抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

3番センター上林「孤狼の血 LEVEL2」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 現状、日本で一番好きな監督、白石和彌監督最新作にして、大人気東映映画の続編でございます。

【映画パンフレット】 孤狼の血 LEVEL2 松坂桃李 鈴木亮平 村上虹郎 西野七瀬 早乙女太一 斎藤工

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

(以下ネタバレ有)

 

1.上林という強烈な個

 いっや、この映画を思い出そうとしますと、鈴木亮平演じる上林、という狂気の男のことを思い出すしかない、と言わざるを得ないでしょう。やっぱりもっと調子の波を無くして、外野の一角をしっかり占拠して欲しいものです。はい、ホークスファンの話ね。

 オープニングこそ、松坂桃李演じる日岡が防弾チョッキをつけている背中で始まりますが、それと対比させるように上林の初登場シーンも紋々が入った背中一発からのスタート。今回はこの2人の背中で語るぞ、感をぐいぐいと感じる訳です。

 日岡の方は、村上虹郎演じるチンタ、しかも愛人の弟でつけこみやすい理由があるっていうなんともいえん理由でヤクザに潜り込ませていて、ガミさんの正義とは少し違うかな?みたいな感じでヤクザを裏から統制している感じ。そことの情報収集、あるいは冒頭のピアノ講師殺害事件の捜査、っていう名目で動いているのでそこまで話が展開せず。その分、これまでの組織から大きく変わった五十子組を元の姿に戻すべく、何やってもいいんじゃ、とまあ旧幹部連中を殺す殺すの大立ち回り。首輪つけられて檻に入れられる寺島進、アイスピックで一刺しされる宇梶剛士、なんじゃこりゃって言いながら撃たれてた斎藤工、ずっと声が上ずっててドスの利いた声を勘違いし続けている吉田鋼太郎、多士済々な皆さんが死んで行ったり、翻弄されていくわけでございます。

 途中まではですね、大神-日岡ラインと並び立つように、五十子-上林ラインが成立して、上林は上林なりのあるべき極道の姿を追いかけていった結果、時代に置いて行かれた、みたいな感じを期待していたんです。五十子会2代目含む、彼らへの反抗も、先代以外認めない、っていうことですからね。ただ、途中で2回ほど落胆するところがあって。やっぱまずはシャブですよね。シャブやってほしくなかった。冷静に狂っているから面白いキャラクターなのであって、あの狂気に一点でも薬による外部性の狂気の懸念を持たせたら、それは程度の低いチンピラと同じになってしまう。悪役としての凄みが大きく削がれたように感じました。もう一個はチンタに指詰めさせるところ。刑事撃ってきたやつに指詰めろ、は、うーん、まだあの時点では疑ってただけの段階だし、やりすぎっていうか、それで一緒になって騒いでた周りがバカっぽく見えちゃったかな、と。その後に、残飯すすっていくしかない奴が極道やるんじゃ!みたいな極道観提示されても、その結果殊勲を挙げたと思しき部下に一瞬でも怪しさがあったら指詰めさせる極道な訳でしょ。案の定最後逃げ出されたわけだし。

 まあ基本的には、上林に極道としての敵になれる可能性を感じたのに、純粋サイコパスシリアルキラーどまりだったな、って感じでしょうか。

 あ、上林が期待通りにいかない、ってまんまホークスファンだな…。

2.孤狼の血LEVEL2というより…

 これは前作から共通して言いたいことではあるんですけど、このシリーズは東映実録モノではあるんですけど、仁義シリーズとは全く違うんだ!ってことですよね。あくまで基本の出発点は『県警対組織暴力』でしょう、と。梅宮辰夫演じた海田って名前を町のどこかの看板かなんかで見つけましたし。つまりこれは警察映画であって、仁義を語るよりも正義を語る映画のはずなんですよ。最後に田舎に飛ばされるのも一緒だし。なんなら、山狩りで誤射されて日岡は死ぬかな、とすら思ってましたよ。

 そういう点で、今回の中村梅雀の果たす役割には納得しかないし、何なら喋った瞬間に、あーあ、やっちまったな、と観ている方はすぐ思う訳です。思うよね?まさか、あいつが内通者だったとは!?とはならんよね?喋った瞬間宮崎美子があんなに意味深に映っているんだし気付くよね?

 ただですね、そうなると、どうしても鑑識の結果がちっとも出ていないのにへーきで上層部を売った上に、そんなのデマだと信じ込んでいる広島県警のヒラの皆さんの能天気っぷりと、広島県警のマル暴の不在なんかが結構目立ってしまうことになったかな、と思います。抗争うんぬんに関しては、あの捜査本部が対応することじゃないし、対応するんだとしたら、それは上林が犯人だと認めていることになっちゃうじゃないですかね。

 って考えると、実は『孤狼の血』の続編っていうより、『日本でいちばん悪い奴ら』の続編っぽさの方があったのかもしれません。