どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
えー、配信映画の感想まとめです。だが!驚くことなかれ!2021年ではなく、2020年だ!!
あい、すいません。とっくの昔にここに感想書いてあるやつは見終わってたんですけど、完全に投稿せずに忘れられていたのを正月に発掘しました。っていうか2021年の配信映画は溜まってるものが多すぎるのであと1年ぐr…半年ぐらいかかります。
あるメイドの秘密
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
タイのサイコホラー。
前半と後半で全く姿を変える不思議な映画で、前半は幽霊屋敷に勤めることになった可愛らしいメイドのホラーなのだが、後半は完全にサイコホラーというか、スプラッターというか。前半は前半でしっかり怖く、後半は後半でそのジャンルで求められる殺し方の楽しさや「アメリカン・サイコ」的な不気味さを損なわない。それでいて、前半は後半に奉仕しているとも言えるし、後半へのフリになってるとも言える。好みだったと言っていいだろう。
オールド・ガード
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
人類史を影から支えていた不死の軍団を巡るお話。LGBT関連や女性が戦うことに関して、主張があるというより、当然の前提として描写されていてそれが心地よい。
戦闘アクションとしては、やられていい、死んでいいという設計なので、ゾンビが味方になってるような雰囲気すら感じる。相手が可哀想だ…
絶対絡んでくるだろ、という過去回想は最後に絡んできたので、続編に期待、かな。
ただまあストーリー的には弱い。
プロジェクト・パワー
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
飲むと5分だけ超能力を手に入れられる設定。
刑事と娘を探す元軍人、そして売人の少女の3人が物語の軸なんだが、街全体でその薬の実験をしてて組織ぐるみな大きな陰謀になりそうなのに話はどんどん小さくなっていく。結局何がしたかったん?な感じが否めない
サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
突如失聴してしまう主人公。
ドラムを叩いた人生から音が失われる世界への適応は、ある種の自己を否定する行為にも思われ、耳が聞こえること自体があり得ないほどの特権にすら感じる。そう感じさせるほどの没入体験を成功させる音響がもう無敵である。彼の聴覚とリンクさせることで彼の状況を理解させつつ、話を進ませる時は三者視点で台詞が聞こえる。
最初の音楽としてのメタル(音楽詳しくないのであれがメタルだろう、というタイトルからの推察です)中盤、聾者コミュニティで滑り台を通してのサウンドオブメタル、そして終盤の決断に伴うサウンドオブメタル。実にシンプルだが綺麗である。
クラス'83
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
左遷された警官が警察学校の教え子を政治家とギャングの癒着を正す裏の集団として育て上げる。
活動を始めるまでがどうも長いし、映像的にも語りが多いのでスマートに感じなかった
運命のゲーム
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
ある少年サッカーチームの試合。子どもたちは熱心に戦うが、10番の調子がどうも良くない。明後日の方向にシュートを打ってるし判断も悪い。
それには理由があって…
サッカーにかける情熱とサッカーを利用する汚い大人たちの思惑が左右する。マフィアやらトトカルチョやらが存在するイタリアサッカーならではの話と言えるだろう。
構成を少しいじって驚きはあるが、逆にそれが90分台の映画の割に飲み込みづらい感じはある
#生きている
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
ゾンビものの定番をしっかり抑えたいい塩梅。
団地でゲームしてたらそんままゾンビパニックになったので引きこもってる話なので、そこまで動きはないが、当然その攻め方だと資源不足に陥るなかで、向かい側に見つけた生存者。ドーン・オブ・ザ・デッドなんかをしっかり踏襲しつつ現代にアップデートした感じ。まあ最後は結構正面突破なのだが。
何より刺さるのはテレビで流れる政府広報が家にいろ、と言ってるところ。ゾンビはそもそも吸血鬼伝説で、伝染病のメタファーであることを強く意識させられるコロナへのぶっ刺さり具合である
悪魔はいつもそこに
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
断ち切れない暴力の連鎖、悪い人全員集合!って感じ。
トム・ホランドもロバート・パティンソンも悪いやつというイメージとは違う役だが、トム・ホランドはまだこの役をやるには幼すぎたかなー。滲み出るいい奴感。
バラバラの視点がようやく収束していく終盤は見応えがあるけど流石にそれまでが長すぎるのと、ナレーションが入りすぎ。
エノーラ・ホームズの事件簿
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
シャーロック・ホームズは時代遅れの遺物だ。
彼は完全に特権階級の人間だし、人を見下し、協調性を持たない。現代で必要な素養を全く持っていない。それでも作品化したいならどうするか…?そう、そこでエノーラの出番なのだ。
シャーロック!そして更に輪をかけて酷いマイクロフトの保守性、傲慢さを全面に出しつつ、女性エンパワーメントと政治参加を促す活劇に。多少メッセージがくどくて説教くさいが、シャーロックを甦らせるにはこれぐらいしてもいいかもしれない。未だ途中なので判断はできないが、憂国のモリアーティもホームズではなくモリアーティを主役に据えるのは似た様なアプローチに感じた。
ただな、シャーロックとマイクロフトが横に並んでる時間が長すぎる!イチャイチャしすぎだ!
…あれ、もしかして私は意外と厄介なシャーロキアンだったのかもしれん
マリセラ・エスコベド:彼女は3度殺された
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
娘を殺された母の戦いを追うドキュメンタリーかと思いきや、事態はもっと深刻な方にばかり転がり、まさに3度人生を奪われる。
娘の事件の裁判で問題となった自白の重要性と合理的疑い(推定無罪)の問題が事件によって恣意的に運用され歪められる様子が憤慨しかない。カルテル・ランドなんかも思い出したが、メキシコのカルテル問題は本当に根が深い…
シカゴ7裁判
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
ベトナム戦争下での反戦運動で捕らえられた7人の裁判を描く法廷もの。
開幕から新たにニクソンが就任した共和党政権が無理筋な言論弾圧を試みていることに間違いはなく、また判事がもう法廷の私物化やら偏見やらで酷い。繰り返される警察との衝突の映像は、ああ未だに、というより今まさに目撃している光景と変わらない、という地獄。劇中の言葉を転用すれば、PCの画面の中は60年代だったが、その外では2020年だった。的な。
そこに対して、決して被告たち7人も清廉潔白・一致団結ではなくそれぞれに違った理由・主義主張で反戦であり、そこには対立もある。現場で何が本当に起こったのか、それは途中まで明かされないが、それによってわかる塩梅はとてもいい着地だったように感じる。もっと政権側の断罪に走ってもいいところを、戦没者への敬意で締めくくるのは、エディ・レッドメインの役の成長という点でも、物語的な締めにも良い。っていうか、多分自分も同時代にいたらヒッピーに対してちょっと見下すタイプのインテリ層の立場に立つ気がするので、彼に割と感情移入していた。シニカルに皮肉言うより、バカ真面目に原理原則を重視するタイプなんだよな…。
アーロン・ソーキン監督作ということでとにかくセリフの応酬だが、テンポよく見ることが出来るのは間違いない。
レベッカ
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
マンダレーの大邸宅の女主人の座を手に入れる主人公だが、夫の死んだ元妻、レベッカの存在に苦しむ。
ヒッチコックの同名映画のリメイクだが、どこか物足りなさがある。ヒッチコックと比較すると、レベッカが屋敷を支配している、というよりダンヴァース夫人がただいびってるように見えたからか。リリー・ジェームズも強い女性として描かれていて辛さを辛さと感じさせなかった。
フェイフェイと月の冒険
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
美女と野獣などを手がけ、既に短編アニメでオスカーも手にしているディズニーの名アニメーターの初監督作。スタジオは中国のパールスタジオだが、元々はドリームワークスなんかが共同で作った会社なので技術力十分。
そのため、今から映画館でこれをディズニーの新作ですよ!といってかけたら恐らくほとんどの人が引っ掛かるだろう。スクリーンで見れないのが勿体ない!
短篇baoを思い起こす月餅作りから始まり、果ては月への冒険へと進む愉快なファンタジーはミュージカルシーンを挟みつつ、喪失から立ち直り、前へ進むどストレートな成長譚。嫌いだと言っているのに義弟のエッセンスを取り込んでいたり、ナツメ入りの義母の月餅を口にして、気付いてないけど受け入れてる。あとはそれに気付くだけなんだ!という演出、そしてフェイフェイと鏡像関係になる月の女神。なるほどよく出来ている。
恋愛要素を排除して上手くいった泣きたい私は猫をかぶる、に近い印象。ワンダーな月の世界と、現実と地続きな地球の書き分けが上手く、月での相棒ゴビが愛おしい。
愛してるって言っておくね
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
12分の短編アニメーション。
台詞はなく、デッサンのようなタッチで描かれる物語は思っていたより重く、辛い。
台詞はなくとも心情を丁寧に物語ってくれる影のような存在が愛おしくもあり、涙を誘う。
この短時間でここまで心を動かされるとは思わなんだ…
Mank マンク
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
劇場で見て、配信でも再度確認しました。
市民ケーンと似た構成で回想をぶち込みながら、市民ケーンを執筆するマンキウィッツを描く。
モノクロだけど、フィルムっぽさよりはデジタルのモノクロって感じだった。
うーんだけど面白いかと言われると…イマイチだったかな…かなり当時の状況を頭に入れてないとついていけない。
結果的に市民ケーンの凄さ・素晴らしさをかえって思い知らされることに。
マ・レイニーのブラックボトム
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
話を噛み砕けば、若手のトランペット吹きがいきがり、ブルース歌手マ・レイニーがそれ以上にゴネる、というスタジオでの1度の収録だけの話なのにずーっと話を聞いていたくなる不思議な作品だった。
特にマ・レイニーは完全善でもないのにどこかついて行きたくなる胆力。
チャドウィック・ボーズマンのトランペット吹きが滔々と語る彼の歴史は、白人に対して抗うことを示してきた黒人の歴史そのものであった。
ソウルフル・ワールド
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
脳内の感情をキャラクター化してドラマに落とし込んだ傑作の「インサイド・ヘッド」のピート・ドクター監督が次に描いたのは生きること。
生まれる前の個性の形成を「インサイド・ヘッド」同様戯画化しておかしく見せたり、魂のsoulと音楽のsoulをかけて入れ替わりコメディを見せる。
みんな大絶賛している中で申し訳ないが、うーん、そこまで。勿論、見るタイミングで評価は変わると思うのだが、「生きる」ことの答えを簡単に提示しすぎというか。考えるきっかけレベルなら分かるんだけど、じゃあ生きる意味を感じていないのに生きている人ってなんなんだろう?と思ってしまう。日常が素敵、生活していることこそ生きる意味、じゃあそこに彩りを感じない人は?ディズニー&ピクサーの夢至上主義は、それ以外にないのか、とそろそろ思わずにはいられない。そう考えると、日本の日常系というジャンルはとても優れているのかもしれない。
大体今日から人生が変わる日だろうと正確に死んだんだからそれを受け入れなきゃ。突然死ぬから生は美しいんだよ。死ぬ覚悟もないやつに生きる覚悟なんてない。
あと、生前に性格が決まってしまう運命論的な考え方も、個人的には人格形成は後天的な環境要因だと思っているので相容れない。とってもわかりやすく、楽しく見れるからこそ結構危険な気がする。なんだろう、まじめな顔してディズニーが教育産業に介入しようとしているような。22番に足りなかったピース、生きる覚悟。じゃあ味も匂いも感触もないところで22番以外はみんな生きる覚悟を手に入れてたの?それって生きる覚悟なの?