられていたような気がするんですが、そこをデモ行進でやられたと悟る、で済ましたり、ジャイアンが結構おとなしかったり、執拗に敵が無人機であることを繰り返した上で攻撃したりと、戦争をこの時代に描こうとすることへの配慮っていうんですか、ドラえもんたちの無謬性、みたいな方向に行かないようにはしてくれていたと思います。それって本来は凄くありがたいチューニングで、絶対悪なんて物語の中にしかいない訳です。そう思って見ていた訳です。ところが、公開を1年延期したせいで、そうは言えなくなってしまった。まだ絶対悪、と言い切ってはいけないとも思いますが、少なくとも傍目には完全に絶対悪のように見えるロシアのウクライナ侵攻。暴力と恐怖で支配を試みる政権に対して、国外からの義勇軍に位置づけられるドラえもんたちが助太刀して、彼らを倒して万事解決、っていうのはどうにも気持ち的に無邪気に喜べない。まあ今回のことが無かったとしても、例えばミャンマーの軍事クーデターは、義勇軍の来なかった末路なのかも、とか思ってしまいますし。無人機ならいい、っていうのも何だろう、罪悪感が無くなるだけだし、じゃあドラえもんを攻撃しても、みたいな機械と人間の境界線論に発展していきそうで、またなんとも…。バギーちゃんには人格を見出したシリーズだしさ。