抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

ボールは丸い「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回は待ちに待ったサッカー映画!WEリーグも開幕して全面協力し、日本サッカーを支えてきた矢部浩之出演、主人公と同じ境遇を経験している日向坂の影山さんを応援に起用と、プロモーション的には満点をたたき出しております。あとは下田さんがゴールに絶叫して、戸田さんが冷静に解説する横で福田さんが頷いて、日比野さんがインタビューすれば完璧です。通訳はガンジーさんにしときましょうか。分かる人だけ分かってください。

 そんな感じにサッカーの話をしてるんだか、映画の話をしてるんだか、分かんない文章が出来上がりました。

【映画パンフレット】映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ

WATCHA3.5点

Filmakrs3.4点

(以下ネタバレ有)

 1.スポーツと性

 さて、本作の絶対的なテーマは「スポーツと性」。男子ばっかりの中に混じって女子はプレーできるのか?という命題です。最近は韓国の実写映画で『野球少女』がございましたね。アニメと実写ですけど、多分この作品は最もそこと対比されることが多いんだろうな、とは思います。

 ただ、その点で言うと本作はそこまで深く掘れないっていうのが正直なところなんですよね。フィジカル勝負で勝てない(正確には怪我してしまう)と言われて公式戦出場の機会の無くなってしまう希なんですが、自身もそれに固執しすぎてナメックとの個人対決に走っちゃう。で、原初のサッカーの楽しみを思い出して試合に負けて勝負に勝つ、的なオチなので男子ばっかりの中に女子が入ってサッカーを続けられるのか!?という問題には踏み込めてはいません。っていうか、登録外選手が勝手に出てくる失格モノのことをやらかしているので、そっちもノイズになっちゃうかもしれません。

 ちなみに、現実的には女子日本代表のレジェンドストライカーにして、なでしこジャパンのFW最多得点記録(通算得点には澤穂希という怪物が鎮座している)を持っている永里優季選手が女子サッカーを飛び出して、社会人チームに2020年に加入したのが神奈川県2部。J1,J2,J3,JFL,地域1部,地域2部,県1部,県2部…というピラミッドなので8部になる訳です。やはりサッカーで女性が戦うのは、相当厳しいのが現実と言わざるを得ないかもしれません。1番フィジカル勝負を避けてラインブレーカーとしてスピード勝負したのが、いまやバラエティで大活躍の丸山桂里奈選手だった、というのもちょっと面白い話。

 また、視覚障害者のサッカーであるブラインドサッカーでは、菊島宙選手が男子に混じってプレーしていますが、こちらは大エースの活躍です。もっとも恩田希に近いのは菊島選手かもしれません。


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2.成立した故にきになるサッカーよもやま話

 これは最初に記しておくべきだった気もするんですが、テレビアニメの状況を考えると、正直期待感が薄かった訳ですよね。ところが、テレビでがっかりした金網フェンスごしに顔が透ける不思議は1シーンだけでしたし、映画館の音響でボールの転がるタイミングが補完しやすかったり、ちゃんと試合のシーンに3DCGを導入して、つぶさに描く努力をしたおかげでかなり映画として、アニメとして成立させられていました。この点は素晴らしい!

 が、それゆえにちょいと気になるサッカーの感じも出てしまってはいましたね。

 一番顕著なのが戦術とフォーメーションの不一致。そもそも堅守速攻のチームが4-3-3で、ポゼッションサッカーが5-3-2の時点で笑っちゃうんですけど、堅守速攻でロングボール蹴ってくるチームなのに、ナメックが抜かれてからペナ侵入になるのはラインが高すぎます。堅守速攻カウンターチームだけどハイプレスはしない、でもハイラインってそれどんなサッカーですか。

 あと監督の無能っぷりがちょっと酷すぎますよね。稀有な才能を壊さないために公式戦には出さない、という判断は彼なりのロジックがあるので尊重しますが、前述の通り、パスサッカーがしたいのに5-3-2の布陣しいてるし、試合前もハーフタイムも戦術的修正は皆無で盛り上げるだけ。それが通用するのは、戦術担当のコーチのいるトップチームだけなんよ。一番がっかりしたのは、ナメックが楔のパス通したところ。その瞬間、パスの出し手を潰すんじゃなくて、スペースを埋めるように指示してるわけですよ。モウリーニョかよ。バス停めるタイプの守備しかできないから、上がってきたナメックのヘディングに競るのがトップ下(と思われるが、5-3-2なので3センターの右かもしれん)の希っていうミスマッチを起こされて失点している。希とナメックの対決にナメックが勝った瞬間なんじゃなくて、監督が修正できなかったが故の失点です。

 そうそう、そもそも希を試合に出さない決断に至った希が1年生の時の新人戦での被ファールは、ディフェンスが腕を振っている為、イエローカードが妥当。ナメックによる希の足首へのスライディングは状況的にゴールへの距離、方向、ボール保持(マイナス方向のクロス)、ディフェンスの枚数の基準を満たすためDOGSOで一発退場が妥当だと思います。