抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

最悪のユルネバに乾杯「Mr.ノーバディ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 なんでしょう、私はこういう映画が好きなんですかね。2年前だと『スノー・ロワイヤル』、昨年だと『初恋』あたりが近いでしょうか。アクションが分かるわけでもないのに定期的に摂取しては高得点をつける暴発系暴力映画です。

Nobody [DVD]

WATCHA4.5点

Filmakrs4.5点

(以下ネタバレ有)

1.舐めてた相手が… 

 これは私が悪いんじゃなくて、公式が悪いんだと思うんですけど、鑑賞前のこの映画への期待感って『狼よさらば』だったんですよ。忘れられない午後ローでのキャッチコピー"復讐を弾にこめろ!悪党共は俺がKILL!!"がたまらないヴィジランテ映画ですが、そのヴィジランテ感をジャッジしない感じと、変に復讐は意味ないとか説教してこないのが大好きなんですよ。だから、本作も一般市民(=誰でもないNobody)がブチギレて殺人マシーンになる映画だと思ってたんです。

 ところが、本作はどっちかっていうと舐めてた相手が殺人マシーン映画の系譜。主人公のハッチは、何の変哲もない一般市民と思わせて、かつて"会計士"だった男。闇の仕事人だったから存在が否定されるNobodyだった訳でございます。

 という訳で、そういうジャンルだと分かってからはもう躊躇の無い暴力に歓喜ですよね。特に、自宅を襲撃したきた相手を撃退してからのスムースさには大爆笑しましたし、職場を全部買ってから迎撃型要塞を作り上げるのかと思ったら、完全に自分から出向いてロシアンマフィアの大金を燃やす暴力性に、やったー!!そうは言っても、しっかりそこに誘導してきて、クリストファー・ロイドのお父さん含めた3人での悪魔の迎撃戦は『ランボー ラスト・ブラッド』の地下秘密基地レベルでの拷問でした。そこでかかる音楽が、わが人生最良の曲にして、座右の銘「You'll never walk alone」ですよ!いや確かに君は一人じゃないし、どんな困難も乗り越えられるって歌ですけど!!最悪にして最高の使い方!テンション最高潮、破顔一笑でございました。

スカパラverも好きよ

2.中年の危機

 本作の良いところは、ありがちなジャンルムービーに対して、いわゆる「中年の危機」の文脈を持ち込んだところ。漫然と過ごす毎日、Monday、ドンッ!家!バス停!交通カード!出勤!エクセル!退勤!おやすみ!Tuesday、ドンッ!ゴミ出し遅れる!シット!!この代り映えのしない日常をバンバンカット変えながら見せていくのはとても楽しかったですね。夫婦仲も悪くないし、同じベッドだが境界線を作られるし、頼りない感じがプンプンする。

 こうした中年の危機を描いた作品で代表的なものと言えば『アメリカン・ビューティ』だと思いますが、本作にも共通する中年の危機の回避方法として中古車が出てきましたね。あんまり車に詳しくないですけど。そもそも、今回の発端も娘の為に猫のブレスレットを取り返しに行ったら、赤ちゃんのいる家族で手を出せず…の流れでの暴発ですからね。せっかくこめてた弾全部落としてぶちのめす!はテンション上がりますけど、年相応にやられるという笑。でもストロー喉にぶっ刺して気道確保は斬新でございました。

 結局のところ、若かりし頃の無敵感を実際にも無敵だったことにしちゃって、夫婦、親子、暴力、仕事あらゆる面で一気に戻ってきてしまうことで中年の危機を回避するという力技でございました。うーん、大好き!